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第254話

「かーどーくーらぁぁあぁーーーーっ!!!」 ドンドンドンッと、激しく扉を叩く音と怒鳴り声に綾人は混濁する意識を覚醒させた。 「うるさ・・・。何?」 時計を見ると時刻は夕刻の五時。 ベッドから出て門倉はすっ裸にバスローブだけを羽織って招かねざる客である幼馴染みを迎えた。 「何?」 「何じゃねーよ!一週間も学校休みやがって!!何してんだ!?この馬鹿野郎!!」 怒鳴り声を上げて自分を罵倒するのはもちろん、生徒会副会長であり、親友でもある九流だった。 「何ってナニ?」 気怠げに髪をかきあげて笑う門倉に九流は不機嫌さを隠すことなく、一枚の紙を門倉の前へと突き出す。 「白木としけ込むのは自由だがな!理事長から呼び出し出てんぞ!学校休むわ、生徒会業務は放棄するわで荒れに荒れてんだよ!」 「それくらい猛がフォローしてくれても良くない?」 「俺にも都合がある!」 「・・・都合って、どうせ西條だろ」 理事長からの呼び出し状を受け取り、目を走らせながらボヤくと、どうやら手紙の記された呼び出し期日は2日ほど過ぎていた。 焦った様子の九流から察するに、どうやらこの呼び出しに今、気付いたばかりなのだろう。 実は門倉は綾人と体が再び繋げるようになってから一週間、朝も昼も夜も関係なしに綾人を一日中抱き潰していた。 我慢に我慢を重ねた代償なのか、性欲のタガが外れたようで綾人を見ると抑えが効かずにいた。 このままでは駄目だと分かってはいるのだが、あの蜂蜜色の瞳を見ると理性を持っていかれてしまう。 「・・・ゆーいち」 体力もギリギリなのだろう。細い体を懸命に起き上がらせて自分を呼ぶ綾人は九流の訪問に心なしか嬉しそうだ。 この一週間、気を取り戻すとほとんどの確率でベッドの中へと引き戻され、また意識を失うまで快感地獄に苛まれていたからだろう。 「もう直ぐ、夕飯だからもう少し眠ってなよ。ちょっと、猛と理事長に会ってくるから」 門倉は綾人へそう言うと、支度をするから外で待つよう九流に伝えて脱衣室へと向かった。

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