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第100話
やってくれますな、この天使・・・
仕事を終えて綾人へ目を向けた門倉はドッと疲れを感じたと言わんばかりに肩を落として溜息を吐いた。
「無防備にもほどがあるだろう・・・」
ベッドの上で、両手両足を投げ出す綾人は半袖に短パン、更にはシャツが捲れ上がっておへそを曝け出すという無防備な姿を披露していた。
俺がどれだけ我慢してるか分かってないな・・・
額を押さえ、タオルケットを被せてまた一つ溜息を漏らす。
そして、ベッドの脇へと腰掛けた。
あどけない寝顔の天使にムラムラと欲情してしまう。
だけど、それをやってはダメだと自分の理性を働かせた。
ここで綾人の了承なくして触れでもしたら、確実に別れることになるし、好きになっても貰えないだろう。
それは困る
自分の恋の終止符は恐らく両想い
手に入らないから欲しくて堪らないのだ。
今までの人生、自分が欲して手に入らなかったものは何一つとしてない。
だから、こんなに綾人に夢中なんだ。
そうとしか思えなかった。
綾人も俺を受け入れて好きにさえなれば、きっと自分はいつもの余裕が戻ってこの恋という無駄な感情から放たれる。
門倉はそう信じていた。
この気持ちさえ晴れればいい。
綾には申し訳ないけど、早くピリオドを打ちたい。
好きの感情がなくなれば、綾人を即座に捨てるつもりだが、ちゃんと高校生活は守り抜くとだけ誓う。
それが俺の誠意だ
「はぁ〜・・・。頼むよ。早く好きになってよ。綾ちゃん」
ちょんちょんっと、頬を人差し指でつつくと柔らかな触感に笑みが溢れた。
もっと触れていたい
いや、もっと触りたい・・・
一度触れると、止め処なく押し寄せる想いが苦しい。
だから、あまり一緒にいたくない。
でも、一緒にいないと気がおかしくなりそうなんだ。
好きで
好きで
頭の中がこいつ一色に染まる
頼むから、早く解放してくれ・・・・
門倉は綾人を見下ろしながら、重い溜息を再度吐き出した。
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