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第223話
「明日はお休みだよね?俺ね、新しいゲーム欲しいから出掛けたい!」
夜、ベッドの上でゴロゴロしながら綾人が言うと門倉がピシャリと言い放った。
「駄目。最近、ゲームばっかりし過ぎ!勉強してんの?」
「・・・・」
門倉を横目に鬱陶しいなと目を細めて睨むと、綾人はクラスメイト達に借りた漫画を読みだした。
「綾ちゃん。最低でも宿題ぐらいは・・・」
「宿題ならした!うっさいな!!」
談話室で遊んでいた時、頭の良さそうな奴に今日出た宿題を押し付けたので、綾人は既にノルマは達成していた。
と、言っても、自分は何もしていないが。
おかげで、授業にはついていけずいつも授業中は居眠りをするか携帯電話を弄るかゲームでもしているかのどれかだった。
「真面目に勉強しないと進級出来ないぞ」
立春高校の偏差値はかなり高い。なので、怠けると一気に差がつき落とされることなど当たり前のことだった。
「別に。進級出来なきゃ出来ないでアンタに迷惑かけないよ」
「迷惑だよ!」
「どうして?俺とアンタってアンタが卒業するまでの恋人なんだよね?」
冷ややかな視線を向けられて、門倉は固まった。
今の綾人にその制約を告げていなかったのに、何故それを知っているのかと目を見開くと、綾人は近くに置いてきた鞄を手に取って中から手帳を取り出した。
「俺ね。こんなんだから、日記は付けるようにしてんだよね!」
ふふっと、笑ってその手帳を翳すとペラペラ中身を捲って綾人は淡々と断片的に読み上げていった。
『◯月◯日。門倉優一と出会う。強姦魔達から救ってくれたのに、この男も他の男と一緒で僕を襲った。◯月◯日。門倉先輩と契約を結んだ。先輩が卒業するまでの2年間、僕とは恋人同士だ。◯月◯日。体が痛い。心が疲れた。もうおもちゃでいるのが辛くなってきた。◯月◯日・・・・」
笑いながら門倉との遍歴を読んでいた綾人だが、段々と眉間に皺を寄せて口を噤んだ。
チラリと門倉へ視線を向けると、罰が悪そうにパタンっと手帳を閉ざす。
そして、気を取り直したように言い募った。
「まぁ、お互い利害のある恋人だったんだね。まぁ、今の俺となっちゃどうでもいいけど。前の俺がご所望なら別れてもいいよ?残り1年半もウザいっしょ?」
投げやりな言葉で吐き捨てる綾人に門倉は奥歯を噛み締める。
暫く重い沈黙が流れ、意を決したように口を開かれた。
「好きだよ・・・。最初はそんな感じだったけど、自分でもあまり気付いてないだけで一目惚れだった」
ゆっくりと綾人へ近付いて門倉は小さな手を握り締め、告白を続けた。
「必ず守るよ・・・。それが俺の愛し方だから」
手の甲へ誓うように唇を当てられ、綾人はガラにもなく顔を赤くさせた。
握り締められる手を振り払い、急いでベッドから降りる。
「風呂入る!」
大声で一言叫ぶように言うと、逃げるようにバタバタと走って行ってしまった。
綾人がいなくなったあと、門倉は思い詰めたように額を押さえ、重い溜息を漏らした。
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