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第18話
夜が明ける頃――白夜が満ちるの家に戻ってくると――庭で鳥斗が空を見上げて佇んでいた。
「坊ちゃん!?ここにいつから――!?まさか――寝てないんですか!?」
白夜が驚いて訊くと、鳥斗は真っ赤に泣きはらした目をして言う。
「白夜――白夜ごめん。良かった――帰ってきてくれないかと思った――!」
泣き出してしがみついてくる鳥斗を、地面に降り立ち人の姿で抱きとめながら、白夜は詫びた。
「私が坊ちゃんから離れるはずがありませんでしょう――申し訳ありません――こんなにご心配かけるつもりはなかったんですのに」
「ちが……僕が悪いんだ――白夜が言ったとおり、繁殖期でおかしくなってるんだ。ごめん。ごめんね。酷いことして――」
「坊ちゃん……」
鳥斗が、白夜が手に持っている細い枝の束に気がついて、涙を拭いながら訊ねた。
「それ……里の……?」
「あ、はい!祝木 です!そうだこれで――お祝いに必要な縁起の品が全部揃ったんですよ!」
「まさか――昨夜はそれを探しに行ってたの?」
「あ、いいえ……」
白夜は照れたように言った。
「かなり探したんですけど、街の近くでは、これだけはどうしても見つからなかったんです。どうやら里にしかないものらしくて。でも里まで行ったりしたら一日では帰ってこられないから……あきらめてたんですが、昨夜どういうわけか黒羽が――これを持って来て、私に……」
「黒羽が……?」
「ええ。妙な奴ですよねえ……」
部屋へ戻って祝木を、二人で他の品と一緒に飾りつけた。そして白夜がそれらの前で、全部は覚えていないけどと言いながら、恥ずかしそうに鳥斗のために里の祝唄 を歌ってくれた。まだそれぞれの布団の中にいた他の皆も、微かに聞こえてきたその静かだが明るい節回しに目を覚まし、まどろみの中、良い心持で耳を傾けた。
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