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第47話
風呂上がり、暑い暑いと半袖シャツと短パンの部屋着に着替えた綾人は冷たいカルピスを飲む。
一息ついて、またあの体育教師のことが脳裏を掠め、溜息を吐いたら後ろからガバッと門倉に抱きしめられた。
「や〜っぱり、どことなく元気ないね〜。何があったの?相談してごらん?」
突然の奇襲にびっくりし過ぎて声も出なかったのだが、顎を捕らえられ後ろを振り向かされて目と目が合うと気恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じた。
ゔぅ・・・
これって言うべきなのかな?
門倉の瞳が妖しく揺らめくのを見て、綾人の心に動揺が走る。
すると、美しく整った王子の顔がゆっくりと近付いてきてキスをされた。
「ふぇ!!?」
新たな驚きにガバっと体を離すと、目を丸くしてこっちが驚いたと言わんばかりに門倉が目を瞬かせた。
「なに?どうしたの?」
「ど、ど、どうしたのじゃないですよ!なに、キスしてるんですかっ!!?」
止めてよと、腕で唇を拭うと門倉の顔が不機嫌そうに曇った。
「なんで拭うわけ?感じ悪いな・・・。俺たち恋人でしょ?」
「恋人って・・・」
そんなの名ばかりじゃないかと、視線を向けたら数歩先のベッドまで追い詰められて、流れるような手つきで腰を引かれて押し倒された。
「う、うそ!やだやだやだ!!」
慌てて起き上がろうとするが、がっちり門倉に押さえつけられ、身動きを取れない。
「綾ちゃん、やだって本気で言ってんの?どういうつもりでお泊まり来たわけ?」
呆れた口調で聞かれ、綾人は硬直した。
ぶっちゃけ、お喋りでもしながらダラダラ過ごすだけだと思っていたのだ。
だけど、この状況下ではそんな寝言はどう足掻いても言えそうもなく、綾人の顔色はどんどん青ざめていった。
「ま、待って!僕、誤解があったのかも!!ちょ、ちょ、ちょっと、話し合いしましょう!!!」
理解を求めたとき、するりと短パンの裾へ手を這わされて、今度は冷や汗がダラダラ流れる。
足をばたつかせて門倉の腹部を蹴り、本気で嫌がる姿をみせると、十中八九こんなことになるだろうと読んでいた門倉に妖しい笑みが浮かんだ。
「嫌がる綾ちゃんを啼かせるのも一興だねぇ〜」
余裕の笑みを浮かべ、素肌に羽織っていた肌触りの良いパーカーを脱ぎ捨て、歪んだ感情を見せる門倉の整った笑みに綾人は背筋にぞくりと寒気を感じた。
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