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第52話 想い①

康太は飛鳥井の家に戻ると…玄関入って直ぐの応接間に行き…倒れるようにソファーに座った 客間に引き揚げようとした一生と、四宮も応接間に入って来た 康太とすれ違う一瞬の隙に、一生は康太の手に紙を渡した 康太はその紙を見て…ポケットに押し込んだ 榊原は康太の横に座り…膝に康太を寝かせた 榊原の膝の上に崩れ落ちる康太の髪を撫でた 榊原も瞳を閉じた 4人は…帰ってきた瑛太に起こされるまで… 眠りに落ちていた… 「伊織、康太…起きなさい 一生も聡一郎も、起きて食事にしますよ」 瑛太が体を揺すると、榊原は目を醒ました 続いて康太も目を醒ました 「あれ?もう瑛兄の帰ってる時間?」 寝惚けた康太が瑛太に聞く 瑛太は腕時計を康太に見せた 時計は午後8時半を少し回っていた 「腹減った 瑛兄、トナミの仕事は完遂した 総て完璧に…そして力哉を刻んで来た」 瑛太は黙って頷いた 「伊織、夕飯だ そうだ!清四郎さんから予定が急に入ったから明日、8月3日の夜で言いかと言われたから、了承しておいた。良いね?」 榊原は、はい!と返事した 一生と四宮を起こすと 瑛太は康太を抱き上げ、キッチンに連れて行った キッチンの椅子に座らせると、瑛太は反対側に座った キッチン行き一生と四宮は、康太の横に座った キッチンには隼人も帰っていた その横に力哉がいて悠太が座っていた 「康兄、もう力哉君に教える事はない 次は瑛兄に頼みなよ」 と、悠太が伝えた 「では、力哉! 明日から私と出社しなさい 君に仕事を教えるのは私の秘書の佐伯… 性格はキツいが…仕事は出来る 教わると良い!」 力哉は頷いた 「瑛兄、オレは白馬に行くまで休む 疲れたし、過酷だったし、もぉボキボキだかんな」 子供が駄々を捏ねる様に…康太も駄々を捏ねる 「康太…何が欲しいんだ?」 康太はニャッと笑った 瑛太は…背筋に冷たい冷や汗が流れた 「8月4日、ホテルニューグランドのディナー5人分… オレと伊織と一生と聡一郎と隼人の分だ 力哉は瑛兄ん所で秘書の修行をしてらっしゃい!」 瑛太は「解った。用意しておこう!」と、約束した 「明日の夜は清四郎さんが来て、明後日の夜はホテルでディナーだ そして翌朝、白馬に立つ 白馬には2週間滞在する どの道、お盆には家族全員白馬に来るんだろ?」 「あぁ…行ける者は行く」 瑛太は敢えて…行ける者は…と言葉を濁した 康太は早々に部屋へ引き上げ…眠った 戦う前の戦士の様に… 羽を休める 榊原は、それを解っているから… 康太を精一杯の愛で包み込む 激しく愛を交わす日もあれば… 静かに… 何もせずに抱きあって眠る夜もある… それでも、気持ちは満たされて… 康太は榊原の愛で、傷付いた羽を休める 何処へ行こうとも 必ず この腕に帰ってくる… 榊原伊織の腕の中へ… 必ず…帰って来る 8月3日の夜に、清四郎は妻と息子の笙を引き連れて、飛鳥井の家に尋ねて来た 康太と榊原は何時もの席に座った 今回は一生と四宮と力哉は…客間に控えていてもらった これは飛鳥井の家の話だから… 清四郎が席に着くと 飛鳥井源右衛門が 「わざわざ、ご足労をおかけ致しました」と深々と頭を下げた 「来年になると…康太は子供を引き取って育てます 康太は伊織君と二人で育てると言いましたが… 飛鳥井のこの家で育てて欲しいとお願いしました 伊織をこの家で住まわせる事を… ご家族にお知らせせねばと、お呼びした次第です どうか…伊織を…この家に住まわせて下さい!お願いします」 と、更に深く頭を下げた 清四郎は源右衛門に、頭を上げて下さい!と声をかけた 「伊織から聞いています 伊織は、康太君と住めるなら、住居は関係ない…と言ってました ましてや子供を二人で育てるのは限界があります 此処で同居して生活をさせてもらえるなら、私共は依存などありません 既に伊織は、此処で生活を共にしていると、聞きました 本当にありがたいです 伊織の生活費を包んで参りました 未成年のうちは親の努め…お納めください」 榊清四郎はかなり厚い封筒を瑛太に渡そうとした だが…康太は止めた 「清四郎さん、封筒は引っ込めよ! 瑛兄はお金は受け取らない 何故ならオレが伊織と離れられないのを知ってるからだ だったら、全力でサポートする それが飛鳥井の家だ 気になるから顔を見に来れば良い 遠慮は無用だ お金は…誠意にはならねぇよ」 清四郎は…康太…と、情けない声で康太を呼んだ 「清四郎さんが伊織にしてやりたいのは解る オレが子供を引き取ったら、会いに来たいのも解る オレと伊織の育てる子供だからな オレの子供だ」 康太は榊原を見詰め…悲しそうに笑った 「オレは伊織と二人で育てるつもりだった でも子守りをさせてやる…ってじぃちゃんと約束したかんな じぃちゃんは引かねぇ…なら此処で住むしかねぇ… 本当なら清四郎さんは…伊織の血を引き継ぐ子供を抱きたいんだろう…って思う」 康太は… 両手を握って絞り出すように続けた 「オレは…女じゃねぇから…伊織の子供は産めねぇ… オレは…笑われるかも知れねぇが… 伊織の子供が欲しい… 伊織の血を引き継ぐ子供が欲しい だけど!…… 伊織が誰かを抱くのは…… 嫌なんだ 伊織が誰かを抱いて…子供を作る…って 想像しただけで…オレは壊れる… オレの我が儘を許してくれ…清四郎さん」 康太は清四郎に頭を下げた 伊織の子供が欲しい… それこそが…康太の本音で… 康太の思いだった… 愛する男のDNAを引き継ぐ子供を育てたい それは…同じ性を持つ者同士では叶わない願い……でしかなかった 康太に頭を下げないでくれ…と 清四郎は言い…、泣き出した 康太と伊織を側で見ていたいのだ… 清四郎の妻の北城真矢は、口を開いた 「飛鳥井建設、副社長 飛鳥井瑛太さんにお願いがあります どうぞ、私の願いを叶えて下さい」 瑛太を見据え、真矢は話す 瑛太は…聞ける話ならば聞きましょう…と、真矢に返した 「今ある星城の家を高く売って下さい 300坪はあります そしてそのお金で…飛鳥井の近くに土地を購入して家を建てて下さい 勿論、土地売却だけの金額で足りないのは了承しています 足りない分は後程お支払致しますので、そこに、私達家族と笙夫婦と伊織夫婦、一生と聡一郎と、隼人が泊まれる程の客間を御願いします あの子達も離れないなら、共にいられる場を私達も提供したいのです 伊織、お前達夫婦の部屋も用意するので、たまには泊まりに来なさい それで総てが上手く行くなら、私共が 近くに住みましょう 宜しいですか?」 真矢は玲香に問い掛ける 飛鳥井玲香は…そこまで…思ってもらって… 康太は幸せだ…と涙した 「康太…伊織の子供は無理だけど… 伊織を産んだ、この母が子供を産みましょう! 貴方に伊織の血を引き継ぐ子供を、あげます! だから悲しまないで。」 北城真矢は…爆弾発言をした 北城真矢は…聖母の様な顔で微笑んでいた 「真矢さん…」 康太の目から…涙が零れた… 真矢はさらに続けた 「笙を17で産んだ私は、まだ43 まだ私は子供が産めると、病院で調べたら言われました 高齢出産だけど…産めない訳ではない…と。 康太が…伊織の子供を望むならば欲ば…産んであげるつもりで調べました。 清四郎に頑張らせて、必ず貴方に伊織の血を引き継ぐ子供をあげます」 真矢は康太の頬の涙を拭い だから……泣かないで…と、優しく抱き締めた 真矢の体臭は…榊原の匂いに似て…康太は肩を震わせて泣いた 愛する男の子供を育てたかった… 愛する男と共に…1つの命を育てて行きたかった 戸浪からもらい受ける子供も…精一杯の愛で育てて行く 決して区別や、別け隔てする訳ではないが… やはり愛する男の子供を、この手に抱きたかった… 愛するが故の…我が儘だと… 康太は…語った… 愛してるから… 離れたくはない… 愛してるから… その人の総てが欲しい… その人の細胞を引き継ぐ子供を 女なら産めたのに… と……涙した日もあった… 総ては… 榊原伊織を愛し過ぎるが故の… 想いだった 自分達に子供は無理だから… 諦めた… 一生の子供を精一杯愛し…… 愛する想いは強い 二人の子供として育てると決めた日から やがて来る子に悲しい想いはさせない… 一生の子も…伊織の血を引き継ぐ子供も… 何時か…くれる一条の子も… 総て愛して…育てて行こう 想いは受け継がせれるから… この夜遅くまで…飛鳥井の家は盛り上がっていた 清四郎が馴染みの店から運ばせた焼き鳥とお酒を、飛鳥井の家の人間は喜んで更に勢い付けて飲み始めた 客間から一生と四宮、一条と力哉を呼んで…宴会は更に盛り上がる 北城真矢は「あらま…またイケメンが増えてる」と、力哉を見て大喜びしていた 「安西力哉だ、オレの秘書をする人間だ!」 康太が力哉を紹介すると…皆の目が輝いた 飛鳥井の人間と…真矢は… 力哉にお酒を勧めた 力哉は注いでもらい、美味しそうに…飲んだ 幾ら飲んでも…酔わない その姿は酒豪と呼ばれた飛鳥井源右衛門を凌いだ 源右衛門は「我が友も酒豪だった…力哉…お前にはその血が流れているのだな」 と、呟いた 力哉は…泣いた 泣きながら…お酒をぐびぐび…飲んでいた 一生は、串に食い付き… 四宮は、鳥串丼を食べていた 一条は、瑛太の膝の上で…楽しそうに瑛太に餌付けされてた 康太は…全員を優しい目で見ていた そして…愛する男の首に腕を伸ばし…抱き着いた 「康太…どうしたんですか?」 康太は何も答えなかった それを見ていた悠太が…「暑苦い!」と怒り 一生は、「暑い時は腹が立つよな!」と、同意を求めた 四宮は…「独り者の僻み…」とキツい一撃を食らわせた 四宮は悠太の方を見て 「童貞は黙ってなさい!」と、ピシャッと言い捨てた 悠太は「フランス人形の襲撃だぁ…」と、涙ぐんだ 康太は榊原から離れると大爆笑した 「聡一郎、悠太は前月、凰蘭女学院の高校生のお姉さんと、初体験したかんな だから童貞じゃねぇもんよー!」 と、爆弾を投下 悠太は立ち上がって慌てた 「どうして康兄、知ってるんだよ!」 悠太が喚く 一生がヒュ~♪と口笛を吹いた 四宮は軽蔑した、冷たい瞳で悠太を見た 「年上のお姉さんが趣味とは…しかもオレとタメの女だぜ一生」 「こりゃまた…お姉さんに教えてもらったんだな…色々と。」 ますます冷たい視線が突き刺さる 「しかもFカップらしいぜ」 「おぉっビックサイズ♪」 四宮の軽蔑視線がMAXを越えた わぁぁぁ…と、悠太が慌てた 悠太は皆の前で…これ以上は止めて下さい…と、頼み込んだ 「悠太、お前…この女に本気なんか? 犯りたかっただけか…答えろ」 悠太は…本気です…と、答えた 「悠太、高等部のサッカー部の練習を見に行け 絶対に行けよ!じゃっ寝て来よう」 康太は立ち上がった そして榊原に手を伸ばす 榊原は、康太の手を取り立ち上がった 「隼人、どうする?」 康太が聞くと…一条は瑛太の膝から立ち上がって康太に抱き着いた 廊下に出ると一生が「Fカップの凰蘭女学院の女って、サッカー部の倉持の彼女じゃねぇのか?」と、聞いてきた 康太は「彦ちゃんはそうだって、タブレットに情報が入って来てたな」と、呟いた 「悠太に手を出した真意が…解らねぇんだもんよー」 康太が言うと一生と腕を組み…うーん…と唸った 四宮は、まるで門倉仁志…だ、と憐れんだ 一条は「女に慣れてない男が一番怖い オレ様が…童貞捨てた時…そうだった 好きだったのに…遊びだった… 殺そうかと思い詰めた日もあったのだ……」 ……と、染々呟かれた日には…康太は青褪めた 榊原は「倉持は…良い噂ありませんからねぇ 執行部としては頭が痛い人間です…」と、呟いた 康太は…それも悠太が撒いた種…少し様子を見るしかねぇもんよー…と呟き 康太は榊原と自室に戻り 一生と四宮と一条は、客間に戻った 部屋に戻ると、榊原は康太を後ろから抱き締めた 「康太の想いが嬉しかった… 僕は康太に愛されてるな…って 康太の想いが嬉しくて…押し倒してしまいたくなりました」 「オレの我が儘だ…オレはオレにしかなれねぇから…」 榊原は、康太を振り向かせ正面から抱き締めた 「康太だから…愛してるんだよ僕は… 僕は他の誰かじゃなく…飛鳥井康太を 愛してるんだよ? 愛してます康太」 康太の口から…伊織…と零れる 「中等部の頃から…康太が好きでした 康太が黒塗りのベンツの男に抱き着くたび… 苦しかった… 康太はその男のモノになってしまったんだ…って自分を悔やんだ 嫉妬でその男を睨んでいたのを…康太は知ってますか?」 康太は信じられない…顔をした 「知らない…」 「瑛太さんは気付いてましたよ 僕の嫉妬を中等部の頃から知ってて… それでも君の側にいるのを許してくれた…」 「瑛兄が…」 「好きで…好きで…狂いそうだった 康太を手に入れられるなら… 悪魔に魂を売り渡しても良かった… でも……僕の欲望で汚すには… 君は輝く穢れを知らない…無垢な魂過ぎて… 怖くて…手が出せなかった… 一生も聡一郎も知ってますよ そして瑛太さんも……」 康太は…榊原の想いを聞かされ胸が張り裂けそうな位…嬉しくて… 信じられない…想いだった 「オレの側にいて…ずっといて…」 康太は榊原の胸にすりより 「伊織しか愛せねぇ… 昔も今も伊織が好き」 榊原は、康太を抱き上げベットに運んで行った 「こんな事言われて…静かに寝させて上げれる訳ないでしょ…」 素肌に触れる榊原の体は熱かった… 互いの服を脱がすのも焦れて重なって… 噛みつく様な接吻を交わす 康太の性器も勃ち上がり…ズボンの中で…窮屈に押さえ付けられていた 榊原の性器も同様で…痛い程になっていた… 「ねっ…伊織…どうしょう…」 康太が熱で魘されたように訴える 「欲しくなっちゃった?」 聞くと康太は頷いた 中が…蠢いて…濡れていくのを感じていた 「ゃ…っ…ぃく…ねっ…伊織…ぃっちゃう…」 榊原は、ズボンを脱がそうとした瞬間… 康太は白濁を撒き散らし…イッた 「康太…早すぎ…」 康太はTシャツを脱いで、榊原にかかった白濁を拭いた 「ごめん…イッちゃった…」 しゅん…と、なる康太を押し倒して、榊原は見せ付けるように…服を脱いだ 鍛え上げたられた胸板… ズボンを脱ぐと…聳え立つ性器… 康太は…思わず見とれていた 「康太…ローションを垂らして…」 康太に…榊原の性器にローションを垂らすように言う 早く入りたかったのだ…康太の中へ 康太は榊原の性器にローションを垂らすと 誘うように脚を開いた 「伊織…」 康太の瞳が蕩けて誘うように榊原を見る 榊原は康太の脚を持つと… 一気に貫いた 衝撃が康太の体を襲う… だがそれは次の瞬間には…快感となり…腰が蠢く 求め合うのは体ではない 総てが欲しい… その体液一筋さえも…溢したくない位に… 康太の内壁が蠢き…榊原を、捉えて離さない 康太の内壁が何度も榊原を育て… 重なり縺れ合い…体力が許す限り… 二人は求め合い…果てた

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