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第75話 揺るぎない仲間

康太と榊原は昼まで微睡み…昼過ぎに起きて支度をした 榊原の持って来た着替えに、二人して着替えて、ホテルのラウンジで軽いブランチを楽しんだ チェックアウトしようとすると瑛太が既に払ったと伝えられロビーで力哉を待った 余り待つ事なく力哉は到着し、康太と榊原は飛鳥井の家へ帰った 榊原と共に帰って来た康太の姿に…一生は胸を撫で下ろした 一生の姿を見ると康太は、一生に抱き着いた 榊原は洗濯と掃除をして来るので、康太を見ていて下さい…と、言い自室に帰った 一生は康太を応接室に連れて行き…話を聞いた 「何があった?」 心配性の一生の顔に…康太は、瑛太に総て話した……と、告げた 「瑛兄に問い詰められて…全部話した…」 一生は「総て…?」と聞き直した 「総て…包み隠さず…総てを話した そして…恨まれて憎まれよう…って思った」 一生は、思わず額を押さえた 「あの人が…お前を恨むなんてない お前を憎むなんて…出来る筈などない…」 康太は静かに頷いた…そして一生に 「オレは無意識に瑛兄を求めたのか? 伊織の中に……オレは瑛兄を求めた?」 「それは違う。お前が榊原伊織に一目惚れした あの魂にお前は惹かれて止まなかった まぁ瑛太さんも…伊織もストイックさは互角だからな! 何たってお前は究極のブラコン…好きになるのは似ているかも知れないが、伊織に兄を重ねて…ってのはないと思うぞ。 でも…伊織は飛鳥井の家に馴染んだ… お前ら兄弟が並んだ中に伊織を入れて、一人だけ兄弟じゃないのは誰でしょう? なんてゲームをしたら、お前が弾かれる程に…伊織は飛鳥井の家族に馴染んだ だから俺は言ったろ? 旦那は飛鳥井に馴染んだって。 それイコール伊織を兄の変わりに…って事はないな…。 お前は究極の時代劇好きだからな…あの顔に一目惚れしたんだろ?」 康太は一生…と情けない顔をした 「オレ…高校時代の瑛兄の制服をストイックに着る姿が好きだった… 伊織もストイックに制服を着る…あの胸に抱かれたかった… あの顔に見詰められたら…死にそうになる… 今も…ドキドキする時…あるんだ」 完全なるノロケ…になって来て、一生は勝手にしろ…と言いたくなる 康太は一生の顔を…見詰めた 「一生…お前は…オレを恨んでるか…?」 一生は康太の頭をベシッと叩いた 「感謝してるか?の間違いだろ?」 そして片手で康太を引き寄せると… 「お前を恨める筈などねぇだろ! だから俺はお前と共に行けれる…違うのかよ」 噛みつく様に言葉にする、不器用な一生の最大の言葉だった 「一生…動くな…少し目を瞑っててくれ」 康太はポケットからピアッサーを出すと、一生の耳を消毒した… そして…躊躇う事なく、バシッと左耳に穴を開けた そしてピアッサーを引き抜き…見事なダイヤのピアスを嵌めた 「そのダイヤは戸浪から昨日渡された 母親から亜沙美さんに渡された、形見の指輪をピアスに変えさせた…お前にやんよ」 一生は……えっ…と耳を触った 「そして何時か…お前は名乗れ。 お前の父親は俺だと…そのピアスを渡せ そのダイヤは…凄い価値だ…落とすなよ」 康太は一生を、抱き締め…「ごめん…一生…」と呟いた 「康太…謝んな…俺はお前に救われた… あの夜…お前は俺の命を救った…それは事実だ…。 そして何時か…名乗って良いと言うのか…? 俺は幸せ過ぎるじゃねぇか…。 康太のバカ野郎…俺を泣かせるんじゃねぇ」 一生は、康太の胸に顔を埋め泣いた… 榊原が応接室に戻ると、一生は康太の胸に抱かれていた そっと一生に近寄り、榊原も一生を抱く… この夫婦は…どうしてこんなに…同じ様に優しいのか… 「一生…似合ってますよ…。」 優しく榊原の指が…一生を、甘やかし…撫でる 「康太が…一生の止まったままの時間を無理矢理動かした事を悩んでました そして…子供から引き離す…非情な事をする事にも…悩んでました 悩んで…泣いて…苦しんで…それでも康太は止まれない…許してあげて下さいね」 康太の苦悩の日々を…榊原が告げる 「お前等 夫婦は…俺を泣かせて楽しんでんのかよ! 俺はこれからも…康太と共にある だから…もう悩むな…俺はお前のする事に感謝こそすれ…憎んだり恨んだりなんてする訳ねぇだろ! 俺はお前等といてぇんだ…」 康太は榊原と見詰め合い…笑った その時…廊下をバタバタ走る音がした… その音は応接室の前で止まり、ドアがバタンーと開いた 康太は入り口を見ると一条が仕事から帰って来た所だった 「お帰り隼人。」 康太は笑って腕を開いた…… そしたら一条はその腕の中へ飛び込んで来た 「仕事が終わった… 少し…休みになるのだ 康太と遊ぶ…今年の夏は…オレ様は半分損をしている…遊びたいのだ…」 一生は起き上がり、康太の胸の中を一条に譲った 一生は一条に「もう…怖くはなくなったのか?」と聞いた 一条は「まだ怖い…でも立ち止まってしまうと、康太に置いていかれる…だからオレ様は働く…」と答えた 一生は、そっか…と微笑み一条を撫でた 「なら、ネズミの国に行くか?明日。 今夜は予定がある…だから動けない 明日で良いか?隼人?」 康太が聞くと、明日で良いのだ…と聞き分けの良い答えが帰って来た 中々一生が帰って来なくて、四宮は応接室に来たら、その光景を目にして 「ズルい…僕も入れてくれないと、グレますよ」と、四宮は一生と康太目がけてダイブした 「聡一郎…痛てぇよ!」康太が喚く 「俺を蹴るんじゃねぇ聡一郎!」一生が怒った そして一生の耳のピアスを目にして四宮は微笑んだ 「一生、似合うじゃないですか?そのピアス」 「当たり前ぇだ! 俺は男前だからな、何でも似合うからな」 一生がポーズを、取ると 榊原は「自惚れ…」と、呟きソファーから降りた 康太は「背負ってる…」と頭を掻いて、榊原に腕を捕まれ立ち上がった 一条は「人相が怖い…」と康太に引っ付いて起き上がった 四宮は「己を知らないって怖い…」と康太の側に行き ソファーには一生一人になった 「俺を一人にすんじゃねぇ! こう見えて俺は淋しがり屋なんだよ!」 と、言うと康太は手を差し出し…榊原が引き起こした 康太は一生の、頬に手をやり 「重い楔を…オレはお前に着けた…」 と、悲しげに呟いた 一生はふんっ…と笑い飛ばした 「なぁ一生…アイス冷蔵庫にある?」 康太が聞くと一生は 「瑛太さんが凄い量のアイスを買って来て、玲香さんに怒られてたな… あの人って何気にマザコン?」 と、答えて、康太は大爆笑した 「すげぇ鋭いやん一生ぃ! 瑛兄は究極のマザコンだ 嫁の京香は母玲香の器…そっくり よくもまぁ…同じ器と犯るもんだもんよー」 康太はケラケラ笑った 「オレは瑛兄には女を与えれる その女とセックスしろと与えれる だが、伊織には無理だ…オレ以外と犯るなら…オレはこの手で殺す…」 一生は康太の頭をベシッと叩いた 「この暑いのにノロケばかり聞かせんな!」 一生は吠えた 「一生…タマッてるならソープに行くか? オレ様はソープに行った事はないが、ソープは抜いてくれるのだろ?」 一条に欲求不満扱いされて…一生は切れた 「俺を欲求不満にすんじゃねぇ!」 皆は笑った 「さてと、も少ししたら支度せねばな伊織」 康太が言うと、榊原は頷いた 「隼人、聡一郎、キッチンでアイス食うもんよー」 行きましょう…とさっさと応接間を出て行く輩に 一生は、俺を置いて行くんじゃねぇ!と、叫んだ 榊原はもう面倒臭い…と一生を脇に抱えた キッチンに行き、榊原に椅子に抱っこして 座らせられたのは…言うまででもない…

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