47 / 94

第47話 初めての大人のキス

「えっ……?」  思いもかけなかった冬多の言葉に、進一郎は冬多を凝視してしまった。  冬多は顔を真っ赤にしながらも、うつむいてはおらず進一郎のほうを見ていた。 「……バカ、本気にするぞ」  情けないことに進一郎の声はかすかにうわずってしまっていた。  冬多は進一郎の胸に、小さな頭をコツン、とくっつけてきて、消え入りそうな声で告げてきた。 「僕、誰よりも……佐藤くんが、好き……。だから、もっと佐藤くんのこと知りたい……」 「冬多……」  進一郎は冬多の顔を上げさせると、まずは額にキスを落とし、次に彼の唇へそっと自分の唇を重ねた。  冬多の唇は想像していたよりも、もっともっと柔らかくて……、止まらなかった。  何度も角度を変えて、冬多にキスを繰り返す。  かすかに震えている冬多の体を抱きしめて、触れるだけのキスはやがてついばむようなそれに変わっていく。 「冬多……」 「佐藤、くん……」  いったん唇を離して、冬多を見つめると、大きな瞳は潤み、頬はピンク色に上気していて……、進一郎の雄の欲望をダイレクトに刺激した。  でも、もうこれ以上は……。 「佐藤くん……、僕……佐藤くんを近くに……感じたい……」  恋人にそんなふうに言われて、欲望を抑えられる男などいないだろう。  進一郎はむしゃぶりつくように冬多の唇に自分の唇を重ねた。  噛みつくように口づけ、やがて、無意識に開かれていく冬多の唇のあいだに、舌を差し入れた。  ピクンと冬多の体が小さく跳ねたが、彼は逃げはしなかった。  進一郎は彼を安心させるように、背中を優しく撫でおろしてやりながら、冬多の舌を追いかけて、触れ合わせて、捕まえる。  冬多の体がとろとろにとろけるまで、舌を絡ませ、口内を味わいつくした……。   

ともだちにシェアしよう!