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第201話

「ひ、酷いっ・・・」 昼過ぎまで寝るというより失神していた綾人は目を覚ますなり涙を浮かべて門倉を責めた。 ヤル気のなかった門倉を誘う形で申し訳なかったことは認める。 だけど、せっかくの金曜日ということで気持ちよくさせる為に奉仕してあげたいという健気な自分の気持ちをズタズタに引き裂かれたとベッドの上で打ちひしがれる綾人に門倉はこれはマズいと冷や汗を流した。 大きな声でいつものように罵詈雑言ストレスをぶつけてくる様子とは違う反応の綾人に、本気の心の折れようが覗けたからだ。 「ご、ごめんね?悪かったよ!綾があんまり可愛いから・・・。今日はもう少し体を休めたらお出掛けしようか?体育祭、綾の白組が勝ったんだし約束通り何でも好きなもの買ってあげる!ね?」 オロオロしながら綾人にへりくだると、門倉は更に甘い条件を追加した。 「今日は綾の言うこと何でも聞くから!行きたいところもどんな我儘も聞いたげる!だから、ほら!泣かないでよ!!」 よしよしと頭を撫でて全力の機嫌取りに挑むと、綾人は涙を流していた顔を上げて門倉をジッと見つめた。 潤む蜂蜜色の瞳が綺麗でこんな状態なのにうるさく心臓がドキドキ耳に触った。 「ほんと?」 ひっくと、子供のようにしゃっくりあげながら打診してくる天使に大きく頷いてやる。 「・・・・じゃあ、もうちょっとしたらお出掛けする!」 体が辛いのか、もそもそと再びベッドの中へ潜り込み顔を赤くして頷く綾人は嬉しそうにはにかんだ。 ぐぅっ・・・、襲いたい・・・ グッと拳を握りしめ、理性へブレーキをかける門倉は目に毒だと天を仰いでベッドの側を離れた。 心と体を鎮めるべく、ソファへ腰掛け、小難しい本を広げて読書へと励んだ。

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