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第18話

「なに?ストーカー?ほんっと、キモいんだけど・・・」 やめてくれと言わんばかりの蔑む目に流石の門倉も心に何かしらのダメージを負った。 「そんなに嫌そうにしなくても良くない?仮にも助けてあげた訳なんだし」 「・・・別に助けてって貴方に頼んでません。っていうか、既に襲っといてよくそんなこと言えますね」 じとっと、睨みつけて吐き捨てるように言う綾人に門倉が肩を竦めた。 「だ〜か〜ら〜。あれは何度も謝ったじゃん。処女って知らなかったんだって。知ってたらもっと優しくしてたよ?なんなら、今からする?」 綺麗にベッドメイキングされた綾人のシングルベッドを親指で差しながら門倉が言うのを綾人は修羅の顔で睨みつけた。 ・・・・可愛い 悲しいことに、元の顔の作りが柔らかいからか、綾人の顔は喜怒哀楽どれを取っても愛らしいものとなる。 本人は気付いてないのかもしれないが、どれ程睨みつけられても恐怖など感じることはなく、むしろ生意気なその顔を泣き顔へと歪めてやりたくなった。 それは自分の捻じ曲がった性癖からなのか、綾人がそのように人を魅惑しているのかは謎ではあったが、門倉は己の欲望をグッと押さえ込み優しい笑顔を向けた。 「じゃあ、綾ちゃん。俺の助けが必要になったら教えてよ」 「そんなの一生ならない」 「そうかな?今日、明日にでもなりそうな気がするけどね」 「ならない!!」 拳を握りしめて怒鳴る綾人にはいはいと笑って門倉は携帯電話を取り出した。 「俺の番号、登録して」 ディスプレイにて表示された携帯番号を綾人へ掲げるも、綾人はプイっと顔を背けてそれを拒否した。 「やだ」 「嫌でも、助けが欲しくなったときマジで困ることになるから登録はしとけ」 低い声で凄むように言われ、驚いて門倉を見ると紅茶色の瞳が鈍く光って冷たさを浮き彫りに感じさせた。 チャラチャラとしたあの軽い雰囲気はなく、重く圧をかけるような気迫に押され、怖くて一歩後退する。 「綾、お前の番号は教えなくていい。だけど、俺のは知っといて。それなら支障ないだろ?」 威圧し過ぎたと、感じ取った門倉は綾人から視線を少しズラすと口元を笑みにして極力優しい声色で呼びかけた。 幾分、雰囲気が和らいだのを感じた綾人は少し警戒しつつも小さく頷いてズボンのポケットへ入れていた自分の携帯電話を取り出した。

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