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第156話

「綾ちゃん・・・、教えて?」 「・・・・」 「あ〜や〜。何考えてんの?」 「・・・・」 ふにふにと頬を引っ張っては優しい声を繰り返し続けると、警戒心が徐々に溶けてきたのか、綾人の体から少しずつ力が抜けていくのを感じた。 「綾・・・。好きだよ。俺、綾と一緒に気持ちよくなりたいな」 チュッと、唇にキスを落としながら甘く強請ったとき、綾人はモゴモゴと口を開いた。 「・・・お尻だけでも気持ちよくなるから大丈夫」 「うん。でも、お尻以外でも気持ち良くしたいんだけど」 「・・・・」 「俺に触られるの嫌?」 「・・・門倉先輩になら何されてもいい。でも、今日はやだ」 視線を伏せながら赤い顔で答える綾人に門倉は首筋に唇を這わせながら聞いた。 「俺のこと好き?」 その質問にピクリと肩を震わせた綾人は唇を噛みしめる。 「答えて」 「・・・・」 真面目な声で聞くが、答える気配のない綾人に門倉は出方を変えた。 「じゃあ、好きなら抵抗しないで」 顔を上げ、答えてくれない綾人に少し傷付いた表情を浮かべる門倉は綾人の両腕を押さえつけて胸元へ顔を埋めた。 「あっ!や、やだっ!!」 「俺のこと嫌いなの?」 「嫌いじゃないっ!」 「じゃあ、好き?」 「・・・それは・・」 言えない・・・ 言うと自分を今後コントロールできなくなりそうだから・・・ 悲しそうに顔を歪めて口を閉ざす綾人に門倉は舌打ちしながら、ワンピースの胸元をずり下げた。 ピンクの飾りが露わになって憎らしいと歯を立てる。 「い、イヤぁ!やだやだやだぁ・・・っ・・」 「どうして?訳を言ったらやめてやる」 睨みつけながら言うと、綾人は観念したように理由を口にした。 「だって・・・、だってぇ、女の子のように胸ないもん・・・・っ・・」 「・・・・は?」 意味不明な綾人の理由に門倉が気の抜けた声が出る。 「だからぁ・・・っ、僕、男だから胸ないっ・・先輩は女の子がいいんでしょ?」 ひ〜んっと、涙を流しながら訴える綾人に門倉はそんなことかと脱力した。 そして、呆れたように押さえつけていた腕を離してスカートの裾を捲り上げた。 「もしかして、そんな事が理由で前も触らせてくれなかったわけ?」 むぎゅっと、綾人の小さなものを握り締めると綾人はびくんっと、肩を竦めて瞳をキツく閉じた。 「綾。答えろ」 厳しい声が命令してきて、震える声が涙声で答えた。 「・・・女の子にはこんなのないもん」 やたらと女の子、女の子を連呼する綾人に門倉が参ったなと溜息を吐いた。 「あのさ!俺、言ったよね?」 塞ぎ気味の顔を無理矢理上げさせると門倉は懇願するように再び愛の言葉を捧げた。 「他の女なんて目に入らないぐらい綾は俺の一番だって・・・」

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