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第65話 帰り道
その日はそのまま冬多のマンションへ泊る予定になっていた。
途中の大型スーパーで夕食の材料を買い込み、マンションへの道を二人肩を並べて歩きながら、進一郎は冬多に聞いてみた。
「心理テストってどんなだった?」
「うーんとね……、いくつかの質問が書かれてあって、それに、はいといいえで答えるものと、漫画の吹き出しが空白になってて、それを埋めていくものと……、あとは木の絵を描かされた」
「木?」
「うん。なんかさ……、突然描けって言われたら、木って難しいね……」
「どんな木を書いたの?」
「すごく下手な……落書きみたいなものになっちゃった……。あんなのでなにか分かるのかな……」
クスクスと笑う冬多。
医者へ行った疲れはないみたいだ。……というより、医者へ行ったことにより、少し安心感を得たようにも見える。
進一郎はとりあえず胸を撫で下ろした。
マンションへ戻ってきて、冬多の手作りのおいしい夕食を食べ、ふたりで片づけをしたあと、一緒にお風呂に入ることにした。
脱衣所で服を脱いでいるとき、先週の金曜日の深夜、この場所で、シゼンに変わった彼に果物ナイフで襲われかかったことを思い出し、進一郎は不安を覚えた。
だが、隣でソロソロといかにも恥ずかしそうに服を脱いでいる冬多は、いつも通りの冬多だった。
もう二人、体を繋いでさえいるというのに、まだこんなに恥ずかしがって……本当、かわいいんだから……。
バスタブは広いが、さすがに男二人が入ると少々窮屈だった。
そして、恋人同士が裸で密着すると、もうあとはどういう流れになるかは分かりきっている。
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