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第25話
side 門倉
あー、可愛いなぁ〜
今日は偶然学校でも会えた
物凄い敵意と警戒心の塊だったけど、それでも可愛いものは可愛い!
笑えばもっと可愛いのに
でも、苛めて泣き顔見るのもいいな
「あ〜。ヤリてぇ〜。心置きなくめちゃくちゃに犯したいなぁ〜」
品性の欠片もない物言いではあったが、これが門倉の本音だ。
あの入学式、綾人の本気の泣きに不発に終わってから門倉は欲求不満だった。
性欲真っ盛りの男子高校生。今日辺り、授業が終わって外出がてら女の子でも引っ掛けに行こうとも考えたが昼間に綾人を見たからか、他の女を抱く気が失せてしまい真面目に生徒会室へ来ることにした。
あの強姦未遂の時に撮った綾人の写真を門倉は再びニコニコ笑いながら生徒会室の自分の席で見つめていた。
休憩がてらコーヒー片手にデレデレしながら画像を見ていたら生徒会室の扉が開いて九流がプリント片手に戻ってくる。
「お疲れー。先生に判子もらえた?」
「もらえた。っつーか、昼間のお前のお気に入り、なんか拉致られてたけど大丈夫なのか?」
どうでも良さそうに門倉に先程、生徒会の用事で職員室へ行っていた九流は寮へ帰る門の所で多人数の男達に逃げられないよう囲われていた綾人を見かけたことを話した。
「綾のこと?」
声のトーンを落として聞くと、九流が頷くのを確認して椅子から立ち上がる。
「そいつら、どこの誰だか分かる?」
「5、6人はいて全然わかんねぇ。ってか、一年だとは思うけど」
九流は明らかに雰囲気が変わった門倉へ目を瞬かせた。心なし、焦っているようにも見える。
九流は携帯電話を握り締め、部屋を出ようとする門倉へ呼びかけた。
「おい、仕事は?」
「んー。ちょっと待機しておきたいから今日は猛が仕切ってくんない?」
まだ他の生徒会メンバーが来てなくて門倉は自分の鞄も手に持った。
「はぁ?ふざけんなよ?俺だって好きで生徒会入ったわけじゃねーんだからな!」
「分かってる。俺に付き合ってくれたんだろ」
「騙されたんだよっ!」
自分の都合のいいように変換するなと九流が怒鳴ると門倉はいつものようにへらへら笑って怒る九流を残し、寮へと帰ってしまった。
それに対して九流は怒り心頭で次の日から生徒会業務をひたすらサボるというストライキを起こすとも知らずに・・・・
しかし、今は幼馴染みの機嫌よりも生まれて始めてできた初恋相手の貞操の危機に門倉は久々に本気で走った。
side 門倉 終わり
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