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第16話
「消えろ!この変態!!僕に一生関わるな!!」
睨みつけて、毒を吐き捨てる綾人に周りは色々な意味で青ざめた。
この門倉にここまで悪態つくこと、そして、見目麗しい天使が実はこれ程までに気が強いことに驚愕する。
しかし、それは当の本人である門倉も同じだった。
「綾ちゃん、怖いな〜。仮にも恋人にそんな口、きいちゃダメだよ?」
「・・・は?恋人?誰のこと言ってんのか知りませんけど僕のこと言ってるならやめて下さいね」
眉間に皺を寄せて気持ち悪っと綾人が呟いたとき、門倉が一瞬で間合いを詰めて肩を抱いてくる。
「な、何!?」
馴れ馴れしい門倉を睨みつけ、腕を跳ね除けようとしたとき、耳元で囁かれた。
「守ってやるって言っただろ?俺の恋人って周りに公言しなよ。俺のものって分かってて手を出してくる輩はかなり減るよ?」
たった今、その効力を誇示された綾人は反抗する手をぴたりと止めた。
そっと門倉を見上げると、優美に微笑む王子と目が合う。
「・・・あんたに何のメリットがあるの?」
先日、自分に何の得もないと言っていた門倉に綾人はどういった風の吹き回しかと聞くと、優しく顔の王子は妖しい笑みを浮かべ、するりと腰へ手を下ろした。
「きっちり、報酬はもらうつもりだよ」
手の動きと意味深な言葉に加えて艶かしい笑みが三日前の出来事を思い出させた。
ボンッと顔を赤くすると同時に綾人は自分の肩に手を回す門倉の腕を払い退ける。
「〜〜〜〜っ!!死ねっ!馬鹿っ!!」
ふんっと、思い切り顔を逸らして綾人は門倉から身を引くと罵倒と共にその場を走って離れた。
その場に残された門倉は綾人の背中を見送ると、気を取り直し、パンパンっと手を叩いて周りを散らすように声を上げた。
「はーい!もう、解散〜!!」
まだまだ気になる野次馬達ではあったが、生徒会長である門倉の指示に従わざる得ないこともあり、渋々解散していった。
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