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第130話

「な、なんだ!?」 玄関の方でけたたましい音が聞こえて三人の男達が綾人の体を離して身の危険に焦り始めた。 体を起こそうとしたとき、リビングの扉から一人の男が姿を見せる。 紅茶色の瞳に同じ色をしたサラサラの髪。 品の良い顔立ちは王子様そのもので圧巻するほど美貌だった。いつもと変わらない門倉の風貌は、今日はいつもは見せない怒りに身を纏い修羅の如く冷たい瞳をしていた。 「か、どくら先輩・・・」 裸に剥かれ、男三人に囲まれた綾人を一瞥したあと、門倉はにっこりと口元を弧に描いた。 「綾人に触った順番から俺の前に並べ」 絶対服従とでも言うような軽快かつ、制圧する声色に三人の男達が身を強張らせる。 「聞こえないの?その下半身のものさっさとしまって早く並べよ。俺が優しく言ってる間にしないと・・・」 ヒュッと、目を細めた門倉は拳を握り締めて近くの壁を思い切り殴りつけた。 「「「ひっ!!」」」 ドカンっと、大きな音と共に壁に大きな穴が開く。 それを見た三人は顔面蒼白になってその場に立ち上がり、門倉と仲間になれないかと馬鹿な考えを巡らせ始めた。 「ま、待てよ!そんな怒んなって!!こいつ?こいつ狙いなんだろ?まだ俺らもお手付きだ!ほら!アンタに一番に順番譲ってやるからさ!機嫌直せよ」 一緒に綾人を輪姦そうと誘ってくる男に門倉はにこりと優美に微笑むと足を一歩進めた。 その優しげな笑顔に胸を撫で下ろした三人は両手を広げて門倉を迎える。 「ほらほら!ローションもぶっかけたし、コイツ寮ではヤりまくってるらしいから直ぐにでもブチ込んでっガァ・・・!!!」 嬉々として話しかけてきた一番手前の男の顔面を門倉は拳で思い切り殴った。 地面へ叩きつけられるように倒れた男の腹部をすかさず蹴り上げる。 嗚咽と悲鳴を上げて痛みにもがくその姿を冷徹な目を向けながら、門倉は攻撃を止めなかった。 同じ箇所を同じ力で際限なく蹴りつけてくと、屈強な体を持つ男は痙攣を起こしては口から血を吐き出した。 それを見た残りの二人が止めに入ろうと駆け寄ってきたのを門倉はひらりと躱して、男の一人の胸倉を引き寄せると目と目の間を拳で何度も何度も殴打した。 意識を失い泡を吹くまで行われたその行為に最後の一人が腰を抜かせる。 その男の頭をサッカーボールでも蹴るかのように思い切り蹴飛ばす。 体全体が宙を浮いて、首がおかしな方向へ向いては白目をむいてその男も泡を吹いて気を失った。 一連の流れを見ていた綾人は恐怖から青ざめてはカタカタと体を震わせて硬直した。 「綾・・・」 返り血からで汚れる手を差し出し、門倉が地べたに両膝をつく。 名前を呼ぶ声がまだ険を含んでいて綾人はビクりと身を竦めた。 怯える綾人に反省した門倉はまだ治らない怒りを隠すように一度深く息を吐くと、いつものような笑顔を見せた。 「綾ちゃん。もう大丈夫だよ」 柔らかく優しい笑顔と共に名前を呼んでやる。 すると綾人は目を見開いたあと、顔はくしゃりと歪めて門倉に手を伸ばして大声を上げて泣き声を上げた。

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