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第47話 奪回①

榊原が康太のスーツを持って来ると、康太は服を脱いだ 瑛太は…臍のそれがペアなのに気が付く 乳首には所有権の鑑札が着いていた 榊原は手際良く康太に服を着せる その動作には隙がなく、日頃からやってるのが伺えれた 榊原にネクタイを締めてもらって、出来上がった 「さてと…何時動くかな…」 康太はスマホを、テーブルに置き連絡を待つ 瑛太は…応接間を後にした 康太は榊原の膝に寝そべり 榊原は康太のサラサラの髪を弄んだ 一生は、タブレットで遊び そのうち康太の寝息が聞こえ 榊原もタブレットで何やら初め 一生は、まだゲームをしていた 康太のスマホがけたたましい音が鳴ったのは…日付が変わって少し経つ頃だった 康太は手を伸ばしスマホを取った 無言で電話に出ると、相手は用件だけ言い電話を切った 「一生、タクシー呼べ!動き出したぞ」 今後は逐一スマホに居場所が入る 康太はスマホを手にすると「行くぞ!」と腰を上げた 康太は榊原に手を差し出した 榊原は、その手を取った 「康太、すぐ来るぜ」 一生がそう言うと、応接間を後にした 部屋を出ると、正装した3人を目にして、悠太はビビった 康太は悠太に片手を上げ、家を出た 外で暫く待つとタクシーが来て、3人はそれに乗り込んだ 「関内に向けて走ってくれ」 康太は行き先を告げた タクシーは告げられた行き先の方へと走り出した 関内に着く手前で、スマホに現在の居場所が入った 康太はそれを運転手に告げた 「山下公園近くのホテルニューグランドまで! ホテル正面玄関、そこで下ろしてくれ」 タクシーは告げられた場所に康太達を運び下ろした 康太はカードで清算して車から下りた 全員が車から降りるとタクシーは走り去り、康太達はホテルに入って行った ホテルの中には四宮に着いていたガードが待ち構えていた 康太に部屋番を告げる 「さて…どうやったらドアを開けさせられるか…」 踏み込むには…それなりの理由がいる 康太が思案していると… 「康太君…?」 と、声がかかった こんなホテルを利用する様な知り合いは……いない筈だが‥‥ 振り向くと…そこにはトナミ海運 社長の戸浪海里が立っていた 「どうしたんだい? こんな場所に君がいるから驚いたよ」 戸浪は、ホテルに入る康太をずっと見ていた 康太の着ているスーツは、パーティー用のドレスコードだから この場所にいても違和感はない だが、飛鳥井康太なら話は別だ この男はパーティーの類いや用に友や伴侶を連れてホテルに来るような人間ではない 康太は嗤った 勝機が向こうからやって来たから… 「オレは友の為にこの場にいる!」 康太は前置きはなく宣言した 「実に君らしい…」 と、戸浪は唇の端を上げて頷いた 「友は自分の意思で此処に来て、父親の借りた部屋にいる… 踏み込むには…理由が足らないから思案している」 「自分の意思で此処に来た上に、近親者の部屋にいるのですか…難しいですね…」 「だがオレはその部屋を開けたい でも暴挙に出れば飛鳥井の名を汚す だから方法を考えている しかもオレの相手は狂った天才…四宮朝霧… 迂闊に手を出すと…友は死ぬ」 「四宮…朝霧…」 戸浪の瞳が輝いた 康太は…やはり勝機が転がって来たのを知る 「若旦那、欲しいか? 四宮興産の北欧ルートが?」 この目には総てが見えてるのだろう… 戸浪はあっさりと、頷いた 「あそこのルートは四宮の独断壇上だ 手に入れるには四宮を潰すか… 手を結ぶしかない だが潰す訳にはいかない 四宮には北欧に強いパイプがあるから、それを切れば北欧の取引事態が消滅しかねないからだだから事業提携を…と、持ち掛けた 普通は悪化した業績だと飛び付くが…彼は受け入れなかった…ってのが現状です‥‥」 「何故…四宮朝霧は、それ(事業提携)に耳を貸さない…解るか?若旦那」 戸浪は、康太の目は何処まで捉えているのか…怖くなった 子供だと侮ると…こっちの足を掬われる 「君は…知ってるのかい? 四宮朝霧の真意を?」 「四宮朝霧は自分の会社に滅びのプログラムを仕掛けた アイツは総てを滅ぼす為に、此処にいる」 戸浪は言葉を失った 「オレは四宮朝霧の仕掛けた滅びのプログラムを解除してやった オレの得意分野はハッカーだ 内緒だぜ、若旦那!」 「無論!承知の事だ」 「四宮朝霧は、死ぬ気だ 会社と息子を道ずれに…破滅の道へと進んでる… それをオレは食い止めたい!」 「手が要りますか?私の! ならば私は貴方の戦力になりましょう」 戸浪海里は絶対の約束を提供した 「若旦那、四宮興産を息子の四宮聡一郎の手に渡までの後継人になってくれ 聡一郎は、きっと若旦那の望む協力をしてくれる だから手を結び…潰すな!絶対に!」 そして康太は戸浪の瞳を射抜き言葉を続け 「今、四宮を牛耳っているクズを掃除して 新体制を作る礎になってやって欲しい」 そう言った 「オレは友をこの世に引き留めて置くための材料に四宮興産の母体が欲しい 四宮聡一郎の引き継ぐ会社を残したい オレはその為に、此処にいる」 ならば全力を上げてサポートするのみ… 戸浪は笑みを浮かべてホテルの支配人をお呼びします…と、言った 「オレは絶対に負けねぇ! 若旦那、貴方がこのホテルにいた オレに吹いて来た最大の勝機だ 今後、四宮興産はトナミ海運の戦力になるだろう 今拾ってて損はねぇ! 共に昇る龍を捉えた」 「君が言うなら間違いはない 藍崎の馬は君へ出した以上の利益を産んでいるのだから…」 康太は…良い風が吹いてるからなと、笑った でも…次の瞬間…康太の表情が曇る 「ならば…若旦那…聞いてくれ… 四宮朝霧の歪んだ想いを‥‥聞いてくれねぇか?」 人には聞かせたくないのだろう…戸浪は察した 「ではお部屋をご用意致しましょう」 戸浪は秘書に部屋を取らせ 部屋を取ると同時に総支配人を呼んで下さい、と指図を出した 暫くして総支配人自ら現れ、部屋に案内された 康太は通された部屋のソファーに座ると…目を閉じた 目を開けた時には覚悟が滲み出ていた 「若旦那…此処だけの話と留めてくれ!」  康太が言うと、戸浪は 「君の望むままに!」と同意した 「四宮朝霧は、息子を抱いてる 部屋に踏み込んだら…それを目撃するだろう…」 戸浪は言葉をなくした 「聡一郎が中学に上がる前に…四宮朝霧の妻が他界した 妻だけを愛していた朝霧は、子を産んでから弱った妻を見て来て、総ては聡一郎が生まれて来たからだとアイツは聡一郎に牙を向けた ベットに鎖で繋ぎ…四宮朝霧は息子を飼っていたんだ」 戸浪は言葉を失った 「何故に…その様な事惨いことを…」 「若旦那は、四宮聡一郎とは面識も接点もないから情報は入っては来ないから知らないだろうが‥‥四宮朝霧は大恋愛の末フランス人の妻を娶った 双方の家族は大反対した だが朝霧は家族の反対を押し切って結婚した 朝霧は妻だけを盲目的に愛して来た 体躯の弱い妻はそんな朝霧を愛して‥‥家族を作ってやりたいと願っていた だが愛した妻は子を生んでから、日々衰弱して行き…今から5年前に他界してしまった 認めたくない父親は偏執的な愛を…息子に向けたんだ……まだ12だった! 12の聡一郎を、殴って犯し続けたんだ! あの男は狂ってる…なのに…親権は奪えなかった… この世の中こそ狂ってるとしか言えねぇ… 親と子の絆は早々消せれねぇ仕組みになってるからな‥‥ それでも裁判で闘って監護権を祖父に移した… それが5年前だ 四宮朝霧は、オレが聡一郎を奪ったのを恨んでいる 愛する者を総て奪われた世界では生きる気がなかったんだろう… 会社のメインコンピューターに破滅のシナリオを組み込んだ 奇跡の天才は、自分の意思で会社のコンピューターに時限爆弾を仕掛け… それが作動したら…聡一郎もろとも…この世から消えるつもりだ… それが四宮朝霧の描く滅びのシナリオだ…」 「君は止めに来たんですね」 「あぁ止めるつもりだから、正装をして来た 悪目立ちしたくねぇからな… さてどうしたもんかと思案してたら、若旦那が現れた オレは勝機を手にした! 必ず聡一郎を手にする」 「私はそれを手助けします そして四宮聡一郎を次代の社長に据えてみせます 君の要望通り、あの会社を建て直したら、我が社に齎す利益も大きい 今日、君に出逢えた事は、私にとっても勝機が味方してくれた事になります」 戸浪は四宮聡一郎を引き立て社長に据える約束をしてくれた… 「康太君、少し伺っても良いですか?」 戸浪は…ふと思い付いた様に康太に話しかけた 康太は笑って、話せる話なら…と答えた 「うちの会社…トナミ海運のメインPCに入り込むのは…何分位ですか?」 「…5分もあれば…」と、康太が嗤っま 5分…戸浪は息を詰まらせた 「普通の会社は5分も要らねぇ! 日本はセキュリティが甘いから」 「飛鳥井は?」 「飛鳥井は、オレ程度のハッカーでなくば、破れない セキュリティが組み込んであんからよー」 「セキュリティって…君が…?」 康太は、あぁ…と、頷いた 康太は戸浪を見上げ 「見たいか?見なかった事にするなら…見せてやる」 と、言った 「今日の出来事は総て、私の胸の内にお納め致します 他言には一切無用致します」 康太は…PCを持ってないから、どんなPCでと貸してくれ…と、言った 秘書が持参したPCを、康太に渡した PCを受け取ると、物凄い速さでキーボードを叩き始めた 幾つもの海外のサーバーを経由して戸浪のホームページにたどり着くまでに2分はかからなかった ホームページを開くとまた閉じ…PCの画面には文字が流れ始めた 戸浪にはさっぱり解らなかった 康太の唇が瓜を描いて吊り上がる 「捉えた!」 康太は戸波にPCの画面を見せた 「これは、戸浪の母体に間違いはないか?」 戸浪は…この短時間に…信じられない思いで…秘書に画面を見せた 秘書の顔が青褪めていた 「このままだったらサイバー攻撃にあったら、総てSYSTEM DOWNになる 今はSYSTEMの分散化を取り入れている会社が多いのに…危篤な会社だ」 康太はPCを取り戻すと、総てデリートしてPCを初期化にした 「さてと、頃合いだ! 聡一郎の部屋に行く」 康太はそう言うと、総支配人に部屋を開けろ…と迫った 戸浪は総支配人に、この方の希望通りして上げて下さい!と、頭を下げた 「総支配人、お前が早く動かねぇと、聡一郎は死ぬ オレは聡一郎が死んだら…お前を許さねぇ!オレはキッチリとカタを取る 相手が誰でも…だ!」 絶対にやってやる!と、言うキツい瞳で魅射られ総支配人は観念した 「では、ご一緒に!」 総支配人は、康太達を促し部屋の外に出た 戸浪は康太に着いて行く覚悟で部屋を出た そして、部屋の外に出ると、ずっと控えていたガードが康太の側を守った 四宮朝霧の借りている部屋をノックすると… 狂気の笑みを浮かべ 四宮朝霧が、部屋を開けた 「やっぱり…来たね…聡一郎の天使…」 四宮朝霧は 康太が一歩足を踏み入れると 康太の体を強引に引き摺り込み 部屋に入れた 康太が入った瞬間… ドアを閉め 鍵をかけた 「聡一郎の天使……… 聡一郎は、君の側が良いと… ……言って聞かない…」 康太は部屋の奥へ走った すると…寝室のベットには… 全裸で… 倒れる様に 俯せになった…四宮の姿があった 康太は怒り…振り向くと… 目の前に、四宮朝霧が立っていた 「聡一郎は…お前を天使だと言った… 私も…お前は天使だと思う… お前の魂は美しい… だから…滅びのシナリオに飛鳥井康太も加えた だから…お前も私と死ね…」 急に四宮朝霧は、襲って来た 首を絞められ 意識が遠退く… 康太は嗤った 「オレが天使なら… 決して お前は連れていかない…」 目の前で、康太だけ部屋に引き摺り込まれ 戸浪は焦った 榊原は、狂ったようにドアを叩いた 一生は、慌てて榊原を止めた 戸浪は、総支配人にドアを開けろ!と迫った 戸浪は、今すぐ開けなさい!と総支配人に迫った 「飛鳥井康太にもしもの事があったら… トナミ海運は、このホテルもろとも潰す!」 戸浪の呟きに総支配人は、慌てて 電子ロックを、解錠した ドアが開くと、榊原は飛び込んだ 愛する康太に何かあったら… 自分も共に行く覚悟と共に走った 四宮朝霧に首を絞められる、康太を目にして榊原は逆上した 康太の首に巻かれた腕を力任せに掴み…ねじ曲げた 四宮朝霧の手が離れると、 康太の体が力なく崩れた その体を榊原は、抱き締めた 榊原が康太を取り戻したのを確認すると 呼び寄せた警備員に、四宮朝霧を拘束させた そして康太を抱き締める、榊原に声をかける 「伊織君、康太君をソファーに寝かせて… 意識が戻らなければ、救急車を呼びます! 一生君は、四宮君を見て…」 戸浪に言われ…一生は、四宮に駆け寄った 首には絞められた赤い指の痕がくっきりと着いていた 一生は「聡一郎…聡一郎…」と、体を揺すった 戸浪の秘書が四宮に寄り、脈を確かめた 四宮の脈は弱っていた 慌てて救急車を呼んだ 榊原は、康太を寝かせ頬を叩いた すると、康太は…目を開けた 目の前の榊原の瞳には…涙が浮かんでいた またこの愛する男を心配させた 「伊織…お前がいて、オレが死ぬ訳ねぇだろ」 榊原は康太を強く抱き締めた 顔を四宮の方に向けると…四宮は息も絶え絶えの様子だった 康太は立ち上がろうとしたが体躯が思い通りに動かず 榊原に抱き抱えられ…何とか四宮に近寄った 四宮は…康太を天使と言った… 首のネックレスを死守したのか…首に鎖が食い込んでいた 康太は四宮の横に行くと…体を揺すり…頬を殴った 「目ぇ醒ませ!聡一郎! お前は本当にオレに何も言わねぇで……」 四宮は、弱々しく目を開け… 「ごめん…」と、呟いた 戸浪は四宮をシーツで包んだ 救急車が到着して四宮の口に酸素が付けられ…処置される タンカーに乗せられ運び込まれる四宮を見送った後に康太は口を開いた もう…榊原に支えてもらわなくても立っていた 自分の足で立って、四宮朝霧に引導を渡した 「四宮朝霧、お前は死なせない 総ての権利を聡一郎に譲渡した後、治療を受けられよ もう二度と聡一郎の前に姿は現す事は許さねぇ! 今度、聡一郎に刃を向けたら…… お前の息の根は、必ず止める! 最後くらい父親としての責務を果たせ!」 四宮朝霧は、力なく崩れ落ちた 「総て言う事を聞くなら、お前の身が立つように、多少の援助は約束する 嫌なら殺人未遂で訴える さぁどうする?」 康太は総支配人に向くと 「総支配人、貴方は殺人未遂の立証人だ ガードにビデオを持たせて総て録画させている 若旦那、これを総て貴方に渡す だから、四宮聡一郎の後継人になり、正統な後継者に四宮興産を引き継ぎさせて下さい 多分、四宮朝霧の父親は抵抗しまくるが、それを黙らせるだけの材料は揃えた 息子の不祥事の責任を取らせて消えてもらえば良い」 戸浪は…此処に来て……… やっと…康太の思惑を理解した 康太は……わざと四宮朝霧に引き摺られて 部屋に入ったのだ… 扉が閉まる瞬間、SPがドアから滑り込み総てを記録させ 必ず伴侶と呼んだ青年と友人が必ず自分を助けると踏んで その身を差し出したのだ なんと言う……無謀な捨て身な作戦をするのだろう… 身を呈して…友人を助ける姿は… 戸浪に衝撃的だった だが…真贋を持つ康太が齎す勝機を逃す訳にはいかなかった 康太が齎す莫大な幸運は…戸浪に齎す利益もデカい 近年希にみない程大きい 「さてと…片付いた」 康太は首をコキコキ回した 「病院で、診てもらわなくて平気?」 榊原が康太の首を擦りながら聞く 「大丈夫だろ どっち道、聡一郎の所へ行かねぇとな」 「此処からだと、康太の入院していた病院に運ばれますから、行きますか?」 榊原が言うと、康太は…おう!と部屋を出ようとした 「康太君、少し時間を下さい!」 戸浪が康太に話し掛ける 「オレは聡一郎の所へ行きてぇんだが…」  「病院には乗せて行きます ですから少しお願いします」 戸浪は康太に頭を下げた そんな戸浪に、康太は 「この部屋は嫌だ…」…と、言った 戸浪は解っております!先程の部屋へどうぞ …と。康太を促した 康太は榊原にしがみつき…どうする?と、聞いてきた 「少しなら、話を聞きましょう」 榊原が言うと、康太は了承した 先程の部屋へ通され、康太はジュースを出してもらいそれを飲んだ後 「セキュリティを作って下さいって話なら、無理だから」と、前もって言った 戸浪は何故ですか…と、尋ねた 「8月に白馬に行く」 戸波はカレンダーを見た 8月まで後、2日…あったからだ 「明日は…現場に出向く約束あるし ギリギリまで聡一郎に着いていたい」 ……と、康太はキッパリ言った 「康太君、お願いします」 と、戸浪は頭を下げた 「ハッカーは、時間要らねぇけど セキュリティは、最低でも2日はかかる オレのセキュリティはハッカー対策とサイバーテロ対策だかんな 罠を張りながらやると…最低でも2日は要る オレは聡一郎も気になるし…」 康太は榊原を見た 「康太の力が必要なんですよ 四宮は僕が着いてます 現場の差し入れは悠太に頼めば良いでしょう」 康太が恨みがましい目を向けた 「そんな目をして…君は僕に心配ばかりかけさせる 退院したばかりなのに…こんな痕着けて…」 逆に榊原から、恨みがましい目を向けられて康太は焦った その会話を聞いていた戸浪が… 「康太君…入院していたんですか? 私は知りませんでした…大丈夫なのですか?」 と心配された 榊原は、康太が肋骨を2本折って内臓に刺したのに10日で退院した事を話した 戸浪は絶句した 「仕方ねぇな! 明日と明後日 トナミの会社に向かう それで良いか?」 康太が問う すると、戸浪は 「朝…迎えの車を向けます 帰りに病院までお送りします」 と、頭を下げた 康太は了承した この男も兵藤貴史同様… 引かない男なのは見て取れるから… 「では、病院までお送りします」 康太と榊原は戸浪の車で病院まで送られた 戸浪海里自ら運転する車で…送り届けられた 病院に行くと…四宮はICUに入っていた 今は処置を施され眠っていた 「一生、聡一郎の状態は?」 康太が聞くと、一生は説明を始めた 「聡一郎は、薬を盛られてたんだよ 意識朦朧となってる時に首を絞められ… 一時的に心配停止になったって言われた… 後遺症とか…解らねぇけど…… 取り敢えず命に別状はねぇらしい それより康太、おめぇはどうなんだよ! どうしてあぁ言う無茶すんだよ!おめぇはよぉ!」 一生の怒りはピークに達していた 康太は何も言わず…一生を抱き締めた 「一生…ICUで騒ぐな」 一生は、仕方なく黙る事にした そして、先程看護師に言われた事を康太に告げた 「所で、四宮の入院費って誰が払うんだ? 保険証を持って来いと、言われたが… 俺には解らねぇから、余計焦った」 「四宮の保険証って誰が持ってんだ? 入院費の出所かぁ…困ったな…」 康太が困っていると、戸浪が私が手配しましょう…と、申し出てくれた 「四宮聡一郎さんとは長い付き合いをさせて戴きますので 総て私の方で手配して、入院費も払います それがセキュリティを頼んだ代金には足りませんが、お納め下さい」 戸浪が言うと、康太は子供みたいな笑顔を戸浪に向けた 「それは助かった また馬を売ると、じぃちゃんに殺されるかんな!」 舌を出して笑う顔は…中学生よりも幼く見える 「貴方は、支援も援助も受けない だったら正統な代価をお支払するまでの事」 康太は四宮の金色の髪を掻き上げ、お願いします…と、頭を下げた その時、康太の携帯が胸ポケットで震えた 「電話だ!伊織出て」 康太は榊原に携帯電話を渡した 榊原は、それを受け取り病院の外に出た 「では、私はこれで 明日は9時にご自宅に迎えを出します」 と、頭を下げた、戸浪海里は帰って行った 戸浪と入れ違えで榊原は、帰って来た 携帯を康太に返すと 「瑛太さんからでした…」と電話の相手を告げた 「全部話したのか?」 榊原に聞くと、榊原は頷いた 「康太、瑛太さんがこちらに来るそうです…」 「止めろよ伊織…」 「無理です! 瑛太さんの溺愛を阻止出来る術は… 僕には持ち合わせてません…」 榊原に言われて康太は黙った 「一生、康太は明日と明後日、戸浪の会社に出向かねばなりません 帰宅しますが、君も一旦帰りましょう 此処は付き添いは禁止です 明日、僕も来ますから一緒に来ましょう」 榊原が言うと、一生は了承した ICUは付き添いは禁止だから仕方ない 一生だって解っていた 暫くすると…飛鳥井瑛太が駆け付けて来た 康太の首の赤い痣を見ると…目を顰めた 康太の顎を持ち上げ、瑛太は見た 「医者には見せたんですか?」 瑛太は榊原に問いかけた 「いいえ……見せてはいません」 「瑛兄、医者に見せる程じゃねぇよ それよりオレは家に帰りてぇ… 明日の朝、戸浪の車が来る」 「君…トナミを釣ったでしょう…」 「あぁパックリと食い付いたかんな! でも、あの場に若旦那がいなかったら、聡一郎は死んでいた 少し位…目ぇ瞑ってくれ瑛兄」 康太がそう言われると、瑛太は折れるしかない 「四宮聡一郎が四宮興産を継ぐ 待ってました!…と、北欧ルートにトナミ海運が食い込んで来る そしたら、北欧の材木も手に入りやすくなる 瑛兄のビルでも木の温もりのするマンションがコスト安く建てられる様になるのも夢じゃなくなる」 もぉー…そんな事言われたら…絶対に怒れない 「康太、聡一郎はICUでは付き添えないし、明日の朝トナミから迎えが来るなら…帰りましょうか 伊織も一生も、帰りますよ」 瑛太は康太を片手で抱き上げ歩く 駐車場へ着くと瑛太は、後部座席に康太と榊原を座らせるた 一生を助手席に座らせ…家へ帰って行った

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