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第14話

「やだやだやだやだ!!僕に構わないでっ!!!」 細い手首を掴まれて、自分の部屋へ来いと引き摺るように綾人をズルズル引っ張っていく三年生は半ベソかいて拒む天使に下半身を張り詰めさせて興奮状態MAXだった。 「部屋で勉強みてやるって言ってるだけだろ?俺ら3年なんだから、任せろよ!」 「そうそう。優しく教えてやるから」 「だから、早く来いって!」 談話室で同級生と一緒に予習勉強するにあたって、いまいち理解できないとボヤいていたときそれを見ていたガタイがいい体育会系の上級生、三人に綾人は取り囲まれた。 「い、いらないっ!先生に聞くから大丈夫です!!」 ぶんぶん首を横へ振って拒否する綾人はこの談話室での鑑賞美術品になっていた。 無邪気に笑顔を向けたり、一生懸命問題に取り組んだりする表情の豊かさに惚ける吐息を漏らすものは多く、今、綾人の手首を掴む男同様、いつ強行手段にでるかは時間の問題だったのだろう。 「先生より、俺らの方が優しく丁寧に教えてやるってば!」 「だったら、ここで教えて下さい!部屋には行かない!!」 怖いと、身を竦めていやいやと首を振る綾人に手首を掴むが男はフーっと苦しげに熱の篭った息を吐いた。 「お前のそれ、計算?可愛いにもほどがあるだろ?」 握られた手首を思い切り引き寄せられたとき、体が同時に宙を浮いた。 「え!?」 男の肩へ担がれるような形となり、綾人は気が動転したように暴れて悲鳴をあげた。 「な、なにっ!?やだやだやだやだぁあーーー!!下ろして!下ろしてっ!!」 足をバタつかせて明らかな抵抗を示す綾人の尻をバシンっと男は思い切り叩いた。 「いっ!!」 痛みとショックに身を固めて静かにすると、男は効果があると分かるや、ニヤリと嗤って脅してくる。 「暴れたら痛くて怖いこといっぱいするぞ?」 何を意図しているのか瞬時に理解する綾人は身を強張らせて涙を浮かべる。 助けて!! 周りを見ている傍観者に視線を巡らせたとき、絶望した。 青ざめて視線を伏せ、自分を見捨てる輩。 自分を部屋へ連れ込み襲おうとする男と同じような目を向けて興奮する輩。 その2パターンの人間しか今の自分の周りにはいなくて目の前が真っ暗になった。 やっぱり、寮生活は無理だ・・・ 家がないから寮にと思ったけど・・・ 逃げる場所がない綾人は自分に置かれた酷な現実に全てを諦めたように力を抜いた。 もう・・・ どうでもいいや・・・・ 投げやりな気持ちに駆られ、蜂蜜色の瞳をそっと閉じたとき・・・・ 「ちょっと、ちょっと〜。その子、俺の恋人なんで置いてってもらえます〜?」 あの飄々としたお気楽で緊張感を孕まない耳触りの良い声が談話室へ響き渡った。

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