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第225話
土曜日の朝6時に綾人は門倉を叩き起こしてざくろと朝食を取りたいと駄々をこねた。
その甲斐あって、かなり渋られはしたが九流の部屋へと押し掛けて無事に目標を達成した。
いちごオレが飲みたいと自由な発言をかますと、九流に自分で買ってこいと財布を投げられる。
綾人はコレを待っていた。
門倉と一緒にいて、こんな乱暴な言動はされない。
アレが欲しい。コレが欲しい。と唱えれば、門倉は自分が買いに行くか、誰か人を使って持って来させるのだ。
自分の持ち金は全部、無駄遣いするからという理由で速水に取り上げられ、自由を奪われた綾人は門倉や速水を通さないと欲しいものが手に入らなくてストレスを感じていた。
九流のように豪快で人に使われるのを嫌いそうな人間ならこんな風になる事が見通せたのだ。
綾人は九流の財布を握り締めて、嬉々として買い物へ出て行った。
そう・・・
ひっそりと水面下で計画を立て、膨大な量の外出届けを提出した寮の外へと・・・・
「ふっふっふっ!チョロい、チョロい〜」
ちゃっかりいちごオレも購入した綾人はパック型のジュースにストローを刺して、チューっと甘いジュースを堪能した。
ウキウキと一人で外の世界を満喫する綾人は上機嫌だ。
久々の外の世界に心が躍る。
特に行きたい所はないのだが、自由を感じられなかっただけに、こうして一人で出歩くだけで開放感に満たされる。
ブラブラと街を歩いてアレコレと服屋や雑貨巡りをした。
昼時になると、お洒落なカフェに入ってランチを食べる。
一応、持ってきていた携帯電話を見ると、門倉とざくろ。そして、速水から鬼のように着信が入っていてげんなりした。
電源を切ってそれらを綺麗に無視すると、映画でも見ようかとフラリとまた街中を歩いた。
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