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第241話

「一ヶ月は休学届け出してるからゆっくりしたらいいよ。俺が学校行ってても不安になったり必要になれば電話して」 服を着替えさせてくれたり、飲み物を与えてくれたりと甲斐甲斐しく自分の世話を焼いては優しい言葉をかけてくれる門倉に綾人は気恥ずかしくてモジモジした。 特にやることもなければ何を話せばいいのかも分からない。 しかも、門倉には自分の過去や秘密を全て知られてしまった。 更に・・・ 僕、好きって言っちゃった・・・ 顔を真っ赤にしてベッドの上で毛布を頭まで被っていると、門倉が側にやってきた。 「どうした?しんどいの?」 躊躇いがちに毛布を捲り、自分と目が合うと綾人に顔を反らされた。 「綾?」 様子がおかしくて名前を呼ぶと、ぶわわーっと綾人の顔が赤くなり顔が俯く。 「あ、あの!あの!!僕っ!!」 毛布を奪われ、頭から被り直す綾人は必死に弁明を始めた。 「ぼ、僕のことはあまり気にしないで下さい!す、好きって言ったけど、ちゃんと弁えてるし、その・・・、その・・・」 混乱して言いたいことが纏まらない綾人に門倉は毛布を剥ぎ取ると、綾人の目を見つめて口を開いた。 それを見た綾人は焦って続きを話す。 「僕、あの時、消えるって思ったから!だから、バカなこと沢山言ったけど忘れて下さいっ!!」 ギュッと目を閉じて告げてくる綾人に門倉がそっと優しく抱き寄せた。 そのままゆっくり押し倒されて体に緊張が走る。 頬を撫で、慈しむように頭に額にと唇が落とされ、閉じた瞳を開くと美しい門倉の美貌が目の前を覆っていた。 「綾ちゃん、俺のこと好き?」 柔らかな笑顔が聞いてきて、赤い顔が更に朱へと染まった。 何て答えるのが正しいのか分からなくて唇を噛み締めたら、噛むのを止めるようにと唇をペロリと舐められた。 びっくりして薄く唇が開くと、そのまま舌が口内に滑り込んできて身を固める。 「・・・んっ・・、ふぅ・・・ぁ・・」 酸素を求めて苦しいと門倉の腕を掴むと、そっと唇を離された。 代わりにコツリと額と額を合わされる。 「・・・愛してるよ。綾」 熱の篭る瞳で囁かれ、綾人の胸が苦しくなった。 これが夢なら覚めないで欲しい・・・ そんな思いを込めて抱き着くと、か細い声で門倉に頼んだ。 「・・・・先輩、抱いて・・・」

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