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第245話
「大丈夫?辛かったりしんどかったら無理しないで早退するなり俺に連絡を・・・」
「大丈夫!だーいじょーぶっ!!」
門倉の言葉を遮って月曜日の登校日、綾人は心配し過ぎだと笑った。
ずっと引きこもっていたから不安は不安だが、登校は楽しみでもある。
朝食を終えて制服を着ると、部屋の扉が叩かれた。門倉が開くと、そこには九流とざくろが立っていて、ざくろが丁寧にお辞儀をして挨拶をしてきた。
「おはようございます!」
どうやら、綾人を心配して来てくれたようで門倉も安堵の息を吐く。
「西條。悪いけど、綾のことみてやってくれ」
「勿論です!綾、何かあったら直ぐ教えてね」
下駄箱にて最後の最後まで心配そうな門倉に綾人は苦笑した。
それを察したざくろが綾人の手を握って微笑んだ。
確かに少し不安はあるし緊張もしていたが、ざくろがいると思うと心強かったし、安心感も感じる。
手を引かれるまま、門倉に背を向けて綾人は自分の教室へと向かった。
教室へ着くなり、クラスメイト達は綾人の登校に歓喜の声を上げてわらわらと集まった。
「白木、おはよう!」
「今日も可愛いな!」
「怪我はもう、いいのか?」
いつも通りのクラスメイト達に安堵の息を吐いて、綾人はにこりと天使の微笑みを向けた。
「ありがとう。もう、大丈夫!これからもまた宜しくね」
ふわりとした綿あめのような柔らかく愛らしい雰囲気を醸し出す綾人に一同、ぽかんと顔を呆けさせたが、次にはワァッ!っと盛り上がりをみせた。
小悪魔な堕天使も可愛かったが、あの愛くるしい天使が戻ってきたと泣く姿も見える。
可愛い、可愛いと叫んではあっという間に以前と変わらぬ人気っぷりで、皆に囲まれるという在るべき姿の綾人の教室内での光景が蘇った。
無理は多少していたが、これぐらい大丈夫と心配するざくろへ口パクで告げると、綾人は人間関係の構築に必死に努めた。
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