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第222話

「おい、お前。この宿題しろ!そっちの奴はいちごオレ買ってこい!」 ゲーム機片手に学校へ着くや、綾人は取り巻き達に命令を下す。 「白木の宿題はもう出来上がってるよ!」 「いちごオレだけでいいのか?他のオヤツも買ってくるぞ?」 皮肉なことに皆、こんな可愛げのない綾人の命令を快く受け入れては逆に喜びを感じて、その上をいく接待を施してくるほどだった。 「あ!じゃあ、いちご味のクッキーも!あと・・・、ざくろは何かいる?」 後ろの席で女王様っぷりを披露する綾人にざくろは青ざめて固まっていた。 「・・・・・いや、俺はいいよ」 一言、断ると綾人は下僕さながらの取り巻きに向き直り、それだけ買いに行けと指示を出した。 犬のように喜んで教室から走って出て行く男を尻目に、今度はゲーム機を掲げて遊ぼうと誘いはじめる。 大好きな双六ゲームで全員綾人に合わせて同じソフトを購入したらしく皆、文句一つ言わずにゲームに付き合った。 もちろん、綾人が一番で上がれるように手加減も忘れてはいない。 上機嫌の小悪魔は懐くとゴロゴロ体を擦り寄せて甘えてくる。 甘いいい香りをさせては近寄ってくる堕天使に一同デレデレだった。 「白木、今日も学校終わったらゲーム出来るか?」 「ん〜。どうかな?ねぇ、ざくろ。今日って生徒会あったっけ?」 再び声を掛けられ、ざくろが頷くと、綾人はそれならと上機嫌に微笑んだ。 「それなら出来るね!優一が帰ってくるまでは大丈夫〜」 部屋から出ることを基本、禁じる門倉の目を盗んでは綾人はこうしてちょくちょく遊びに出ていた。 一応、警戒心はあるらしく誰かの部屋などには行かないが談話室にて多勢の男達と話をしたりゲームをしたりして楽しんでいる。 門倉には内緒! これがまた、取り巻き達にはたまらない背徳感と幸福感らしく、綾人に夢中の一つらしい。

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