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第146話

「お邪魔します・・・」 門倉と別れたあと、綾人はざくろに誘われてざくろの部屋へと来た。 「すぐにクーラー入れるね!」 白い家具で基調された部屋はとても爽やかで清潔感のある明るい空間でセンスの良さを感じた。 「いい家具使ってるね」 ソファへ腰掛け、丸みを帯びたテーブルを撫でて綾人が言うと、ざくろは苦笑する。 「九流先輩の見立てなんだ。俺じゃこんな良いの使わないよ」 その台詞に綾人は門倉の親友である九流 猛を脳裏に過ぎらせた。 門倉同様イケメンだが、無愛想で強面の九流を綾人は苦手だった。 「・・・九流先輩と付き合ってるの?」 冷たいお茶とお菓子を差し出され、会釈しながら学校で噂になっている真相を聞くと、ざくろの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていった。 どうやら、付き合っているのだろう。 ざくろの分かりやすい反応で綾人は察した。 「九流先輩って優しい?なんだか、いっつも怒ってて怖いイメージしかないな・・・」 お茶を一口飲みながら言うと、ざくろは誤解だと慌てて九流を擁護した。 「物凄く優しい人だよ!無口で少し誤解されやすいけど、とても情に熱い信用出来る人なんだ」 嬉しそうに笑ってそう言うざくろはとても幸せそうで美しい。 愛し愛され、両想いなのを伺えた。 情に熱くて信用出来る・・・ 門倉には程遠い褒め言葉だなと、失笑するとグイッとグラスを傾けてお茶を飲み干す。 「素敵な関係みたいでいいね」 ふわっと微笑む綾人に今度はざくろが目を奪われた。天使と名高いその容姿は本当に愛らしい。 クラスでも絶大な人気を誇る彼をざくろはいつも羨ましかった。 気後れするほどの美貌とは裏腹に醸し出す雰囲気は甘くとても品があって、気さくだった。 触れると幸せになれそうなそんな錯覚を覚えては、天使に触れようとする者が多いと聞くが、この容姿ならばそう思ってしまうと見惚れてしまう。 「どうかした?」 首を傾げることで蜂蜜色の髪が揺れ、微笑むその顔に息を呑む。 「天使みたい・・・」 心の中の声が知らぬ内に漏れて、我に返ったざくろが赤面した。 「ご、ごめん!あんまり綺麗で!!」 俯き、焦って謝罪するざくろに綾人は吹き出して、声をあげて笑った。 「ざくろ君とこうしてちゃんと話すの初めてだよね。僕の事なんて眼中にないと思ってたからそんな風に言ってもらえて嬉しいな」 「眼中にないなんて!いつも白木君は人気者だし!!俺はその・・・根暗だから・・・」 決まって一人で過ごしているざくろは恥ずかしいと苦笑した。 「君が綺麗過ぎて誰も近寄れないだけだよ。それに・・・」 グラスへ新たにお茶を注いでくれるざくろの手を見つめて綾人は続けた。 「九流先輩の恋人だから更にハードルが上がってるんじゃないかな?」 「え!?」 九流の名前を再び出され、驚を突かれたと、ボボボッと顔を赤くするざくろの純情な姿に綾人は目を丸くした。 「もっと、高飛車なんだと思ったら凄い純なんだね。もっとこなれてるのかと思ったよ」 自分への印象を率直に告げられ、そんな風に思われていたのかと認識したざくろは恥ずかしそうに顔を俯かせた。

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