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第154話
甘く熱い告白に綾人は何を言われたのか分からなくてキョトンっと目を瞬かせた。
しかし、それを見ていた周りの人間は顔を赤くしては門倉の求愛に目を見張らせた。
「愛してる・・・。ずっと探してた。不安にさせたならごめん。その格好、俺の為にしてくれたの?凄く可愛いよ。ありがとう・・・」
謝罪含みの褒め言葉と共に目尻に浮かぶ涙をペロリと舐め取られ、流石の綾人も顔を真っ赤に染める。
「うっ・・、ちょっ・・・、は、恥ずかしいっ!」
周りの目がと、慌てふためく綾人を門倉は顔中にキスの雨を降らせては唇を何度も掠め取っていった。
「綾、こんな可愛い姿のお前は誰にも見せたくないな・・・。ねぇ、このまま攫っていい?」
止めてくれと顔を俯かせて羞恥に身を強張らせていた綾人は門倉の提案にこくこく頷く。
それを見た門倉は桜田を一瞥し、自分を追いかけ回し、付いてきていた女の子達へ笑顔で挨拶をした。
「それじゃあ、お嬢様方。ごきげんよう」
美しくも華やかな雰囲気へと戻った御伽の国の王子を前に女性陣は一同、顔を真っ赤に染めると、ごきげんようと口々に惚けたように挨拶を返して門倉の背中を見送った。
「ど、どこ行くの?寮に戻らないの⁉︎」
運び込まれたのは学校の何処かの空き部屋だった。準備室にでも使われていたのか、部屋には大きな机と数個の椅子しかない。その机の上にはペンやノリの文具、布や綿などが散乱していた。
「寮に戻ってもいいんだけど、もうすぐ始まる打ち上げ花火を綾と見たいんだ」
トンッと、簡易型の折りたたみ椅子へ座らされると門倉は床に片膝をついた。
綾人の裸足の足を手に取ると、チュッと足のつま先にキスをした後、握っていたヒールを恭しく履かせる。
「今日の綾は天使っていうより女神だね」
大きな窓から夕焼けの光が射し込んできて、綾人を照らす。
とても神々してく美しいと、門倉は少し体を上げると女神の腕を引っ張って、机の上に放り出されていた大型の布を地面に敷くと、綾人をその上へ押し倒した。
「っえ!?花火見るんじゃないの!?」
妖しく揺れる紅茶色の瞳に色気が孕み、怯えた目を向けた。
「見るよ。でも、その前に安心させてよ・・・」
長い髪を器用に横へと束ねられ、首筋へ唇を這わして熱い吐息で囁かれた。
「俺の天使は俺のモンだって、体感させてくれ」
噛みつくように首筋へ赤い所有物の証を残す門倉に痛みでびくんっと、体を跳ねさせると優しく宥めるように体を抱き締められた。
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