233 / 309
第233話
朝食を摂るべく席に着くも、口に運ぶことは余りせず、フォークで卵やサラダをつつきながら朝食の時間潰しをしていたら加賀美がにこやかに話しかけてきた。
「今日のスケジュールは罰を受けることだから。ちょっと苦しくて痛いかもしれないけど、乗り越えて浄化しようね。それさえ終われば新しい人格作りを一緒にしよう」
「・・・・・」
言われている意味を理解したくなくて綾人はフォークを机の上へと置いた。
「返事をしなさい」
少し厳しい声で制されて、綾人は蚊の鳴くような声ではい。と 返えした。
何をされるのか分からないが、どうやら自分を屈服させ、人格を壊すことは分かる。
嫌悪感と同時に恐怖心も生まれたが、既に己の何かが壊れ始めているのだろう。
体が震えることはもうない。
小さくとも返事をし、自分へ従順な態度を見せる綾人に加賀美は満足気に微笑んだ。
そして、余り手の進んでいなかった食事を下げられた。
ベッドへ返して貰えず、真っ白なただっ広いリビングのふわふわの絨毯の上へ正座をさせられる。
「懺悔を聞いてあげるから自分が悪い子だったと認めなさい」
柄から細く伸びた棒状の先端に皮製のチップがある鞭を手に持って加賀美は綾人の前へと立つ。
威圧的な声と視線を向けられて、何も答えずにいるとスッと鞭を振り上げて肩へパシンッと振り下ろされた。
「キャァァーーーッ!!!」
焼けるような激痛に綾人は悲鳴と一緒に体を丸めて地面へ転がった。
すかさず、連打で鞭を振り下ろされたて背中に三度打たれた。
「痛いだろ?コレね。馬用の鞭なんだ。乗馬の際に馬を追うのに使われる。早くちゃんと懺悔をして悔いを改めないと大変なことになるよ?」
ピシピシと鞭を振り翳して嘲笑う加賀美はじわじわと綾人の真っ白な服が血で滲むのを見つめた。
「早く!早く!!早く!!!」
どこか楽しげに声高らかに張り上げる加賀美は綾人の腕に腰に足にと鞭を打っていった。
痛みと恐怖で悲鳴しか上がらない綾人は涙を流して体を庇うように身を縮こませる。
「ご、ごめんなさっ・・・や、めてぇーーー!!打たないで!!」
土下座するような姿勢で体を震わせ、必死に許しを乞うと加賀美はそっと地面へ膝をついて綾人の髪を鷲掴んだ。
「ヒィッ!」
痛みに支配された恐怖で止めどなく溢れる涙は蜂蜜色の瞳を揺らせた。
「・・・・あの男と何度、体を重ねた?」
無表情で聞かれ、綾人はカタカタ歯を鳴らしながら消え入りそうな声で答えた。
「わ・・分かりませ・・・ん」
その答えに加賀美の顔が怒りに歪んで地面へ叩きつけられる。
「この穢れた馬鹿がっ!分からないぐらい抱かれたのかっ!!」
強烈な蹴りを頭や顔、肩に腹部と何度も何度も与えられ、綾人はごめんなさい、ごめんなさいと唱えながら意識がなくなるまで暴力を受け続けた。
ともだちにシェアしよう!