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第221話

眠る綾人に情事の後処理をすると、門倉はシャワーを浴びに行った。 汗を流してサッパリすると、パンツとハーフパンツのみ履いてそのまま部屋へと戻る。 ソファへ身を沈め、冷蔵庫から取り出した水を飲みながら一息ついていると、使用の携帯電話が鳴った。 相手は綾人の主治医である速水からだった。 『こんばんは。綾人君の様子はどうだい?』 「どーも。・・・学校では少し浮いてる様子だけどうまくやってるっぽい」 『そう。君との関係はどう?』 「上々ですよ」 濡れた髪を首に下げていたタオルでガシガシ拭きながら答えると、電話の向こうで速水が笑うのを感じた。 「っで?何かあったんですか?」 『まぁね・・・』 少し重い空気を流す速水に門倉は神妙な顔付きになった。 「なに?」 『・・・加賀美が逃走した』 その言葉に門倉はベッドで眠る綾人へ視線を向けた。 「加賀美代議士は何してるだ?」 苛立ちを込めた声で聞くと、速水は固い声で告げた。 『代議士は刺された。致命傷は負わなかったが、息子の司が犯人だ。息子に刺されたなど世間にはとても言えないから公にはなってない。外へ出ようとした所を止めた時、腹部をぐさりとね・・・。自由に外出する為に邪魔だったんだろうね』 「綾狙いってことか?」 『間違いなくそうだと思うよ。だから、寮の外には絶対に出ないようにしてくれ』 速水はそれを伝えたかったようで、門倉は大きく息を吐いて分かったと頷いた。 電話を切って、ソファからベッドへ移動するとスヤスヤ寝息を立てる綾人を見下ろす。 戻ってきたばかりの頃は暴れて毒を吐き捨て、天使が穢れたと周りは涙を流していた。だが、今となってはある意味素直な綾人に好意を寄せるものは増え続けていた。 寮の中でも危険は危険なのだが、あの加賀美よりはマシかと皮肉を感じる。 愛らしい容貌の天使は最近は小悪魔と称されている。 以前のような天真爛漫さに加えて、我儘放題の無遠慮さが反響を呼んでいた。 「あんまり、モテないでね?綾ちゃん」 これもまた、悩みの一つだと門倉は苦笑しながら綾人の頬を撫でた。

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