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第113話

「もう、やだやだやだぁーーー!僕、帰る!!部屋に帰してっ!!」 食堂で夕食を終えた綾人はなんだんだと門倉を撒いて、部屋に帰ろうとした。 しかし、一人の所を親衛隊に見つかり、一緒に遊ぼうと追いかけ回されていた。 来週から会えないのが寂しいらしく、目の色を変えて自分を追いかけてくる男達に綾人は怖いと廊下を走って叫んだ。 た、助けて!! 辿り着いた先は悲しくも虚しく、あの門倉 優一の部屋で綾人は涙が浮かんだ。 しかし、この部屋の前へ立つやどんな男達もたじろぎながら去っていくのだ。 綾人はそんな男達の哀愁漂う背中を見送ったあと、門倉にバレないようにとそっとその場を離れようとした。 が、そんな上手くいくわけもなく・・・ 「いらっしゃい。綾ちゃん!」 にこりと微笑みながら、自分の部屋への扉を開く門倉に綾人はもう嫌だと額を押さえてうな垂れた。 「カルピス飲む?」 最近は綾人が来ることから門倉の部屋には自分がよく飲むミネラルウォーターとコーヒー以外にカルピスが常備されていた。 「・・・・ありがとうございます」 ソファの隅っこにちょこんと腰掛けて小さくお礼を言うと、コップに注がれたカルピスを差し出された。 「どうぞ」 自分用のミネラルウォーターの入ったコップを手に綾人の隣に座ってくる門倉は上機嫌だ。 こうなることは分かっていたとでもいうような態度に綾人は虚しさを感じた。 所詮自分はこの男の保護の下、成り立っていると思い知らされる。 この身を今日も捧げなければいけないのかと心がまた重くなった。 顔を伏せて元気がない綾人に門倉はよしよしと頭を優しく撫でた。 「綾ちゃん、ちょっと俺と真面目な話しない?」 真面目な話という割にはお気楽な声と雰囲気の門倉に綾人は呆れたような目を向けた。 「なんですか?」 ヤりたいならさっさとヤればいい。と、投げやりな気持ちを持っていた綾人が瞳を伏せて棘のある声を出したとき、門倉の低く真剣な声が頭上に降ってきて驚いた。 「帰省、嫌ならしなくていいから」

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