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第46話 複雑な背景

「お母さん、血が繋がっていないって……?」 「お父さんの再婚相手、なんだ。……だから、妹は……まだ赤ん坊だけど……、腹違いの妹で……。せっかく、三人で幸せに暮らしているのに……、僕が邪魔をするわけにはいかないよ……」 「そんなのおかしいじゃないか、冬多だって家族の一員だろ……?」 「そう……なんだけど……」  冬多は深くうなだれてしまった。 「とにかく連絡だけでも……」  冬多はかぶりを振り続ける。  ……なんだかすごく複雑な事情がありそうだな……。  進一郎はそれ以上の無理強いはやめることにした。 「……分かった。じゃ冬多、その……、専門のお医者さんに診てもらうのは、嫌か?」 「お医者さん……?」 「そう。心療内科、とか。心の病を専門にしているお医者さん」  心療内科に神経科、メンタル面に不調を抱えて、通院する人は年々増えていると聞く。  昔に比べるとかなり敷居も低くなっているし、あれこれ悩んで追いつめられてしまうくらいなら、専門の医師に相談したほうが気持ちも楽になるだろう。 「オレも一緒に行くから。……な、冬多」 「うん……」  冬多は今度はあっさりとうなずいてくれた。  姉に相談して、信用のおける医者を探そう、と進一郎は思った。 「佐藤くん……、いろいろ……ごめんね……、ありがとう……」 「バカ。他人行儀はやめろよ。襲うぞ?」  思わず口にした進一郎の言葉に、 「……いい、よ……」  冬多は肯定の返事を寄越した。

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