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第257話

「門倉、九流。お前達は生徒会長と副会長として少し軽率すぎるんじゃないのか?他の生徒達のように気軽なポジションにいるわけではない事を各々把握し直しなさい」 理事長の言葉に二人はごもっともです。と頭を下げた。 この学園の生徒会はかなりの権力を誇示している。下手をすれば教師以上の力を持つことから生徒会へ入れる人間はかなり厳選された人材だった。 それだけの力を持つことから、こなさなければならない業務も多数あるが、優遇される事も数多い。それらを踏まえ、このように一週間も仕事を放棄するなどあるまじき行為だった。 「理事長のお怒りに反論はありません。なので今回のこの件、責任を取ります」 門倉が真面目な声で言いながら、下げていた顔を上げると、理事長は興味深いと門倉を見据えた。 「生徒会長として軽はずみな行動を取りましたこと、深く謝罪申し上げます。責任としまして、直ちに後任者を見つけて生徒会長のお役目を辞退します」 満面の笑顔で生徒会を辞めると告げる門倉に理事長は目を丸くした。 そして、門倉の横にいた九流はその言葉に名案だと乗っかる。 「俺も責任取って生徒会から身を引きます!」 これで晴れて自由だと笑みを溢す二人に理事長は瞬時に我に返ると、にっこり微笑んだ。 「いい度胸だ。処分を言い渡そう」 ソファから立ち上がり、自分の仕事用デスクへ歩いて行くと紙を2枚持って帰ってきた。 「ここへサインしなさい。二人には来年度も生徒会役員の任期を続投して貰おう」 「門倉のアホーーーッ、てめぇの思い付きで生徒会続投なっただろうがっ!」 「お前だって俺の提案にノリノリだった癖に俺ばっかり責めるなよっ!!」 学校から寮へと帰る途中、九流と門倉は理事長が出した罰に不平不満を言い合った後、互いを責め始めた。 名門一家で成績優秀なことから推薦され生徒会へと入った二人はこの責務が嫌で仕方がない。 一年耐えろと自分へ言い聞かせてきたが、まさかの続投に気の落ち込みようが半端なかった。 「生徒会推薦者、決まってんのかよ?」 ぶっきらぼうに聞いてくる九流に門倉は少しならと呟くが、自分達も残るならその人材候補は白紙に戻して一から練り直そうと提案してきた。 どうやら、反りの合わない連中も混ざっているのだろう。 「九流先輩!門倉先輩!お帰りなさい!!」 寮のエントランスにて九流の恋人のざくろが売店でジュースやお菓子を購入しては、帰ってきた自分達を見つけて嬉しそうに手を振る姿が可愛い。 「ざくろ、どうした?」 九流が駆け寄るとざくろはにっこり笑って売店で買い物したビニール袋を掲げた。 「綾に会いに行こうと思って!門倉先輩、いいですか?」 一週間も会ってない友人が心配だと言うざくろに門倉は止める理由もないことから頷くと、二人を部屋へと招いた。

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