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第184話
「門倉てめぇ、ズルしてんじゃねーぞ!」
「チッチッチ!猛君。実力の差だよ」
サイコロ片手にふふんっと、勝ち誇る門倉は次にサイコロを振れば一番上がりだ。
やたらとゲームに強い門倉は連勝続きで九流が段々とムキになっては機嫌を悪くしていった。
「門倉先輩、強いね・・・」
驚きだとざくろがボヤくと綾人はサイコロだと勝てないと唇を尖らせた。
「絶対サイコロの目を操る振り方知ってるんだよ」
ズルいと頬を膨らませる天使に門倉がそれならとテレビゲームを指差した。
「俺はこっちで勝負してもいいけどね」
その言葉に挑発されたのは九流で、テレビをつけるとシューティングゲームだのカートレースだの格闘ゲームだのと白熱し始めた。
なんだかんだと大人びた二人だがこうして見ていると高校生なのだなと、綾人とざくろが笑い合う。
段々とゲーム自体に飽きてきた綾人とざくろは休憩しようと門倉が用意したサンドイッチやお菓子を食べた。
結局、丸一日ゲームに熱中した四人は疲れたと夕飯を食べたら解散した。
中でも負け続けた九流は闘争心を剥き出しにして来週ある体育祭にて返り討ちにしてやると豪語していた。
部屋への帰り道、綾人がざくろと体育祭の話をする。
二人はクラスの出し物であるクラス対抗リレーと障害物競走に出ることになっていた。
リレーは別に良しとして、綱引きや玉入れなど当たり障りない種目を希望したにも関わらず、周りの強い希望にて何故かこの障害物競走に参加させられることとなった。
「結構、ハードな種目らしいから少し緊張するね」
「うん。頑張ろうね!」
「なんか、一位はご褒美があってビリは罰ゲームがあるらしいよ!」
ざくろの情報に綾人がビリにさえならなければいいと無欲に笑う。
そんな二人は呑気に互いを励まし合うものの、この障害物競走が厄介で強烈な種目なことをまだ知らない。
そして、この認織不足なことが仇となることも。
当日、大絶叫を上げる事となることも。また、門倉と九流の壮絶な争いも今はまだ知らなかった。
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