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第9話

「はぁぅ、アァ・・・嫌!イヤァ!!!」 足の先から頭のてっぺんまで電流が駆け抜けるような感覚に戸惑いが隠せず、身を捩って逃げようとしたとき、門倉の三本目の指を押し込まれた。 「ひィッ!!」 「きっつ。何?男って慣れててもこんなにキツいもんなの?」 ギチギチの後孔に溜息を漏らし、変な誤解をしている門倉から綾人はキツく目を瞑って奥歯を噛み締める。 「まっ、いっか。ローション練りこんだし大丈夫だよね?俺、男って初めてだから要領分かんないんだわ。君、慣れてんでしょ?ちょっとリードしてよ」 歯を食いしばって声を押し殺す男気を見せる綾人に門倉は慣れを感じたのか、綾人の足首からズボンと下着を完全に抜き取ると大きく足を開かせ自分の腰を割り込ませた。 そして、ベルトを外してズボンを寛げさせ自身を取り出すとローションで濡れる綾人の後孔へぴたりとくっつける。 「や、やめっ・・・・」 青ざめた顔で目尻に涙を浮かべ、身体を震わせて許しを請う綾人に目もくれず、門倉は己のものを一気にねじ込んで綾人を串刺しにした。 「ィッーーーーーッ!!!」 声にならない悲鳴が上がり、痛みと強烈な圧迫感に涙を散らして足で門倉を挟むよう閉じ、身を丸めて強張らせた。 「マジでキツッ!いてぇ・・・、ちょっと緩めてくんね?」 顔を顰めて腰を揺すり綾人の顔を門倉はここで初めて見ると、目を見開いて息を呑んだ。 両目をキツく閉じて息を詰め、青い顔でガタガタ震えながら脂汗を額に滲ませる綾人に眉間に皺を寄せる。 「え?なに?・・・もしかして、初めてとか言わないよね?」 嘘だろと呟きながら綾人の頬を伝う汗を拭ってやると綾人は悲鳴を上げて顔を反らす。 「ひっ、ヒィっ!!」 明らかに怯えきってしまっている綾人に門倉はズルりと自身を引き抜いて綾人の手首のネクタイを解いてやった。 綾人は体を小さく丸めて自由になった手で頭を抱えて震えながら涙を流す。 そんな姿が痛々しくて、声を殺して一人で痛みや恐怖に耐える姿に門倉は胸が痛んで綾人を抱きしめるが、ビクッと大きく体を揺らし、自分を守るように丸める体は門倉から身を捩って逃げようとした。 「逃げるな。もう、しないから」 宥めるように頭を撫でて抱きしめ、優しく背中をさすってやると、緊張の糸が切れたように声を上げて綾人が涙を流した。 「ふ・・・、っ・・・ひっ・・・・ぅぅ・・」 震える肩が頼りなくて泣く声が痛々しい。 普段なら、感じることはない罪悪感が胸に溢れて門倉はバツが悪そうに顔を歪めた。 「悪かったよ・・・。勘違いして・・・・泣くなって」 今まで色んな女を泣かせてきたもののこんな気持ちにになったのは生まれて初めてだった。 「何でもするから本当、泣き止んでよ・・・」 ぎゅっと力を込めて抱きしめ、腕の中の綾人へ媚びるように門倉は囁いた。 「守るから・・・。約束するよ。だから、泣かないで?」 こんな面倒事、普通ならありえない。 だけど、この子を見た瞬間から心臓がうるさいんだ 自分でもなんとなく気付いてる そこまで鈍感でもなければ、己の気持ちに疎くもない ただ、初めてのことで戸惑ってしまった・・・ そう・・・きっと、これが噂に聞いていた「恋」というものなのだろう 頭と心が既に支離滅裂状態な自分に対して、門倉は人生でこの上ない後悔塗れの溜息を吐き出した。

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