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第227話
side 門倉
「お前は何をしてるんだっ!あれ程、綾人君を外へ出すなと言っただろ!?」
寮から綾人が逃走したと知って速水は駆けつけるや大声で門倉をなじった。
あのストーカーの加賀美が今は外をうろついているのだ。
綾人にいつ接触してもおかしくない。
更に、その綾人の居場所がまだ特定出来てなくて速水だけでなく、門倉もイラつきが抑えられず、忙しない気持ちを持て余していた。
「俺の駒以外にも門倉家の部隊を出せ!綾じゃなくてもいい!加賀美 司を見つけ出した方が早いかもしれない!」
無名の一般市民である綾人よりも代議士の問題児の息子は今、政界を密かに騒がしていた。
前科もあることから、自分の稼業である警察を動かすには加賀美をエサにした方が話が早そうで、門倉はそのように警察へ指示を出した。
速水は憎々しげに門倉を睨みつけ、門倉率いる部隊からの連絡を待つ。
「綾人君が帰ってきたら、僕が彼を引き取る。もう君には任せられない」
「・・・それは駄目だ。綾は譲れない」
速水の言葉に門倉が静かに答えると、怒りの形相で速水は門倉の胸倉を掴んで怒鳴り散らした。
「お前は何様のつもりだ!もし、あの子が加賀美に捕まっていたらどうする⁉︎トラウトが発生するだけじゃない!下手したら殺されるぞ‼︎」
「・・・っ」
辛そうに顔を顰める門倉にお前がそんな顔をするなと、速水は掴んでいた胸倉を突き放すように押し返した。
「今の彼の人格が壊れたら、下手したらあの子は廃人にもなり兼ねない。今の人格は言わば、最後の砦なんだ・・・・」
額の髪を掻き上げて、ぐしゃりと握り潰し、血を吐くように苦し気に速水が告げた。
門倉はその言葉に奥歯を噛み締め、まだ鳴らない幾つもの連絡網を張った何台ものの電話を見つめる。
早く・・・
早く、情報が集まれ・・・
逸る気持ちに頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。
心が潰れそうで今にも発狂しそうな自分を抑えるのに必死だ。
綾人に何かあれば・・・・
少しでもそんな事を考えると、背筋がゾッとした。
一秒でも早く綾人を取り戻したい。
その思いを胸に、祈る気持ちで目を閉じたとき、一台の電話が鳴った。
門倉と速水は顔を上げ、目を合わせると待ちに待った情報に飛びつくようにその電話を出た。
side 門倉 終わり
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