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第127話

「はっず・・・」 自分が書いたラブレターをぐしゃぐしゃに丸めた門倉は両手で顔を覆った。 自分の侵した行為に全身を羞恥心から赤く染める。 アホらしいと、近くのゴミ箱へ捨てて帰宅しようと椅子から立ち上がった。 こんなの書いて余計に綾に会いたくなった ゴミ箱の中のラブレターを一瞥して溜息を漏らし、何気なしに携帯電話を取り出した。 外で会うのは嫌そうだった様子から契約外だと言われるだろうかと、綾人へ電話を掛ける手を止める。 今日から親戚の三上家へ世話になっているはずだが、その三上家は全員旅行と調べは付いていた。 調査書では上手くいっていない様子の親戚関係だったが、その親戚自体がいないのならば気楽に帰省を満喫しているのかもしれないと門倉は電話を下ろす。 その時、手の中の携帯電話が鳴った。 「うっ!えっ!!わっ!!!」 びっくりして電話を落としそうになった門倉はワタワタと慌てた。 そして、ディスプレイに表示されるその着信相手に驚愕する。 白木 綾人 寝ても覚めても、たった今もずっと想いを馳せては頭を悩ませていた相手からの電話に硬直した。 「お、落ち着け!ま、間違い電話かもしれないし!!」 情けなくも喜ぶ気持ちに待ったを掛けては自分の気持ちを落ち着かせる努力に努めた。 有難くも素直に喜べない綾人からの電話に門倉は早く出なければと、ニヤける顔を手のひらで押さえ込み、高ぶる気持ちをひた隠しにして電話へ出た。 「もしもし!綾ちゃん?どうかした?」 いつも通りの声でいつも通りの自分を装う。 バクバクと鳴り響く心臓が痛くて、綾人の声が聞けるかと思うと耳に全神経が集中する。 あの鈴が鳴るような声が聞きたい 「綾?」 浮かれた声でもう一度名前を呼んだとき、電話の向こうから涙で掠れた声が自分の鼓膜を震えさせた。 『門倉せんぱ・・・、たすけてっ・・』

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