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第40話

あんなの、セクハラじゃんか・・・ 昼休み、午前の体育の授業での沈む気持ちが払拭出来ず綾人は購買部で買ったサンドイッチとイチゴオレを持って一人、中庭へと向かった。 親衛隊達が一緒に食べようと誘ってくるのを卑怯とは知りつつ、門倉の名前を出して逃げてきた。 中庭はちらほらと人がいるものの、人数は少なく空いてるベンチへと腰掛ける。 サンドイッチの封を開けて食べようとするも、周りの熱視線に食欲も失せて、綾人は大好きなイチゴオレを先に飲んだ。 甘い味が口内に広がって、どことなく安堵した。 「天使ちゃん?」 自分へふと、影が落ちてきて顔を上げると下卑た笑顔を見せる二人の男が立っていて、綾人はまたかと顔を顰める。 「午前中、岩田の授業でえっろい格好ばっかりされてたよな〜」 「窓から見てたんだけど、あの格好、俺らの前でもしてよ!裸で!!」 ニタニタ嗤う二人に頬を赤く染め、プイッと顔を背けた。途端、一人の男が綾人の顎を掴んで引き寄せる。 「生意気だな!俺ら2年でお前より先輩だぞ?挨拶ぐらいしろよ!」 「・・・・っ」 偉そうに言ってくる男を悔しそうに睨みつけると、綾人は自分に触れる手を払いのけてベンチを立った。 黙ってその場を立ち去ろうとするも、男達も付いて回るように追いかけて来る。 「しつこい!どっかいけっ!!」 ストレスが頂点に達したのか、カッとなって、手に持っていたサンドイッチを綾人は男目掛けて投げ付けてしまった。それに気分を害した二人は本格的に綾人を捕まえに掛かってきた。 「や、やだっ!だ、誰かっ!!!」 恐怖に駆られた綾人は脱兎の如く駆け出して中庭を飛び出し廊下を走ると、その後を二人の男が追いかけてきては、とんでもない嘘を吹聴し始めた。 「みんなー!天使と鬼ごっこだぞーー!!捕まえたらキスしてくれるってよ!」 その言葉にギョッとして、青ざめて周りを見渡すと、本気にしたのだろう他の生徒達は目の色変えて自分に飛びかかってきた。 「うっ、わぁ!!」 抱き着くように飛びかかってくる幾人もの男をすり抜け、綾人は必死に走った。 その後ろを欲に塗れた何十人ものの男達が長蛇の列を作って一人の天使を巡って追いかけ始めた。 「た、助けてっ!誰か、助けてぇぇーーーー」 捕まれば何をされるか分からない。 後ろを走る男達はそんなことを感じさせるほど、ギラギラしていて怖かった。 やだやだやだやだやだ! 怖い・・・ 誰か・・・ 誰か・・・・ 助けを求めたとき、悔しいことに門倉の姿が脳裏に浮かんで、綾人はやるせない気持ちに奥歯を噛み締めた。

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