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第20話

「僕のこと守ってくれる人、大募集〜!!!」 翌日、学校へ登校するなり自分を取り囲むクラスメイト達に綾人は純真無垢な愛らしい笑顔を向けて大きな声で告げた。 一同、目を丸くしたが、直ぐに身を乗り出して手を挙げ、天使の前へ名乗りを上げる数人のクラスメイト達に今度は綾人が目を丸くした。 「はいはいはいはいはーーーい!!」 「俺、俺、俺!!採用して!!」 「絶対守る!下僕になる!!!」 目の色変えて必死になるクラスメイトに顔こそ笑顔を保つものの内心ドン引きの綾人は落ち着くように指示をした。 改めて気を取り直し、立候補してきた男達を一巡する。 興奮気味はしているが、犬のようにお座りをしては指示待ちする従順な姿にこれならと口元を笑みにした。 この5人は合格かな・・・ 目の前にいるクラスメイトを品定めするように見て、心の中で呟く。 そして、その後ろにいる他の生徒達へも目を配り同じように品定めをしていった。 だが、発情したような顔で今にも襲いかかってきそうな輩に、これは不採用だと瞳を逸らした。 「とりあえず、君がリーダーでいい?宜しくね!」 入学早々、クラスの中心でムードメーカーを担っていた坂田 陽太(さかた ようた)を指差して綾人はフフッと天使と名高い笑顔を溢した。 無事に数名の親衛隊を得た綾人はこれで少しは過ごしやすくなるはずだと安堵した。 朝礼が終わり、午前の授業が始まる。次の休み時間がくるまで綾人は授業という名の休息を得る。 勉強は好きではないが、確実に身を守ってくれる保証のある時間なだけに苦痛ではなかった。 黒板に書かれてる文字をノートへ丁寧に書き写す。その姿に殆どのクラスメイト達が熱視線を降り注いできているのは重々承知でもあった。 息が詰まりそうで苦しい 中学のときよりその思いは確実に大きくなっていて、綾人は一人小さく息を吐いた。 何をそんなに皆んな、性欲に溢れてるのか分からない と、言うより、性欲ってなに? 高校一年生になった綾人は未だその辺は未発達で無知な部分が大きい。 とりあえず、知っていることといえばやたら皆んなが服を脱がしたがることと、体を触りたがること。 あと、写真を撮りたがること・・・ 何が楽しくて嬉しいのか全く分からなかった。 気持ちいいことしようと誘ってくるけど、これのどこが気持ちいことなのか分からない。 自分の体は女の子のように豊満でも無ければ柔らかくもない。 体は細いけど、ただそれだけだ。 僕も女の子に抱き着かれたりしたことあるけど、あれは純粋に嬉しかったし、気持ちよくも感じた。 やっぱり、同性ではない異性ならではの魅力なのだろう。 男同士で抱き着いたり触り合うなんて、気持ち悪くて吐き気がする。 あの門倉って男もそうだ・・・ っていうか! あいつ、僕のお尻に・・・ お尻にっ!!! カァーっと、顔を赤くして机に突っ伏しながら、あの日の悪夢を思い出した綾人は頭を抱えて悶絶した。 何をされたのかいまいち分からなかった。 恐怖が勝って、強張る体を縛られ、気がつけば犯されていた。 痛くて苦しくてパニックになって、意識を飛ばしたら、事は済んでいたようで直ぐに解放されたけど、やっぱり嫌だったし、衝撃ものだった。 もう、あんな恐怖に合いたくないと綾人は眉を顰めて拳を握りしめた。

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