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第46話 偏執愛

一生は、康太が部屋に戻ると 「明日、牧場に帰るわ!」と告げた 康太は「聡一郎も共にか?」と聞くと 「嫌、俺一人で帰る!」と告げた 「なら、聡一郎はどうする?」と、康太は四宮に振り向いた 「僕は、四宮の祖父に呼ばれてるので…行きます 8月の白馬から合流です 祖父が言うには…父が再婚するとかで…… もう大丈夫だから逢って祝福しろと…言って来ました… 逢わないと…学費はもう払わないと…言われたので…行きます」 四宮の母親は…四宮が中学に入る前に亡くなっていた 母が亡くなって5年… 四宮の地獄の日々が、今の四宮の人格形成を変えた 四宮の心中は複雑だろう… 「共に行くか?」 康太が問う 「嫌、僕は一人で帰ります 何時までも逃げてる子供ではいられません…」 四宮の瞳には決意が伺えられた 「ならば闘って来い でも、手の要る時は言え お前は何も言わずに抱える オレは例え地球の裏にいたって、お前の窮地には助けに行く 覚えとけ聡一郎!」 四宮は、康太の励ましに頷いた そして康太は一条に「お前はどう過ごす?」と問い掛けた 一条は、康太を見て 「多分…撮影で7月は潰れる… 皆がいないなら…ホテルに泊まる 8月になったら…康太と白馬に行くのだ」 康太はやせ我慢している一条を抱き締めた 「オレは飛鳥井の家にいる お前が淋しくなったら、呼べばオレは何処へでも逢いに行く お前が飛鳥井の家に来るなら、ドアは何時でも解放してある お前の側にオレ等はいる! 隼人、約束のピアスをやんよ!ほら」 康太は一条を離すと、ズボンのポケットから小さな箱を取り出し、一条の掌に乗せた 「これは?」一条が康太に聞く 「オレの血で作ったピアスだ この紅い玉の中には、オレの血が流れている オレの血を特殊な方法で硬め結晶にして、これは作られている お前んだ!嵌めてやんよ」 康太は、一条の既に嵌まっているピアスを外すと、紅いキラキラ輝くピアスを刺した 「お前は、オレの自慢の長男だ オレの血を受け継げ…隼人 お前は何処へ行っても、オレの血を感じて生きていけ そんなお前の側にいて防波堤に…オレはなってやる」 飛び付く一条を、撫でて康太は四宮を見た 「お前には…これをやんよ!」 ポケットから鎖の着いた紅い玉の着いたネックレスを、康太は四宮に投げた 鎖は四宮の手に落ち、四宮は鎖を持ち上げた 「お前の方にもオレの血で出来た結晶が着いてる お前の側にはオレがいる だから、一人で抱えんな!」 一生が、四宮の手から鎖を取り上げ着けてやった 四宮の首には、代わった編み込みをした銀の長い鎖と紅い結晶の玉がキラキラ光っていた 康太は一条を少しだけ離し 足元の鞄から書類の入った大きな封筒を出した 「一生には、これをやる!開けてみろ」 笑顔の康太が、一生を促す 一生は、封筒を開けて…驚いた そして…涙の浮かんだら瞳で康太を見た 「一生、緑川慎吾の遺志を継げ!」 封筒の中には種馬の子供を一頭、贈る…権利書が入っていた しかも…それは、今、トップを走っている… 康太の育てた馬「コウテイキング」が、種馬になった時、その子供を緑川一生に贈ると言う、正式な贈与の証明書だった 「お前の、親父と白馬にいる調教師の篠崎青磁の作った馬が、コウテイキングだ その子供を、お前にやる だから、飛鳥井のパドクックから走り出す、馬を育てろ一生 世界を走る、馬の親になれ!」 一生は、康太に抱き着き静かに泣いた 「今回はお前等に心配をかけた でもオレは歩みを止めねぇ これからもオレはお前等と、共に逝く 例え一緒にいられる時間が減ろうとも、オレ等は変わらねぇ! 大学には寮はねぇ オレは飛鳥井の家に帰る お前等は、考えてんのかよ?」 康太が聞くと、一生は 「オレはこのまま上の大学に行く そして大学の側に住む 牧場には免許を取って通う オレはまだ学ぶ事が多いからな」 と、将来のビジョンを話した 一条は「オレは康太んちの近くのマンションを買う 一生、そこに一緒に住もう!」 ……と、うるうる言われ多分聞くしかないと諦めた 四宮は「僕は…父に逢いに行ってからしか解りません 最悪…縁を切られたら文無しです…」 と、覚悟を決めて話した 「聡一郎、文無しになっても心配すんな! 飛鳥井か隼人の所に住みやぁ良いじゃん そして飛鳥井でバイトしろ そしたら大学は出れるし、お前は自立出来る だからアイツ等の言いなりには決してなるな! 再婚が罠だったら…縁を切れ! お前はアイツの玩具じゃねぇ! それだけは覚えとけ!」 四宮は、頷いた 「四宮朝霧の狂った愛が…たった5年で消えるもんか…」 康太は胸騒ぎを覚えた 「何時何処で、逢うんだよ聡一郎?」 康太が聞くと…解らない…と答えた 「迎えを行かすから、一人で乗りなさい…って言われた」 康太は一生と、顔を見合わせた そして、目で合図を送った 「じゃあ、呼び出された時だけ知らせろ!良いな!」 康太が言うと四宮は、解った…と、了承した 「んじゃあ!用はすんだし帰るわ」 と康太が立つと、一生がそこまで送って逝ってやるよ!と、一緒に出た 部屋の外に出ると康太は一生に、四宮を見張ってろ!と告げた 「一生、オレはあの狂った親父にトドメを刺す 幼い聡一郎をベッドに鎖で繋ぎ犯し続けた狂ったアイツの息の根を止める!」 四宮の母親が死ぬと、四宮朝霧は聡一郎を身代わりにした ペットに鎖を固定し、部屋で聡一郎を飼った 気が向くと犯され、気に入らないと殴られ 何時しか正常な判断もなくなった… それを康太は踏み込み助け 寮に入れた 四宮の父親の祖父の援助を受け、学園に残った… 康太は思案する… 祖父は息子の言いなりで… 四宮を誘き寄せる そしたら…多分…四宮は…生きては目の前には現れない 誰にも手を出させない様にするには…四宮の永遠を手に入れるしか…ない 「一生、一条呼んで入れ替わって」 一生は、了解!と言い一条を呼びに行った 一条が、嬉しそうに康太の側に走ってきた 「隼人、小鳥遊さんを連れて飛鳥井の家に来て欲しい 頼みたい事があんだよ」 「聡一郎の事……?」 「そうだ! お前は聡一郎の昔を知らなかったな… 今日は教えるから…飛鳥井の家に来い 出来るだけ早く…だ オレはこれから家に帰る」 一条は、頷き部屋に走っていった それを見届けて、康太は寮を後にした 飛鳥井の家に帰ると、家族に…小鳥遊と一条が来たら、応接間には来ないでくれ…と頼んだ 家族でも…四宮の古傷は、聞かせたくはないから… 榊原が家に帰ると、康太は部屋にいた 康太の目付きがキツい…何かあったのが…見受けられた 榊原は、康太…と、引き寄せ…抱き締めた 「伊織…人が来る… お前はどうする?同席する? それもと…此処にいる?」 「僕が同席して良いのなら…君といます」 「…胸糞悪い話しになる オレは何故…あの時…アイツの息の根を止めなかったか…後悔してる…」 康太…と、榊原は抱き締めた その時…ドアがノックされた 康太は、入れ…と、言うからドアを開けたら …康太と榊原のラブシーンだった… 悠太は、クラッ…となりつつも、小鳥遊の訪問を伝えた 「悠太…お前は席を外してくれ…」 康太が言うと、悠太は自分の部屋に入って行った 康太は榊原の手を握ったまま、応接間に向かった 応接間には飛鳥井の家族はいなかった 小鳥遊と一条が2人座っていた 康太は何時もの席に座ると、小鳥遊に頭を下げた 「わざわざ…飛鳥井の家まで来てもらい大変恐縮です 貴方に頼みがあります… タダでとは言いません 此処に修学旅行でハワイに行った時に撮った一条隼人の写真があります これを渡すので…オレの話を聞いて下さい」 小鳥遊は、話して下さい……と言った 聞ける話なら…聞きましょう…と。 「これから話す話しは… 一条の親友…オレのかけがえのない友… 四宮聡一郎の事だと…覚悟して聞いて下さい」 小鳥遊は頷き、一条は黙って座っていた 「四宮は、中学に上がる前に母親を亡くしました 四宮はフランス人の母親と日本人の父親との間に出来た子供でした 母親が死ぬまで!は普通の家庭でした… 母親が亡くなって…父親は狂った… 母親を愛しすぎて…認めたくない…それが狂気の始まりでした…」 康太は苦しそうに…話を始めた 「中学に上がる少し前に、ある日突然聡一郎は学校に来なくなった オレと一生は、何度も聡一郎の家を訊ねた…でも何時訪ねても留守で… オレと一生は家の中を…探った 違法なやり方だと思ったが、家に忍び込み…盗聴機も着けた そんな時だ…家には…聡一郎の気配を確認出来たのは… だからもっと探っていたら… 聡一郎の鳴き声が聞こえた… …聡一郎は、ベットに鎖で繋がれ犯されていた… 四宮朝霧は、気の向くまま聡一郎を犯かし…歯向かったら殴っていた… 聡一郎に残されたのは絶望と明日のない毎日だけだった 聡一郎は、人格を壊した…。 聡一郎を助けたのはオレと一生だ そして壊れた聡一郎を、気長に直して行ったのは…一生だ アイツは、聡一郎と共に行く事を選んだ 何時か仲間からオレを弾き、一生と聡一郎は、学園の嫌われ者になった… 四宮の親権を四宮の父方に移したのは…オレだ 瑛兄に頼んで…聡一郎を狂った親父から離した…」 榊原も… 小鳥遊も… 一条も… 言葉なんて見つけられなかった 「そして…再び、四宮朝霧は聡一郎に触手を伸ばして来ている… 今度は盗られないように…聡一郎を殺す 永遠に…自分のモノにする気だろう。 そうなる前に…力を貸して下さい!」 康太は深々と頭を下げた 小鳥遊は、私に何をさせたいんですか? と問い掛けた 「オレも一生も…顔を知られて、動けばバレる… バレたら…聡一郎の息の根は止められる… 瑛兄や飛鳥井は、顔が知られて…ダメだ… 小鳥遊さん…隼人のセキュリティガードは、言われる以上の仕事をした… オレの変わりに動いてくれる人間が…欲しい!頼みます…」 一条に初めて出来た友人が、一生と四宮だ 目の前でなくしたら… もう立ち直れないかも知れないダメージを受けるだろう… 康太…が死んだら…一条隼人は後を追う… 共に生きてくれた…四宮聡一郎も… 一条隼人には…かけがえのない人間なのだ 何かあれば…一条のダメージは計り知れない 「解りました! 力を貸しましょう 今直ぐ会社に緊急をかけます 隼人さんは、聡一郎さんの為なら無茶をします 下手に動いたら…殺されるかも知れなくても…隼人さんは動いてしまいます… 聡一郎さんは大切な友人ですから… と、会社にガードを要請して付けさせます!」 康太は、小鳥遊に頭を下げた 「では、今すぐ学校に向かわせます 聡一郎さんの影になり、後を着ける影を動かします」 「オレの姿を見れば逆上する オレは動けねぇ 隼人、おめぇも動くな! 良いな、動くのは…オレが許さねぇ」 「康太…」 康太は、一条の髪を撫でてやった 「お前に何かあったら…オレは生きてねぇ オレを殺すな隼人」 「じゃあ聡一郎は…どうなる?」 「だから小鳥遊さんに頼んだんだろ?」 一条は、小鳥遊の服を掴み祈るように見た 一寸失礼…と小鳥遊は、部屋から出て電話をしに行った 戻って来ると「総て手筈は整えました! ご安心下さい!」と、小鳥遊はお辞儀をした 「康太さん、隼人さんの写真を見せて下さい もし良いのがあれば使わさせて戴きます それで今回の件にかかる費用はチャラにします それ以上のものでしたら…今度何か貴方の意に添うような物を用意しましょう」 小鳥遊は笑っていたが、目はマネジャーに戻り一条の写真を手にした 一頻り写真を見て、小鳥遊は康太に頭を下げてお願いをした 「康太さん、この写真を下さい 隼人さんは…こんな顔も出来るようになられたんですね この夕陽に染まる顔は、康太さん…貴方しか撮れません しかもこのいたずらっ子みたいな顔や素の一条隼人を、此処まで撮れる人間はこの世で唯一1人、貴方だけです!」 「オレは言いませんでしたか? 今回、貴方に動いてもらう変わりに、この写真を、貴方に託す…と。 貴方の思い通りに使われれば良い」 一条は、康太に抱き着いた その耳に紅いキラキラ光る輝きを見付け… 小鳥遊は、目の錯覚かと一条を凝視した 「隼人さん…その耳のは? 何時着けたんですか?」 一条は、康太に抱き着いたまま、今日もらった…と答えた 康太は、一条は芸能人だった現実を想った 総てにおいてタレントは事務所のモノだから、勝手な事はしては駄目だと思い当たった 「すみません オレが着けてやりました ダメなら外して…」 ……と、言いかけた康太を遮り 一条は、絶対に外さない!と、主張した 「隼人さん、誰も外せとはいいませんよ でも撮影で取れと言われたら外して下さいね」 小鳥遊がそう言うと一条は、解った…と了承した 「私は綺麗な色してますね 一際目立つ色をしてますね…と、言いたかっただけです」 「これは康太の血で作ったピアスなのだ オレ様は、高校を卒業したら…康太達の側にはいられないと想って…凄く怖くなっていたのだ でも康太は、高校を卒業した位で終わる仲じゃねぇだろ…って言ってくれたのだ オレ様は嬉しくて悲しくて…こんな気持ち初めてだった そしたら…康太の血で作ったピアスを今日入れてくれたのだ これは康太の血の結晶だ…」 小鳥遊はギョッとして康太を見て… 「これは本当に康太さんの血で出来ているんですか?」と訊ねた 「そう!オレの血を特殊な液体に取って 血液の中から結晶を取り出し作ってある 時間をかけて結晶にして固めてカットを施してあるんです」 小鳥遊は「そんな技術が使われているんですね…」と、感心していた 「隼人は不安がっていた まるで高校を卒業したら…永久の別れが待っているかのように…不安がっていた だから…兄の知り合いに、こう言うのを作る人がいるので頼みました 仕事に差し支える時は、外させて下さい」 康太の口から…一条の不安を聞き…小鳥遊は、胸が痛んだ 一条隼人に取って…飛鳥井康太は…唯一無二の存在なのだこれからも…その先も… 小鳥遊は、明日も朝早くからロケなので…と 一条を引き摺り帰って行った 小鳥遊と一条が帰宅すると、瑛太は応接間に入って来た 榊原は、康太の口から流れる血を拭っていた 人に頼まなければいけない現実と… その手段の為に思い出を売り飛ばした… 現実…悔やしくて堪らなくなり康太は唇を…噛み切った 紅い血が流れる… 榊原は、何も言わず血を拭って押さえていた 「康太…兄に話しなさい 何があったのか…兄には話せないのか?」 康太のキツい瞳が瑛太に向けられる 「四宮朝霧が…聡一郎を狙っている」 瑛太は言葉を失った まだ5年しか経ってない… しかもまだ未成年の今なら… 法律で四宮を何とでも出来てしまえる… 「アイツは、聡一郎を永遠に自分のモノにする気なんだ! でもオレは動けねぇ…動いたら…聡一郎は確実に…永遠にアイツのモノになる… 四宮朝霧は、オレと一生を恨んでる 援助を散らつかせ…聡一郎を誘き出すつもりだ…」 「康太…」 「狂った刃で聡一郎を犯し続けた父親なのに…親権も監護権も奪えねぇ 四宮の祖父に移したのが間違いだったか… どのみち18未満に親を選ぶ権利はねぇ… 今しかねぇから触手を伸ばして来やがった…」 「小鳥遊さんを呼んだのは何故だ?」 「今回はオレは動けねぇ だから変わりに動ける人間を出してもらう 隼人のガードはSP上がりのプロだ お願いをした でもタダでは動かせれねぇから、オレは思い出を売り飛ばす材料にした… 最低だよ…オレは」 康太は悔しそうに唇を噛む 傷をまた広げ血が止めらなかった 瑛太は康太の横に座った 「康太…自分を責めてはいけない お前は出れないと判断したのだろ? ならばお前の判断は正しい 悔しがるより先を見ねば目は曇るぞ」 「瑛兄…聡一郎は、恋人と別れた 長続きしねぇのは…偏執的に魅入られた代償なのかもな… どうやったら…聡一郎を解放出来る? オレにはもう…聡一郎の底無しの絶望を救えないのか…?」 「諦めたら…そこで手から溢れて行くと、教えなかったか? お前が諦めなかったら…掴めると…兄は教えなかったか?」 瑛兄…康太の唇が瑛太を呼ぶ 「こんなに唇を噛んで……血が出てる 伊織君を心配させてはいけない お前の大切な人を…悲しませてはいけないだろ」 瑛太は康太の唇の血を拭った 「さぁ夕飯だ こんな顔では母さんが心配するだろ?」 康太の顔をポケットから出したハンカチで、血を拭った 「伊織、康太、夕飯を食べましょう 今日は私も席に着くとしょう」 そう言い、康太と榊原をキッチンに促し 自分もキッチンに着いて行く キッチンに行くと、悠太はギョッとした顔をしていた 何故…今日は瑛兄も御一緒なんですかぁ… 悠太の心の中で叫ぶ… 「あら瑛太、珍しい 康太が心配で食卓にも湧いてきたのじゃな」 玲香が楽しそうに瑛太を揶揄する 「母さん、私にご飯を下さい」 瑛太が拗ねる 玲香は、瑛太の前に夕飯を置く 康太と榊原の前にも同じように夕飯を置く 康太の前には沢庵が多目なのが少し違う所だが… 康太は沢庵をポリポリ食べる 無心に沢庵をポリポリ…ポリポリ… 榊原は、康太の沢庵を取り上げた すると、箸を食わえ…じぃーっと榊原を見た またそんな目で… 榊原は、沢庵を返した 康太の首には紅い跡が消えずに残っていた… 康太は隠さない… 「康太!伊織君が困ってる…沢庵はもう…」 要らないだろ…とは、言えなかった 瑛太をじぃーっと見ると…何も言えなくなった 考え事をしている康太は… 同じのしか食べない事が多々ある 沢庵が終わると、康太はお茶漬けをかけ ご飯をかけこんだ 「さてと、部屋に戻るか 伊織はゆっくり食え!」 康太はそう言い、食卓を後にした 榊原は、行儀よく夕飯を食べると 食洗機に康太の分の食器も入れ、スイッチを入れた 「ご馳走さまでした」と、行儀よく言うとキッチンを後にした 部屋に戻ると康太は携帯とタブレットと、PCを駆使して何かを始めていた 康太がPCを触るのは…初めて見る光景だった 「康太…」 榊原が康太の名前を呼ぶと…少し待って…と、言った 榊原は、黙ってその風景を眺めていた 「伊織、オレの得意分野はハッカー PCはオレの最終武器だ」 嘘…ハッカーなんて…する人間がいるなんて… 「見てみろ! これは四宮興産の会社の心臓部に入り込んでる 会社の内情を知らねぇとな」 康太は、へぇーと感心して見ていた 「伊織、このPCは幾つも経由して追跡は不可能にしてある 海外の回線を多数経由して衛星で飛ばしてんだよ オレはペンタゴンと、機密情報機関以外は入れる自信はある やんねぇけどな! だからオレはハッカーされねぇ位のセキュリティは作れる 今度、伊織のPCにセキュリティ入れてやんよ オレの作るセキュリティは、完璧だぜ! 売れてるらしいからな」 康太はPCを仕舞いながら、榊原に言う 「さてと、何が聞きたい?」 康太は榊原の膝に乗ると向かえ合わせに座った 「康太は四宮をどうするつもりなんですか?」 「助けたい…だから、色々情報を集める 世の中は情報量が物を言う時がある 情報もなく喧嘩は吹っ掛けない」 「何か見付かった?」 「あそこの会社の経営状況は…破綻している 潰れるのは…時間の問題だ 四宮朝霧が破滅の道を選んだからだ 聡一郎の祖父は、それを阻止しょうと聡一郎に許嫁を用意して政略結婚を目論んでる 父親は会社もろとも滅びを選び… 聡一郎を道連れに選んだ… 破産は時間の問題だ」 「破滅の道…?何故…」 榊原には解らなかった… 何故…破滅の道を選択するのか… 「あの…狂った男は、会社に時限爆弾を仕掛けたんだよ! 会社の心臓部に時限爆弾を組み込み、会社が破滅の道を辿るのを待った 会社は四宮朝霧の時限爆弾に気付かず…そして歯車は狂い始めた それもその筈 一定の期間が過ぎたら…会社のPCが制御不能になるように…仕向けてある それを繰り返しミスを繰り返すと…会社の信用は…失墜する 滅びの序章は…始まってたんだよ んとに最低な糞野郎だ!…総てを消す気だ」 康太はそう呟き目を瞑り 「もう…四宮朝霧の瞳には、破滅のシナリオが…見えてるのか?」と呟いた 「四宮聡一郎には飛鳥井康太が着いてる! 彼は…君の果てを見届ける者 此処で息絶えたりはしません!」 「伊織…」 「僕は…康太を永遠に失ったら…生きては行けないから死を選びます… 四宮朝霧は、歪んだ愛の幻影に…滅びの果てを求めたのでしょう… 愛する息子に殺される…もしくは殺す…夢を…。 偏執な愛に四宮聡一郎は…囚われて…」 考えるだけで…胸が痛い 果てを考えると…怖い 「聡一郎は、親父が一緒に死んでくれ…と言ったら…殺されてやる…そう言う奴なんだ… 生きていく事に執着すらねぇ…」 絶望の日々に生きていく事に疲れたのか… 明日を信じて生きていくには… あまりにも辛い現実しか… その目には写らなかった… 「でも康太…四宮聡一郎は、君と共にあろうと…生きている 君は自分の太陽だと…僕に言った 四宮を照してやってくれ そしたら…彼は…着いてく道を…違えはしない…」 康太は深く目を閉じた 「僕が抱き締めていてあげるから…眠りに堕ちれば良い…」 康太に囁く… 眠れ… 僕の胸の中で… 君の眠りを妨げる… 全てのモノから… 守ってあげるから… 榊原も、康太を抱き締めて眠った… 学校の寮から一生を引き揚げさせ 一条に当分寮には帰るな…と告げた 一生を飛鳥井の客室で生活させ… 寮には、四宮聡一郎を一人にした それでも用心深い四宮朝霧は、動かなかった 多分、頃合いを見計らっているのだ 聡一郎の側に誰もいなくなるのを、誰かに頼み見張らせてる 部屋の中に盗聴機を見付けたと…ガードから連絡があった 影は見付かってないから安心を…との事だった 近いうちに四宮朝霧は、必ず動く 飛鳥井の家の居候になった一生は、牧場には帰れなかった… 「オレは7月中にカタを着けてぇのに…」 康太が、一生に愚痴る 榊原は、学校に行って留守だった 康太と一生は、飛鳥井の家で缶詰状態 「なぁ康太…俺等って見張られてるんじゃねぇか? 何処かへ動けば…アイツは出る…」 康太も…そう思ってた… ここ最近、動きがないから… 「一生、手を繋いでデートでもしねぇか?」 康太が、ニャッと笑う 「嫌…手は繋がんでも…」と、冷や汗を流した 康太が、一生に迫る 一生は、狭いソファーでずり上がり…逃げる ずりっ……と、一生を追い詰めようとした時… 首根っこをヒョイと掴まれた こんな事するのは…一人しかいない 恨みがましい目をして後ろを振り向く すると、榊原が康太の首根っこを掴んでいた 「一生君を襲うつもりでしたか? 僕の愛し方が足らなかったんですか?」 「伊織…襲おうとなんてしてねぇよ 多分…此処は見張られてる だったら動くしかねぇ 一生にデートしようぜ!と誘ったら断ったから、脇をこそぐろうとしただけだ!」 康太は榊原に掴まれ、喚いた 一生は、可哀想になって榊原に頼んだ 「旦那…康太はお前しか愛さないと言っただろ? これは康太のストレス解消だ…」 一生が必死に言い訳をする 榊原は康太に手を伸ばすと持ち上げ一緒にソファーに座った 「一生、解ってますよ」 康太は榊原の首に手を伸ばし抱き着いた 「今日は早いんだな…」 嬉しそうに言う康太の頬にキスして 「康太が、兵藤に桜林祭の絵図を送ったから、もう会議はありません 康太と共に動きます」 「じゃあ動くか 長引くと聡一郎の精神が崩壊する」 榊原は、頷き康太を離した 「さぁ動くぜ一生!インカム忘れんな」 「あぁ!行くぜ康太!」 「伊織、着替えて来い その制服では目立つ」 榊原は、康太をソファーに置くと着替えに行った その光景を見ていて一生は、ここ最近感じた事を口にした 「康太…旦那は飛鳥井に馴染んだな 下手したらアレがこの家の子供に見える 飛鳥井瑛太、悠太と、並んだら…知らない人が見たら兄弟だな…」 康太は何も言わず微笑んだ 目的もなく、横浜西口に出て来てから康太は さてと、何処へ行く? と、問い掛けた ダラダラ歩き映画館の前で新作のホラー映画を、一生は目にして嗤った 一生が「ホラー映画に行こうぜ!」…と言った 康太は…ホラーとかお化けとか幽霊の映画が大嫌いなのだ… 一生は、知っていて言うのだ 「ほ…ホラーとかは、止めとこうぜ!」 康太が、一生に言っても聞いてくれない 「耳袋の新作やってんだぜ!行くべ」 ふるふると康太は首をふる 「おめぇは旦那に抱き着いてろ オレは明日、家に帰んだから、たまにはオレの好きなの見せろ!」 一生は、大きな声で映画館の前で喧嘩を始めた 嫌でも目立つシチュエーション 「明日の朝早くに家に帰るんだっけ?」 「そう。朝早くに帰る」 康太達の少し後ろに康太達を監視する人影が…2人 一人は何処かに消えた 康太は嫌々ホラー映画を見せられ… 榊原に抱き着き耳をふさいだ でも聞こえて来る声に振り向くと… 肉の塊の様な姿がスクリーンに… 「ぎょぇぇぇ~」 康太は榊原の膝の上で動く… すると…あらぬ所が刺激になり…とんでもない事態を招いた 「康太…動かないで…」 怖くて気付かなかったが、榊原の股間は康太が、動くたび…刺激を受けて…制御不能になりそうだった 見かねた一生が助け船を出した 「旦那…これやるから、ソレを連れてトイレに行きなはれ」 一生が手渡したのは…コンドーム 何故…それを一生が持ってるかは定かではないが…榊原は、かたじけない…ともらった トイレへと康太を連れてった 狭い空間に康太と榊原は、押し入った 便座に榊原が座り康太は跨いで 口腔を犯されるような接吻を受けていた 康太を離すと榊原は、ジッパーを下げ… ぺニスを解放した ぺニスにコンドームを被せ、康太のズボンを下着ごと脱がし、フックにかけた 「康太…乗って…」 榊原の上に乗り…榊原のぺニスを受け入れる ゴムの潤滑油の助けを借りて……榊原は挿入した 「伊織…声が出るってば…」 「康太が、こんなにしたんだよ… 声くらい構わない」 一番奥に一気に挿入して、康太の前立腺を擦った 狭い空間で求め合い体は揺れる はぁ…はぁ…と、刹那い吐息が漏れる 「ゃぁ…イク…」 「康太…ハンカチで溢れないように押さえて…」 康太が自分のぺニスをハンカチで押さえるのを見ると 榊原はラストスパートをかけた まさか…こんなトイレで… 榊原は、康太の中から抜くと…コンドームの先には溢れそうな精液が溜まっていた それをティッシュで包み捨てる 康太の処理をして便座に座らせ、服を整えた 「まさか…トイレで…とは…」 康太が思わず呟くと 榊原も、まさかトイレで交わり合う日が来ようとは…思ってもいなかったみたいで 「康太…満員電車で刺激を受けたら…耐えれる自信はなくなりました…」 榊原が不本意そうに呟く 康太は笑った 笑って…榊原に、そしたらまたトイレに行けば良いよ…と囁いた んとに…もお…こんなに可愛くてぇ…と榊原は康太にキスした トイレから帰ると…映画は終わりに近付いていて 「長げぇトイレ」と、笑った 映画が終わり、外に出ると… 影に隠れてた人間が…増殖していた 人混みを抜けたら…仕掛けて来て…襲う気だ そして強引に足止めして、動けれなくすれば… 後は四宮だけを連れ出せば良いのだ かなり暴挙に出て来てでも…四宮聡一郎を手に入れる気なのだろう… 康太はわざと人通りの場所を選んで歩き 飛鳥井建設の前に来ると、自動扉を踏み中に入った そして受付嬢に「瑛兄に夕飯を奢らせようと目論んでるんだけど、ダメか聞いて?」 と言うと、お待ちくださいと笑って言われた 綺麗な受付嬢は、康太に声をかけた 「康太さん どなたなのか、お伺いしても差し支えなかったら、お教え下さい」と、頭を下げた 最近では見ない正統派のイケメンを目にして…誰なのか…見当も付かなかった 康太は、堂々と胸を張って言った 「オレの恋人と友人だ」と、紹介すると 話は通っているのか 受付嬢は「榊原伊織さんですか?」と尋ねて来た 「どちらの方が?榊原伊織さんなですか?教えて戴いて宜しいですか?」 と、受付嬢は優しい瞳で聞く 「何で伊織の名前を知ってるの?」 と、康太はキツい瞳を向けた 受付嬢は「副社長からのお達しです この先、康太さんの恋人榊原伊織さんがもしお見えになられたら失礼のない様にお通しするように、通達が回っているのです ですから、顔を覚えておく為にお教え下さい」 と、頭を下げられた 「この男がオレの恋人、榊原伊織だ! そしてこの男が緑川一生、オレの馬を育てる男だ!」 康太は姿勢を正し、胸を張って紹介した 榊原は、軽く頭を下げた 受付嬢は、榊原伊織の潔さに「お似合いですよ。」と答えた そして、電話口がら「通して…」の声がかかり 康太は片手を上げて、エレベーターに乗り込んだ 副社長のドアをノックすると、中から瑛太が出て来た 「夕飯をねだりに…来た訳じゃないでしょ?」 瑛太が聞くと、康太は、ちぇっバレてるやん…と笑った 「四宮朝霧が、刺客を向けやがった オレ等の後を付け回している 人気のない場所に行ったら…アウトだ オレは誘き出されてやるから…後を着けてる奴を遼一に捕まえさせて吐かせたいんだ 遼一のスタンバイが出来たらオレは出る」 また…この弟は危ない真似をして… 瑛太は内線を取ると、九頭竜遼一に繋げと指示をした 暫くして遼一に変わり、康太に電話を渡す 電話に出た康太は、会社から出たら近くの公園に行くから…そこで待機してて…と指示を出した 人数は5、6人、ピストルやナイフを持ってるかも知れないから…無防備には出れないと告げた 「伊織は瑛兄と帰れ。オレ等は闇に紛れる 瑛兄、伊織を連れて帰ってくれ」 康太が言うと、瑛太は了承した 「無茶をするな…康太 それだけは解っているな?」 康太は頷いた 暫くしてスタンバイ完了と、副社長にかかって来た 電話の合図と共に、康太と一生は副社長を飛び出した 飛鳥井建設のビルから出ると、康太と一生は目配せしながら早足で歩いた 「一生、あの公園で休もうぜ!」 と、康太が言うと此処で手を出すより公園の方が確実だ…と踏んだ後ろの人間は、康太と一生から目を離さず…一定の距離を保ち付けてきた 公園の中に入ると…2人は走った 「遼一!そいつ等を掴まえろ!」 康太が叫ぶと、暗闇から見るからに柄の悪い男が数人飛び出して 康太の後ろを着いてきた男達を取り押さえた 「康太、おめぇは最近人使いが荒すぎだ!」 九頭竜遼一が、姿を現した この男は関東を統一した伝説の暴走族で…今は飛鳥井建設の大工をしてる 康太はこの男がお気に入りだった 暴走族と言う肩書きに怖がって近寄る人間はいない中… 康太は親しげに近寄り、遼一はそれを許した 後で康太が飛鳥井建設の4男坊と知ったが、康太は気にすんな!と一蹴した 産まれた家が飛鳥井だっただけだ…と。 以来、親しく付き合い、東雲聖を託したのも、この男だった 面倒見が良く、康太の信頼は厚い 男前な強者だった 「助かったよ遼一! この埋め合わせに、明日ガリガリ君差し入れに行くよ」 康太が嗤う 「んとに、おめぇは怖いもんなしだな 俺にそんな口聞くのはおめぇしかいねぇ」 お前が笑わねぇだからだもんよー…と、康太が揶揄する 一生は、笑っても怖いわ…この人…と思う 康太は掴まえた男に近付いた 押さえ付けられた男は暴れて…動かせる足で康太を蹴りあげた その足を掴み…康太は膝と反対の方に力任せに踏みつけた 「うわぁぁ…」 と、叫びのたうち回る男の髪を掴むと康太は 「四宮朝霧に電話を入れろ 計画は完了! 飛鳥井康太と緑川一生は、病院送りにしたと言え どうせ相手には解らねぇ お前には不利にはならねぇだろ? 電話しねぇと…明日にはお前はどうなるか保証はしねぇ…さぁどうする?」 男は顔色1つ変えず足を折った康太に恐怖を覚えた… 康太はその男の髪を掴み これが最後だ「四宮朝霧に電話を入れろ!」と言うと、折れた足を地面に叩きつけ、指をポキポキならした 「解った!電話する! お前達を痛め付けろ…と、言われただけだ それでこんな目にあってたら…割に合わねぇ 完了してないけど、慰謝料にお金はもらっとく。それで良いな!」 「能書きは良い…電話しろ!」 九頭竜遼一が吼える 男は携帯を取り出すと 「計画は総て完了! たった今、始末しました」 と、電話を入れた 「これで良いな!文句はねぇな!」 遼一は、取り押さえている男達を離してやれ!と、指図をすると一斉に手を離した 足の折れた男は、他の男に支えられ立ち上がった 「この携帯を処分しろ これで俺は連絡方法がなくなる これで満足か?」 康太は頷いた 男達は、立ち去った 「遼一、ありがとうな。助かったよ!」 遼一は、康太の頭を撫で、 「最近まで、おめぇは入院してたんだろうが。無茶すんな」 面倒見の良い男は、とことん世話焼きなのかも知れない 「遼一が出て、オレが怪我する訳ねぇもんよー!」 康太がそう言うと、当たり前ぇだ!おめぇに怪我させたら、誰が俺と普通に遊んで来るくれんだよ と、笑って、髪の毛をボサボサに掻き回した 「今、西区の現場だろ? 明日、行くかんな 待ってろ!今は何人いんだよ」 「下請けも警備員も入れたら20」 康太はよっしゃ!明日の昼に行く!と、約束した 九頭竜遼一は、仲間を引き連れて帰って行った 康太と一生は、公園から大通りに出ると、ベンツが停まっていた 康太が近寄ると、瑛太が車から降りて来た 「乗りなさい!一生は前に乗ると良い」 康太は後部座席に乗り込むと、一生は助手席に乗り込んだ 2人が乗り込むと、瑛太は運転席に乗り込み車を走らせた 後部座席には、榊原が康太を待っていた 榊原は、康太を抱き締めた 「瑛兄、オレ家に帰ってスーツに着替えないとダメなんだ 伊織と一生の着れそうなスーツあるかな?」 「伊織のは私のを、一生君のは恵太の部屋から持って来させよう 所でスーツに着替えて何処に行くんですか?」 瑛太が聞くと、康太は解らねぇ…と答えた 「解らねぇが、アイツは今夜か…明日には動く 邪魔されない様にホテルに呼び出す筈だ…」 ホテルは服装を気にする スーツに着替えていないと…悪目立ちする… 思案して…康太はある事実に気がつく 「そう言えば、寮が破壊され…伊織の服がねぇんだよな! オレの服は着れねぇかんなー…」 康太が呟くと 榊原は「父に頼みますから、僕の事は良いです」と告げた だが瑛太は「伊織と一生の服は明日にでも用意しょう。」と約束した 車は飛鳥井の家へと走って行き 飛鳥井の駐車場に車を停めると、車から降りた 洗面所で手を洗い嗽をして、キッチンに向かう 今夜の夕飯はハンバーグ 康太はハンバーグに食らい付いた 飢えてる子の様に食い付く康太を他所に、榊原と一生は行儀が良い 悠太が、玉露を康太の前に置いき、榊原と一生にはそれなりのお茶を置いた そして榊原に頭を下げ、話を切り出した 「ねぇ伊織君 俺は管理能力を叩き込まれた、飛鳥井玲香を継ぐ者 伊織君の仕事のスケジュールや、雑務位は手助けが出来ます 俺を矢面に立たせてくれるなら、管理は出来ます!考えておいて下さい」 悠太がそう告げると康太はそれは良い案だと喜んだ 「伊織、悠太の管理能力は、母を凌ぐ 一度仕事を目にして見ると良い 嫌なら断れ、遠慮は無用だ!」 康太はそう言うと、玉露を飲んだ 食事を終え、応接間に行くと瑛太が座っていた 「康太、これが一生のスーツだ そしてこれが伊織のだ」 スーツの入った袋を手渡してくれた 康太は「伊織、一生着てみろ」と、呑気に笑った スーツの袋を開けると、Yシャツからネクタイまで用意してあった 伊織は仕方ないと、服を脱ぎ、上半身裸になった 臍のピアスが光ってるのを隠す事なく 榊原は脱いでYシャツに袖を通した ズボンを脱ぎ履き替え、ネクタイを締める 誂えたみたいにピッタリな姿だった 康太が魅取れて、榊原にうっとりしている間に、一生も着替えていた 「おっ一生すげぇ似合ってんじゃん」 一生は、嘘つけ!嘘を!とボヤいた 「お前は旦那しか見てないがな」 一生が、そう言うと康太は大爆笑した 「だって伊織は格好良いんだかんな!」 そうかよ!勝手にやってくれ!って感じで一生は、不貞腐れた 「伊織、オレのスーツ持ってきてくれ」 康太が言うと、榊原は応接間を出て行った 「康太、人使い荒すぎ」 一生が愚痴る 「一生、少し甘えてるだけだもんよー 見逃せ」 一生は、押し倒しても何も言わん見逃してやんから好きにやれ…って言い返した

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