94 / 309

第94話

なに? この人、一体どうしたの? 何があったの?? 怖いぐらいの真剣さと本気と分かるほどの真摯な訴えに綾人は動揺を隠せなかった。 好き? 本当に?? 門倉の真意が掴めない綾人はとりあえず、このごちゃごちゃの頭の中のことを整理したかった。 「ま、待って・・・、ちょっと時間ください」 「いいよ。十秒でいい?」 「えぇ!?」 「はい。いーち。にー。さーん・・・」 いきなり軽快に数え始めてしまう門倉に余計パニックになる。 「ち、違う!十秒とかじゃなくて、せめて一日とか!!」 綾人が必死に訴えると、門倉はかずを数えるのを止めて、眉間に皺を寄せた。 「一日?そんなの長過ぎるよ。じゃあ、一分にしたげる。おまけだよ」 仕方がないなと、大して変わり栄えしない譲歩をしてくる門倉に綾人は頭を抱えた。 なんか、違う! なんか、僕のペースじゃなくない!? 結局、この人の・・・ ピリリリリッー 頭がごちゃ混ぜ状態になった時、ズボンのポケットに入れていた綾人の携帯電話が鳴った。 二人の意識が電話に集中して綾人は門倉の隙をつき、身を翻してポケットから携帯電話を取り出す。 「桜田!」 電話の相手は今日偶然会った中学の同級生の桜田からで、綾人は自然と顔を笑顔にした。 その様子を見ていた門倉はうつ伏せ状態の綾人を抱き潰すように上からのし掛かる。 「ぐぅえっ!く、苦しいっ!!」 「まさか、出ないよね?」 「え⁉︎」 めちゃくちゃ出る気満々だった為、驚くような声を出したら、門倉の顔が曇った。 「ちょっと、デリカシーなくない?俺、綾ちゃんに告白中だよ?」 「これ、告白なんですか?」 「告白じゃんか!それ以外の何?」 ・・・いや、強姦かなって とは、流石に口には出せず綾人は手の中で鳴る電話に目を落とした。 「す、少しだけ話してもいいですか?」 「だめ」 「本当にちょっとだけっ!!」 「やだ」 即決即答しては不機嫌さを醸し出してくる門倉に綾人も段々と苛立ちが起こった。 「あの!僕、言いましたよね⁉︎僕は僕の言うこと聞いてくれる人じゃなきゃヤダって!」 声を大にして文句を言うと、一瞬その言葉に門倉が怯んだ。 「・・・・分かった。じゃあ、出ていいよ」 フンッと、顔を反らせて綾人の上から隣にゴロンと門倉は横たわる。それに安堵した綾人は急いで携帯電話に出た。

ともだちにシェアしよう!