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第192話

「やった!6だ〜!!」 次に振った賽の目が最高数値で綾人はぴょんぴょん飛んで喜んだ。が、内容確認後、真っ青になる。内容『ぱんつ一丁』。 「こ、これ!変にセクハラ入ってない!!?」 内容の書かれたマスを指差して喚く綾人に黒服姿の男達が数人近付くと、あれよあれよと言う間に身ぐるみ剥かれた。 水色のパンツ一枚にされた綾人は恥ずかしさに体を震わせる。 周りも同じような状態に陥る生徒は沢山いるのに、何故か視線は綾人のみに注がれていた。 あと4以上を出さないとゴール出来なくて緊張が走った。 周りを見るとゴールしてないのは自分を含めて3人。こんな目に遭っていて更に罰ゲームなんてごめんだ。 自分の番が回ってきてサイコロを振る。 本当に運が悪くてサイコロの賽の目は3だった。 「もう、ヤダァーーーーー!!!」 最後のマスに止まった綾人へのミッションは赤ちゃんのようにハイハイしながらゴールをすることだった。 地べたを這い。赤ちゃんというよりパンツ一枚で犬にでもなった気分だ。 ペタペタと屈辱と羞恥に塗れた綾人は必死にゴールを目指した。 ゴールである線を渡ったとき、ふわりと肩に何かを被されて抱き上げられる。 「綾ちゃん、お疲れ様」 俯いて分からなかったが、それは門倉で、自身の長ランを肩に羽織らせてくれたようだ。 横抱きにされ泥やらなんやらでベトベトの自分に関わらず、綾人を愛おしそうに抱きしめてきた。 「お風呂、用意できてるから行っておいで。個室になってるから鍵をかけるようにね!」 綾人をそっと地面へ下ろすと門倉は奥にあるこの競技のために設置されていた5つの簡易バスルームを指差した。 その一つから先に体を洗ったのか出てきたざくろと目が合う。 「綾、お疲れ様!!ビリじゃないよね?」 「うん。7位」 「よかったー!最下位は女物の下着きてグランド一周だったらしいよ」 下衆の極みネタだと顔を強張らせる二人にある意味、男子校ならねばの下品な罰ゲームだと思った。 門倉から借りた長ランを着たまま綾人はひょこひょこと簡易バスルームへと入った。 ひっそりと佇むそこはとても静かで個室になっている。言われた通り、中へ入るとちゃんと鍵をかけた。 その時、ガチャガチャっと大きな音を立ててドアを開こうとする不審人物に綾人は体を竦めた。 「えっ!!」 誰だと心臓を飛跳ねさせたのだが、扉をドンドン叩かれたり蹴られたりすることに体を萎縮させた。 暫くしてそのような暴挙は止み、何処かへ走り去っていく足音が聞こえた。代わりに隣のバスルームに誰かが入っては疲れたーと、ボヤく生徒の声が聞こえた。 さっきのは何だったのかと怖くなった綾人は、とりあえず早く体を洗って皆んながいる場所へ戻ろうと、長ランを脱ぎ捨て、お風呂へと入った。

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