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第78話 始動

支度が整うと康太は「伊織も行くか?」と声をかけた 康太が聞くと「何処へですか?」と尋ねた 「貴史んち」 「良いんですか?」 「無論!」 榊原は、軽い正装をした 着替えて応接間に行くと、清四郎もスーツに着替えていた 「なら行くとするもんよー!」 清四郎に言うと、康太は歩き出した そして飛鳥井の家の裏にあるバカデカい洋館の家の前に立つと、呼び鈴を鳴らした カメラを作動させた兵藤家の人間がに康太を捉え 「康太ではないか!」と、マイクに凄い声が聞こえた バタバタバタ…地響きの後、ドアが開くと、えらい美人が立っていた 「我のうちの前に家があるのに全然貴史に逢いに来ないから、淋しかったではないか!!」 と、どえらい美人は、康太に抱き着いた 榊原と清四郎は唖然となった… 康太は美人を抱き付けたまま 「兵藤の母ちゃんの、兵藤美緒さんだ」と紹介した 兵藤母は康太に言われ、目の前の人間に目を向けた すると榊清四郎が立っていて  「きゃぁぁぁ~」本物よぉと叫んだ あまりの騒がしさに兵藤貴史が出て来ると…唖然となった 自分の母が!こともあろう事か、康太を抱き締めていたから! 康太は気にする訳でもなく 「美緒は母ちゃんと友達で無類の時代劇好きなんだ」 と、康太が言うと 「我は康太も好きだぞよ」と微笑んだ 兵藤は母親から康太を引き剥がすと、怒った 「俺の客を玄関に足留めすんじゃねぇよ!」と。 兵藤は「清四郎と榊原に騒がせてすみません…此方へどうぞ。」と応接間に招いた 榊原と清四郎を応接間に招き、康太を母からの反撃から守り…疲れ果てていた 康太は応接間のソファーに座ると苦笑した 「相変わらず熱烈歓迎なんで驚いた」 「お袋は未だに康太と俺が入れ替われば良いのに…って言ってるからな…」 兵藤が謂うと「我は貴史も大切に想っておるぞ!」と微笑み謂った 「美緒、お客様にお茶を!」 兵藤は姿勢を正し顔を引き締めて謂った 美緒は置くに引っ込みお茶をいれに行った 皆がソファーに座ると、さっきとは違った雰囲気の兵藤美緒がお茶を持ってきた 美緒は皆の前にお茶を置くと、誰も座っていないソファーに座り、艶然と笑い 「康太、星を詠んだのかぇ?」と問い掛けた 康太は嗤って「勝機は我が手中にある」と答えた 「ならば私が動かずしてどうする?」 やけに乗り気な兵藤美緒に…康太は…やっぱな…と諦めた 康太は清四郎と榊原に「美緒は現総理 田邊政親の妹だ…」と教えた 似てもにつかない姿に…榊原は目眩を覚えた 美緒は清四郎に向き直ると、深々と御辞儀をした 「榊 清四郎殿、明日お暇でしたら我が国会と総理官邸をご案内致しましょう そして軽い会食にご参加戴けるのでしたら どの様な要望でもお聞きいたしますので、此方の御願いもお聞き下さい。 我がご案内した方が、見られもしない場所を堪能出来ます。」 美緒は一歩も引かぬ迫力でそう言った 清四郎は総てを飲んで 「明日ですね、解りました 何時に伺えば宜しいですか?」と問い掛けた 「我がお迎えに伺います。 我が引率致す成れば、奥様に誤解を抱かれないように説明が必要 奥様に御了承して戴くのが礼儀と存じる」 ……と、配慮も見せた 清四郎は「では宜しく御願い致します」と頭を下げた 美緒は康太の伴侶を見て 「しかし…悔しいわいのぉ‥」 と謂い康太の頬を撫で 「うちの貴史の伴侶に欲しかったのに…」 と、ボヤいた… 康太は苦笑した 「康太、彼がお前の伴侶か?」 美緒は、康太の伴侶をしかと見届けた 「良い男だ。流石康太の見る目は確かであるな」 美緒がそう言うと、兵藤は不貞腐れた 「話は着いたな。なら帰るかんな!」 康太は立ち上がると榊原に手を差し出した 榊原はその手を取り、立ち上がった 清四郎も立ち上がりお辞儀をすると、応接間を後にした 飛鳥井の駐車場へ行くと清四郎は、車に乗り込み帰って行った 康太と榊原は、着替えて…疲れて眠った

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