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第20話 まだ一緒にいたいから

「きっと……佐藤くんと一緒だから……、楽しいんだと思う……」  その言葉は冬多の独り言のように、ついポロッと口からこぼれ出たという感じだった。 「えっ……?」 「あ……」  冬多がハッと自分の発した言葉に気づき、これ以上はないくらいに真っ赤になって、うなだれてしまった。 「……ごめんなさい……」  そして、ぽつんと謝りの言葉。なにかに怯えるように体を縮こませて……。 「なんで、謝るの? 冬多?」 「だって……。怒ってない……?」 「怒るはずないだろ。うれしいよ? オレは」  冬多は少しだけ顔を上げると、かすかに安堵の表情を浮かべた。  進一郎は冬多のことを、愛しいと感じた。大切に守ってあげたいとも……。  ――前から思っていた。  いったいなにをそんなに怯えているのか、と――。  彼に恋をしている今、自分が冬多を、その怯えているものから守ってあげたいと、進一郎は強く願っていた。  ファストフード店から出たとき、外は逢魔が刻を迎えて、夜の闇が少しずつ忍び込んできていた。  でも、進一郎はまだ冬多と一緒にいたかった。  だから、つい言葉が口をついて出た。 「あのさ、このあとちょっと、dvd探すの、付き合ってくれるかな?」  冬多はびっくりしたように進一郎のほうを見た。 「……僕なんかが、付き合ってもいいの……?」 「なに言ってんだよ。冬多が一番の適任者だよ。ホラーのdvdなんだから」  わざと、『ホラー』を強調して言うと、冬多はようやく口元をほころばせて、うなずいてくれた。

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