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第45話
「アイスおいしー!」
約束通り、寮へと戻ったあと綾人はトレーナーにジーパンとラフな私服に着替えて、談話室へ来ていた。
ある一角のソファを占拠した親衛隊は真ん中に綾人を座らせると持ち寄ったゲームとお菓子を綾人へ差し出す。
ゲームはゾンビを銃でぶっ放すというシューティングゲームで、血が苦手な綾人は一度すると気持ちが悪いと二度目は降りた。
そして、いちご好きの自分の為にとジュースにアイス。チョコにケーキとたくさんのお菓子を前に目を輝かせた。
「いちごのムース食べていい?」
ゲーム中の友人へ一言告げると、もちろんと目の前のテーブルへ置かれて、綾人は嬉しいと頬張った。
甘酸っぱい香りと味が口いっぱいに広がって幸せに浸る。
「生のいちごもあるけど、食べる?」
坂田がゲームそっちのけに袋から出して綾人の前へそれを置いた。
「わぁ〜!おっきくて美味しそう!ありがとう」
上機嫌の天使に始終周りはデレデレしては見惚れる。いちご一つでこんなに笑ってくれるなら毎日でも貢ぎたいほどだ。
「白木、明日も一緒にここで遊ばないか?」
「明日?」
いちごの果物へカプッと歯を立てたとき、そわそわしながら誘われ、綾人は困ったように声を出した。
「ん〜。どうかな・・・。明日は門倉先輩と一緒だから〜」
「うっ・・・、そうか・・・」
門倉の名前を出すなり、一同視線を下げて残念そうに口を閉ざす。
とても従順でいい傾向だと綾人は心の中でガッツポーズを決めた。
そして、甘えるようにいちごを差し出した。
「ごめんね?また、誘ってね」
ふわりと微笑むその笑顔に親衛隊は皆、骨抜きにされ、差し出したいちごを受け取るのは誰なのかと揉め事が沸き起こった。
飴と鞭を上手に使い分けて飼い慣らそうとするも、皆んなが喧嘩をする姿を見つめ、己の未熟さに溜息を零した。
そのとき、厳しい綾人を律する声が談話室に響いた。
「白木!また、騒動を起こして貴様は反省がないのかっ!!」
肩を竦めてその人物を見ると、それは体育教師の岩川だった。
いつも、自分にやたら厳しく嫌なことを強要してくる岩川が綾人は苦手だ。
今日も授業にてセクハラ紛いの嫌がらせを受け、恐怖の対象者と化していた。
そんな岩川は憎々しげに自分を睨みつけながら近くへ寄ってきた。
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