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第7話 姉の誕生日パーティ

 日曜日の午後二時。  進一郎が待ち合わせ場所の学校の前に行くと、すでに冬多は来ていた。  そして、なんと手にはピンクの薔薇の花束を持っている。 「えっと……、矢島、それ、もしかして姉ちゃんへのプレゼント、とか?」 「あ、うん。誕生日のパーティに招かれるのなんて、初めてだから、なにを持っていけばいいのか、本当に分からなくて……。それで、テレビドラマとかで、よく花をプレゼントするシーンがあるから……」 「うわー、なんかかえって気を使わせてしまったみたいだな」  瑞々しいピンク色の花束は、けっこうな値段がするだろう。 「手ぶらで良かったのに……ごめん」  進一郎が謝ると、冬多はすごく慌てた。 「え? そんな、あの、や、やっぱりケーキとかのほうが良かったのかな……?」 「いや。ケーキはちゃんと予約してあるし。花束、姉ちゃん超喜ぶと思う。でも、高いんだろ? 花って」 「そんなこと……。花屋さんがおまけしてくれたし……」 「ならいいけど。……でも矢島、おまえ」  笑いが込み上げてくる。 「その花束、買うのって、恥ずかしくなかったか?」 「……ちょっと、恥ずかしかった。店員さんがいろいろ聞いてくるし……」  消え入りそうな声で答えた冬多に、進一郎はとうとう吹き出してしまった。  進一郎の脳裏に、緊張でがちがちになった冬多が花屋に入り、店員に、「彼女にプレゼント?」「素敵ね、花束のプレゼントなんて」などと冷やかされている姿が、ありありと浮かんでいた。  戸惑い顔の彼の隣で、進一郎はひとしきり笑うと、冬多を促して自宅へと歩き出した。

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