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第10話

「へえー。やっぱり兄ちゃんが恋しくて戻って来たか」 台所のテーブルでPCのキーボードを叩いていた龍之が言った。鳥斗は彼の傍らにくっついて、読めはしないながら熱心に画面を覗き込んでおり、白夜は満ちるを手伝って食事の支度をしていた。 「うるせえよ。オッサンがわけわかんない連中引き連れて来るから、家離れてるのが心配になったんじゃねえか」 人貴が椅子を引いて腰掛けながら答える。 「じゃあお互い居候仲間だなあ。よろしく」 「なに言ってんだ!ここは元々俺んちだぞ!居候はオッサンらだけじゃねえか。そうだ、ここ住むなら、家賃入れてもらうから」 「ナニっ!?」 龍之が叫ぶ。 「なにがナニっだよ!当たり前だろ!タダで住まわせてやったらいつまで居座られるか知れたもんじゃないんだから。光熱費も折半な」 「うそでしょお~?ちょっと、満ちるちゃん……」 「甘えんな。俺も自分にかかった分は兄貴に払うつもりだから、それなら公平だろ。あ、そうだ、兄貴に飯作らせるなら食費もとらなくっちゃ。イヤなら出てけ」 「ひええ……」 大げさに頭を抱えた龍之を、鳥斗が心細そうに見た。 「叔父さん……どうしよう……」 「鳥斗君は気にしないでいいですよ。こうして白夜が手伝いで労働力提供してくれてるし。人貴、金のことだったらお前が心配する必要ないんだぞ」 「金の問題じゃないよ!ケジメの問題でしょ!兄さんは甘すぎんの!世の中厳しいってこと、ちゃんとこいつらにも教えてやんないとためになんないんだから!」 龍之が情けない声を出す。 「世の中の厳しさは……もう充分承知してるのに……」 「そうでもないくせに。今まで彼女に家賃払ってもらってたんだろ?ところでオッサン、今日は謝りに行ったのかよ?」 「行ったけど……桜ちゃん今日から出張なんだ……4日後に帰ってくるんだけど、それまではカギ変えずにおくからいないうちに荷物運び出しておいて、だって……」 「あーあ……もう見込みないんじゃねえの?で?荷物運び出すなら軽トラ使わしてやろうか?丁度借りてあるから」 「いやだ!いらない!」 「なに駄々捏ねてるんだよ……」 「運び出したら負けだ。絶対居座ってやる!」 「居座るも何も……とっくに追い出されてんじゃん……」 人貴は苦笑いした。 「荷物置いといて、処分されちゃったって知らねえぞ。まあ自業自得だもんなあ……」 夕飯の後、人貴が自分の部屋で寮から持って帰ってきた荷物を片付けていると、廊下からすみません、と鳥斗の細い声がした。立って行って襖を開けると、彼は小柄な身体をぴょこんと折り曲げて、人貴に向かってお辞儀した。その様は……なんだか雀か何かの、小さい鳥のようだった。 「……なに?」 人貴がぶっきらぼうに言うと、怯えたような顔をする。全く……俺が怖いなら近付いてこなけりゃいいじゃんよ、と人貴は思った。 「すみません……あの、教えてもらいたい事あって……」 教えてもらいたい?なんだろう、と思ったが、鳥斗が相変わらずびくついているようなので、少々苛ついた。怖がらせてるのは自分の態度のせいかもしれないが……俺は他の連中みたいにこいつを甘やかす気にはなれないんだから仕方が無い。 「じゃあ早く言えよ……忙しいんだ俺。見てわかんない?」 そうすると鳥斗ははっと気付いたような表情になり、もう一度すみませんと謝り、 「あのう、仕事って……どうしたら見つかるんですか」 と訊ねた。 「……仕事?」 なんだか意外な質問だったので、人貴は考え込んだ。部屋の中に戻り、散らばっていたものを足でよけて畳の上に腰を下ろす。手招きして鳥斗も部屋へ入れ、自分の前に座らせた。 「お前、仕事したいの?」 「はい」 聞かれると、鳥斗は案外しっかりした調子で返事をした。 「今日叔父さんに……お金のこと聞きました。仕事をすると、もらえるんだって。叔父さんはお話を書くのが仕事だし、人貴さんは会社に行くのが仕事で、満ちるさんは家のことをするのが仕事……」 「まあ……おおざっぱに言えばね」 「白夜には満ちるさんの手伝いができるけど、僕にはできないし。字も読めないから叔父さんの手伝いも無理だし」 「字、読めないんだ?」 「はい……それで、どうしようと思って叔父さん達に相談したけど、みんな鳥斗はそんなの気にしないでいいから、って……だから人貴さんにしか、訊けないんです……」 「なるほどねえ……」 人貴は少々面白く思った。今こいつはよってたかって甘やかされてるけど、どうも自分じゃそれが不満らしい。それなら俺が鍛えてやろうか。あの白夜とかいうのに囲われてたほうがよっぽど良かったと思い知らせてやるのもいいかもしれない……。 「そっか、そいじゃあ、俺の会社でなんか手伝いしてみっか?一つ心当たりあるから」 「えっ、人貴さんの?いいんですか?」 「ああいいよ。そしたら明日、一緒に行こう」 「ありがとうございます……よろしくお願いします」 鳥斗は緊張した面持ちで丁寧に畳に両手を付き、人貴に向かって頭を下げた。 翌朝人貴が起きていくと、鳥斗はもう支度して、やや顔を強張らせて待っていた。これじゃあろくろく寝てやしないんじゃないか、大丈夫かねえ……?そう思いながら人貴は約束通り、鳥斗を借りていた軽トラの助手席に乗せ、会社へ向かった。白夜は随分反対したらしいが、鳥斗が譲らなかったためあきらめたらしい。満ちるも驚いて心配したが、龍之が、人貴がいるなら平気だろうと呑気に言うので、結局鳥斗の気がすむようにさせてやろうということになった。 人貴は都内の住宅メーカーに勤めている。建物が好きで、本来は直接現場で家をつくる仕事に就きたかった。だが探した中で、人貴がやりたい事ができそうだと感じた会社は小さく、勤務時間も不規則で、収入も安定しているとは言い難かった。結局、兄に迷惑をかけないために、求人があったうち一番規模が大きかった今の会社に就職した。 現在の仕事では、諸々の建築許可を受ける手続きのための煩雑な書類作りや、下請け業者の手配、日程調整などが主な仕事でデスクワークばかりなのだが、会社と取引がある職人や作業員たちと懇意になったりして、せめてもの現場の雰囲気を味わっていた。彼らに人貴は、スーツよりも作業着の方がきっと似合うよ、などとよく言われている。 昨日乗ってきた軽トラックも取引き先である内装屋の友人に借りたものだった。その事務所へ寄ってトラックを返し、鳥斗を伴ってそこからすぐそばにある自分の会社へ向かう。裏口から人貴は鳥斗を、ビルの隅にある、管理室と書いた札が下がっている狭い事務所へ連れて行った。年配の人々が数人いる。 「っはようっす。梅田室長、見えてますか?」 人貴が挨拶すると彼らは口々に、おおう、とかおはよう、とか言い、中の一人が、梅田さーん、人貴さんが呼んでますよーと声をかけてくれた。 「なんだよ人貴。ボーリング大会の賞品の食券だったら、もうやったろ」 事務所の奥から白髪混じりの男性が現れて言う。 「その用じゃないですってば。バイトが急にやめちゃって困ってるって言ってたでしょ。代わりを調達してきたんです」 「代わり?」 梅田と呼ばれた男は鳥斗を眺めた。 「ずいぶん、細っこいなあ。きみ、高校生?」 訊かれた事の意味がわからなかったのだろう、鳥斗はきょとんと梅田の顔を見た。 「ああ、ええと……事情があって、こいつ学校行ってないんです。だから字も読めないんですけど、清掃係だったらどうにかやれるかなと思って……梅田さん使ってやってくれませんか」 「字が読めない?今時?そりゃあ……気の毒だなあ」 梅田は顎を撫でて考え込んでいる。その彼に一歩近付き、人貴は耳打ちした。 「見習い扱いで、時給も安くていいですからこき使ってやってください。仕事というか、こいつ甘ったれなんで根性鍛えなおしたいんですよ」 「ふーむ」 「あ、急なんで履歴書無いんだけど、身元は大丈夫です。俺の兄貴の友人の、甥っ子だから」 「うーん、まあ、人貴の紹介ならねえ。ええと、名前なんての?」 人貴に小突かれ、鳥斗が慌てて頭を下げた。 「鳥斗です、お願いします」 「そう……まあ人手不足なのは事実だからね、助かるわ」 「おし、じゃ、鳥斗、この人の言うこと良く聞いて、頑張れよ。後でさぼってないか様子見に来るからな」 「はい……」 こちらに背を向け、さっさと行ってしまう人貴の姿を見つめて鳥斗は考えた――彼のことはいまだに怖いのだが、いざこうして一人で知らない人ばかりの場所に置いていかれてしまうと心細い――梅田が鳥斗を呼んでいる。彼にツナギの作業服と、それと同じ色のキャップを手渡されたので見よう見まねで身に着け、鳥斗は道具を持ってほかの清掃員の後に続いた。 昼休み近く、人貴が書類を抱えて廊下を歩いていると、ガラス張りの吹き抜けの向かい側にある階段で、鳥斗が手すりを熱心に磨いているのが目に入った。ふん、どうにかやってるらしいじゃん、と人貴は思い、暫しその姿を眺めてから仕事に戻ろうとまた歩き出した。すると目の前にいきなり立ち塞がるものがある。あやうくぶつかりそうになった人貴は、見上げてあっと叫んだ。それは――白夜だったのだ。 「なんだお前!?なんでここがわかった!?兄貴に訊いたのか?」 「訊かなくともわかります。私が坊ちゃんの行き先を把握できないと思ってるんですか?」 彼は心なしか青褪めて、人貴に食ってかかる。 「いったいどういう事なんですか!なんで坊ちゃんがあんな下働きを――」 「下働きー?」 「掃除なんて下男下女のすることでしょう!」 「下男下女って……いつの時代の話だよ!?あのなあ、鳥斗みたいな奴が、他に何やれるって言うんだ!?それにな、掃除夫をバカにすんな!ちゃんとした仕事なんだぞ!雇ってもらえてありがたいと思え!」 「そうですけど……そうなんですけど……」 白夜は納得しかねるように呟いたが、次いで 「ああ……」 と溜め息をつくと、廊下に力なくうずくまって顔を伏せてしまった。 「な、なんだよ!そんなに坊ちゃんが手すり磨いてるのがショックだったのか……?」 こりゃ便所掃除なんかしてるとこでも見たら、卒倒しちゃうんじゃないか、と人貴が考えた時、彼は伏せたまま 「いえ違います。どうも街の太陽は……眩しすぎてキツくって……」 と言う。 「ああそう……太陽に弱いの……」 このビルは建築関連の会社のものだけあってデザインが凝っていて、ガラス張りの部分も多くある。今日のように天気の良い日中には、建物のあちこちに太陽光が反射してきらめいているのだった。 「鳥斗はどうなの?見たとこ……平気そうだけど」 人貴は伸び上がって様子を見た。今彼は手すりを磨き終わって、階段にモップをかけている。 「坊ちゃんは平気だと思います。旦那様は強靭なお方だし、奥様の血も入ってますから」 「ふうん……」 納得してから人貴は慌てた。なんだよ、なんか俺、こいつらの言うこと信用し始めちゃってるぞ……。 「仕方が無い……私は満ちるさんのお手伝いがあるので、帰ります」 白夜はややふらつきぎみに立ち上がると、いきなり人貴の手を両手でがしっと握った。 「どうか坊ちゃんの事……よろしく頼みます」 向かいから男性社員が一人歩いて来たが、人貴が長身で長髪という目立つ容姿の若い男に手を握られているのに気がつくと、ぎょっとなって目をそらし足早に通りすぎて行ってしまった。 「ちょ、おいコラ!はなせ!変な誤解されるじゃねえか!」 人貴は慌てて白夜の手を振り解いた。 「ほんとに……くれぐれも……」 「わかった!わかったから!」 人貴は持っていた書類の束で追い払う仕草をした。白夜が心配げに鳥斗に今一度目をやる。つられて人貴も鳥斗を見、目の前にいた白夜に視線を戻すと――彼はそこにはもう、いなかった。 夕方、自分の仕事を終えて鳥斗の様子を見に行った人貴に、梅田が嬉しそうに言った。 「鳥斗君さ、ちょっと要領は悪いとこあるけど、真面目でいい子じゃないの。さすが人貴の親戚だな」 「いや親戚では……まあいいや。使いもんになりそうですか?あいつ」 「もう少し慣れれば立派に役に立つよ。随分大人しいけど返事はきちんとするし。口下手なのかな、けど俺は嫌いじゃないねえ、ああいうの。それにあんな細っこいくせして案外力もあるし」 「へえ……?」 今まで坊ちゃん坊ちゃんと甘やかされていたのだから、肉体労働にはすぐ音を上げるんじゃないかと考えていた人貴には、梅田の鳥斗に対するこの評価はやや意外だった。 「で、あいつは……?」 「もうすぐ戻ると思うよ。梶のやつが仕事教えてる」 するとそこへ、清掃員が一人慌ててやってきた。 「ありゃ、梶。鳥斗君は?」 「し、室長、あの、ちょっと来てください。新人が大変です」 「え?」 人貴と梅田は顔を見合わせ、梶について事務所から出た。 「中庭に鳩が巣をかけちゃってフンがひどいって苦情があったので……その掃除に行ってたんですけど……」 「ああ、ひさしのとこの?取るには専門の業者呼ばないと、って言ってたやつか」 「そうです。それ話したら……新人が外壁にあがっちゃって……」 「ええ!?ど、どうやって!?」 梶の案内で中庭に着くと……なるほど鳥斗が……さながらロッククライミングのようにビルの外壁に張り付いていた。手がかり足がかりになる物があるようには見えないコンクリート張りの壁なのに、指先と、靴を脱いで裸足になったつま先を使い、器用にしがみついている。かなりの高さだ。人貴達が息を呑んで見ている間にも、鳥斗は身軽に壁をよじ登り、嵌め殺しの窓の上に突き出たひさしの奥に腕を突っ込み、鳩の巣らしい塊を取り出した。それを片手に抱え、今度はひょいひょいと下で見守る三人の所へ下りてくる。 その頃には周囲に他にも何人か見物人が集まっていた。やがて人貴の背よりも高い位置からすとんと飛び下りてきた鳥斗は、人々が自分を見ているのに気付いて不思議そうな顔をした。唖然とその様子を見ていた人貴は、唾を飲み込んでからやっと言った。 「な、なにやってんだよ……!?」 鳥斗は叱られたと勘違いしたのかびくりと身を縮めた。 「あ、あそこにある鳩の巣が……邪魔で困ってるって聞いたので……と、とったら……だめだったんですか?」 「違うよ!そうじゃなく……落っこちでもしたらどうするんだって!」 「いったい……どうやって登ったんだい……?」 梅田がまだ唖然とした様子で外壁を指差しながら訊ねる。 「あの壁……なんにもつかまる所なんかないじゃないか……」 「あのくらい凹凸があれば……爪がかかるので……」 鳥斗が答える。だが三人の目にはとても……凹凸があるようには……見えなかった。 「あの、この巣、どうしますか……」 鳥斗が三人の顔を交互に見、困ったように訊ねた。 「まだたまご無かったです……残念だけど」 「たまごがあったら……晩のおかずになってたわけだ。これの代わりに」 夕飯の席、話を訊いた龍之が箸で惣菜を摘んでおかしそうに言う。 「鳩のたまごなんか食ったことねえっつうの!」 人貴が米を掻き込みながら言い返した。 「まったく呑気なんだからこのオッサンは……!言っとくけど、落っこちたら確実に死ぬだろうって位高かったんだからな!まじで!」 「坊ちゃんがそんなヘマなさるわけないでしょ」 白夜は誇らしげだった。 「随分狩りが上達されたんですから。禽鳥と比べて色々不利なのにすごく頑張って……今じゃ殆ど引けを取らないんですから」 「まったく冗談じゃないよ……その後だって、室長や野次馬連中にこいつは山奥で育った野生児だからちょっと変わってるんだとかなんとか……適当に説明しなきゃならなくて……苦労させられたんだぞ!」 文句を言う人貴に、鳥斗は小さくなって謝った。 「ごめんなさい……」 「坊ちゃんが謝る必要なんにもないでしょ!」 白夜が呆れたように叫ぶ。 「この人貴は坊ちゃんの事いいようにこき使おうとしてただけなんだから!」 「な!なんで白夜その事……え!ばれ……てたの?」 「あなたの魂胆なんかお見通しですよ。ですけど坊ちゃんは、簡単に人間なんかに使役されやしませんでしょ」 白夜は澄ましている。人貴は 「なんだよ……だからわざわざ様子見に来たのか……」 と呟いた。 「どういうことだ人貴」 兄に睨まれて今度は人貴が小さくなる。 「だってさ……こいつ甘やかされすぎてるから……だからちょっと、社会勉強させて鍛えてやろうかなと思っただけだよ」 「鳥斗君にはそんなことは必要じゃない。彼はちゃんとわきまえてる。お前のしてる事は単に余計な世話だ」 満ちるが冷たくそう言うのを聞いた時、人貴の胸はぐさりと刺されたように痛んだ。どうして兄は、会ったばかりの他所の子のことを……そんなに理解した風に言うのか。 「ふうん……余計な世話ね。そうでしょうよ。ま、嫌ならいつでも辞めてもらってかまいませんから。……ごちそうさん」 言い捨てて人貴は箸を置き、立ち上がって食卓を離れた。 人貴が部屋でひっくり返って不貞腐れていると、鳥斗がやって来て、開けっぱなしだった襖の陰から覗き込んだ。 「……なに?」 人貴がムッツリ言うと、今度は鳥斗は怖がる様子はなく、部屋の前の廊下にぱっと正座し、手をついて人貴に頭を下げた――鳥斗はそういう丁寧な所作が随分と様になっている。人貴は思った。こいつはこういう……時代がかった生活習慣が当たり前の環境で育てられたのだろうか……。 「今日はすみませんでした。仕事、連れてってくださってありがとうございました。明日からはご迷惑かけないように気をつけます」 「……仕事、続けるの?」 「はい。続けたいです」 「あっそ……じゃあ、ま、頑張りな……」 鳥斗はもう一度、ありがとうございますと言って一礼した。彼が行ってから、人貴は襖を閉め、散らかった部屋の真ん中に座り込んでぼんやり考えた。 ……鳥斗がほんとに甘ったれで、性格の悪いお坊ちゃんだったら良かったのに。そうしたら……ちゃんと理由をつけて嫌う事ができる。なのにあいつはあんなだから……おかげであいつを好きになれない俺だけが、どんどん卑しい人間になっちまうじゃないか……

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