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第90話

side 門倉 「猛・・・。駄目だ。俺、えげつないくらい綾に八つ当たりしちまう・・・」 カフェへ一人で入るなり、携帯電話を取り出して門倉は幼馴染みの九流へと電話をかけていた。 『・・・このクソ野郎。生徒会業務放ったらかしといて言うことはそれだけか?何回、てめぇの電話鳴らしたと思ってんだ。てめぇの指示なしじゃ何も進まねーって分かってんだろ?』 怒りを押し殺した声音で罵詈雑言が返ってくるなか、門倉は頭を抱えた。 「そんな事より聞いてくれよ!なんか、逆ナンされて嫉妬するかな?って粘ってみたんだけど、悲しいぐらい完全無視された!それどころか、綾は同級生と会って嬉しそうだし、なんか、空気悪くなってお茶飲むのも結局一緒じゃないし、訳わかんないんだけどっ!?」 『うっせぇ、この独りよがりの片想い野郎!!どうせ、お前が飲みたくないなら飲まなくていい的なことほざいたんだろーがっ!取り敢えず、茶、飲んだら速やかに帰って来い!じゃねーと、明日からボイコットするからなっ!』 「ボイコットは困るけど、何か良い案ない?ちょっとは俺のこと助けると思って助言の一つでもくれない?」 九流の話は完全そっちのけにして、自分、自分と必死に藁にも縋ってくる門倉に九流は電話口で盛大な溜息が漏らした。 その様子から駄目かと、外にいる綾人へ視線を向けたとき、カルピスを飲む姿に胸が痛んだ。 本当なら目の前に座ってお茶を楽しんでいたはずなのにと思うと、やるせない。 もう、振り回すのも可哀想で、引き際なのだろうかと思ったとき、九流の低い声が告げてきた。 『そのエベレスト級の高いプライド捨てて謝り倒せよ。んで、機嫌とって好きだって喚け。それで無理なら泣け。そこまで自分落としてもいいっつーなら、今後お前のそのままごとみたいな初恋を本気だと認識して応援してやるよ』 吐き捨てるように九流はそう言うと、ブチリと乱暴に電話を切った。 ツーツーっと、電話の切れた音に門倉は何を言われたのか全く理解出来ず、暫くの間、頭の中を真っ白にした。 side 門倉 終わり

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