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第248話
「綾?今日、早退したって?大丈夫なの!?」
結局、昼間寮へ戻ったきり綾人は学校へは帰らず、一人部屋のベッドの上で悶々と悩んでいた。
門倉はそれを聞いて放課後、生徒会があるにも関わらず業務を放ったらかして綾人の元へ駆けつけた。
「・・・・薬、飲んだのか?」
テーブルの上にある薬を飲んだであろう残骸を見て、門倉が益々心配そうに声をかけてきた。
横になる綾人の背を優しく撫でて顔を覗き込む。
閉じていた目を少し開いて門倉を見上げると、涙が出そうになってまた直ぐに目を瞑った。
「眠いの?少し寝る?」
よしよしと頭を子供のように撫でられ、不覚にも安らいで心が癒された。そのまま門倉へ抱き着くように手を伸ばす。
抱いて欲しい・・・
自分だってエッチしたい・・・
先輩に気持ちよくなってもらいたい
昼間の告白を受ける門倉を思い出し、綾人は抱き着く腕の力を強くした。
「好き・・っ、先輩・・・、エッチしよ?」
絶対吐かないし、嫌がらないと心に誓いを立てながら誘う。しかし、その決意とは裏腹に門倉の体が少し強張り硬直した。
「・・・綾ちゃん、無理はやめよう?」
そっと体を離して、笑顔で諭してくる門倉に綾人は体を起こしてキスをした。
「んっ!」
舌を絡めて門倉の口内を大胆にも掻き乱す。挑発するように必死に身を擦りせるが、門倉は指一本動かさず、キスの相手すらしてくれなかった。
対する綾人は加賀美に植え付けられた恐怖で体が震え、過呼吸に陥りそうで顔面は蒼白だ。
心と体が連動しなくて涙が浮かぶ。
門倉を満足させたいのに、どうしてもそれが出来なくて頭がおかしくなりそうだった。
「はぁ・・っ、かは・・・ぁ・・、くるし・・」
眩暈も起こり、完全に過呼吸になった綾人は胸元を抑えてベッドへ倒れ込んだ。
門倉はそんな綾人を抱きしめて、落ち着くようにトントンと背中をリズミカルに叩いてあやした。
「大丈夫・・・。綾のペースでいいんだよ」
こうしていつものように綾を落ち着かせ、寝かせると門倉は重く深い溜息を吐いてソファへ腰掛ける。
「あー・・・。つらい・・・・」
天を仰いで一人、誰に言うでもなくボヤくとそのままゆっくり瞳を閉じた。
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