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第103話

「んっぅ・・・、も、毛布被って隠れてるっ・・」 首筋へ門倉の息がかかって擽ったいと、身を捩る綾人はハッと気がついたように門倉を押し退けて体を起こした。 「綾?」 門倉へ被せてもらった毛布を頭まで被ってベッドを降りようとする。それを、不審に思って腕を掴んで止めると、近くにあった箪笥を指差された。 「あ、あのね。タンス!タンスの中なら見つかんないし、音も聞こえにくいし、光も見えないからあそこ入りたい!」 だから手を離してとせびる綾人に門倉がもう一度ベッドの上へ綾人を組み敷く。 「そんなことしなくても俺といたら絶対鬼はこないから大丈夫」 「・・・・どうして?」 「俺が強いから」 「・・・・」 不確かな情報に眉間に皺を寄せる綾人は首を横へと振った。 「鬼って滅茶苦茶強いんですよ!人間じゃ勝てないんです!」 「大丈夫。勝てるから」 ムギュッと抱きしめて毛布の中へと門倉は手を進入させる。 少しでも綾人の体温を感じたくて、気が急くのに、幼稚な会話が鬱陶しい。 「勝てないってば!」 「あー、はいはい。分かった。分かった。じゃあ、大人の遊びしよう?そしたら鬼は綾が子供じゃないって思って来ないから」 やかましいと、顔を上げて適当に頷くと、門倉がバサッと毛布を剥ぎ取った。 「お、大人の遊び!?」 流石に素っ裸は恥ずかしいのか、毛布を被ろうと手を伸ばす綾人の手を払って門倉は優美に微笑んだ。 「エッチなこと。鬼も恥ずかしがって逃げ帰るよ。・・・どうする?」 する?っと、やらしくも品のある笑顔で聞いてくる王子に言葉に詰まる。 そんな馬鹿な行為で鬼が払えるもんかと、口を開こうとした瞬間、再び雷が落ちるあのけたたましい音が響いた。 どーンッと、鳴り響く雷は寮内の敷地内に落ちたのか、かなりの大きな音がした。 「か、門倉先輩っ!!!」 体を飛び上がらせて自分へ抱きついてきた綾人はガタガタ震えている。 可愛いくて目眩がした もう、我慢は十分した・・・ ・・・いいよね? 擦り切れそうな理性が尾を引いていて、まだ足踏みしていたとき、胸の中の綾人が涙を浮かべて顔を上げる。 「せ、んぱ・・・、エッチなことしてぇ・・・。鬼が来たらやだぁ・・」 顔を真っ赤にしてひーんっと、泣きながら卑猥なお願いをしてきた天使に門倉の中の糸がプツリと切れた。

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