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第260話

「ほぼ片付いたな!綾、西條。明日は来年度の生徒会役員の顔合わせをするから。クリスマスパーティー当日は生徒会がどんな風に仕事をこなすのか見学するように」 門倉が大きいファイルを閉じて二人に告げると、綾人とざくろは緊張した面持ちで分かりましたと頷いた。 それを見た九流がクスリと微笑み、ざくろの頭を撫でる。 「んな、緊張しなくていいよ。メンバーは3年が俺に門倉、後は門倉の推薦で二宮 神楽(にのみや かぐら)。2年はざくろに白木。そして、生徒会として初めての試みなんだが1年を投入する」 「一年生⁉︎」 ざくろがそれは凄い逸材なのだろうと声を上げると、九流がニヤリと笑って告げた。 「俺の弟の渉(わたる)と門倉の弟の咲也(さくや)だ。渉は使い易いし、そこそこのスキルもある。咲也は・・・」 視線を泳がせて口籠る九流に門倉が柔和な笑顔で告げた。 「根性とスキルはあるけど、変態ゲス野郎だから気に入らない時は本気で殴る蹴るしていいから!」 実の弟を物凄い紹介で投入してくる門倉に綾人とざくろが硬直した。 九流のフォローを得たくて視線を向けるが、悲しき事に返ってきた言葉は・・・ 「本当に変態ゲス野郎だから、何かあれば直ぐ言うように」 顔合わせを行う前から強烈なキャラ構想にたじろぐ二人は言葉を失い、彷徨う視線を地面へと落とす。 「ゆーいちは弟さんと仲良くないの?」 生徒会室から帰る途中、門倉の部屋へ連れ込まれた綾人はベッドの上で押し倒されながら今日聞いたばかりの弟の話を振ってみた。 「悪くはないけど、良くもない」 「弟さん反抗期?」 「反抗期っつーもんがあれば逆に可愛いとも思えたのかも・・・」 門倉からの返答がいまいち分からなくて綾人は首を傾げた。 弟の咲也が気になるようでエッチにとても集中しそうもない綾人に門倉は苦笑すると、ゴロリと横たわる。 「ちょっと変な奴でさ。凄く俺の事が大好きなんだよね・・・」 言いにくそうに弟のことを話してくる門倉に綾人は目を瞬かせる。 「お兄ちゃんっ子なら可愛いじゃないですか!?」 「いや、なんていうか・・・。まぁ、本当にキモいんだよ」 これ以上はあまり言いたくないのか背を向けて拒む門倉に綾人は深追いするべきではないのかもしれないと口を閉ざした。 明日の顔合わせにて否応なしに会える。それなら、気乗りしない門倉にわざわざ口を割らせることもないと思い直した綾人はスルリとベッドから降りた。 「僕、部屋に帰るね!また明日ね、ゆーいち」 少し乱れた服装を整えると、綾人は自分の鞄を持つ。それを門倉が体を起こして慌てて引き止めた。 「泊まっていかないのか?」 「うん。週末は明日だし、明日お泊まりする」 だから、今日は帰ってゆっくり寝ると淡白な様子を見せる綾人に門倉はガクリと肩を落として去っていく背中を見送った。

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