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第23話 触れ合う手と、突然の告白と

「え……と、これでしょう? 佐藤くん……」  冬多が探っていたラックから顔を上げ、一枚のdvdソフトを進一郎のほうへ向ける。 「……え? あ、ああ。それ。ありがとう」  はっきり言ってdvdのことは頭から飛んでしまっていて、進一郎は慌てて答えた。  冬多がdvdを持って進一郎の傍に来て、それを手渡してくれようとしたとき、二人の手が一瞬触れ合った。 「あ……」  慌てて引っ込めようとした冬多の手を、進一郎は気づけば握りしめていた。  dvdが二人の手をすり抜けて、ソファの上に落ちる。 「さ、佐藤く……?」 「冬多……」 「え……?」  名前を呼ばれ、うつむいていた冬多が顔をあげた。  小さな顔を覆っている長めの前髪が、サラサラと揺れて、かすかにシャンプーのいい香りがした。  夜の闇に包まれ出した、マンションの部屋で、好きな人と二人きり……。  進一郎の中で、その事実が大きくなっていって……。  思いが口をついて出た。 「好きだ……」 「……え?」  冬多は言われたことの意味が、にわかには理解できないでいる様子だった。  進一郎はつかんだままの彼の手をより強く握りしめて、今一度、自分の思いを伝えた。 「おまえが好きなんだ……、冬多」 「佐藤、くん……」  冬多はひどく驚き、そしてひどく狼狽えた。  やがて、二人に沈黙が降りてきた。  沈黙を破ったのは冬多のほうだった。 「佐藤くん……、手……痛い……」 「え? あ、ごめん」  進一郎は慌てて彼の手を離した。気づかぬうちに冬多の手を力いっぱい握りしめていたようで、彼の手が少し赤くなっていた。 「……オレ、帰るよ。……今日は楽しかった……」  ソファから立ち上がると、うつむいている冬多に言う。  進一郎の声が震えているのは疾走する鼓動のせいで……。冬多にまでその鼓動の音がきこえてしまいそうだった。

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