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第264話
「じゃあ、自分の役職と名前言ってって。意気込みも良ければどーぞ」
もちろん、皆んなが黙り込むことは承知の上で門倉は九流へ視線を向けた。
「来年度の生徒会長から時計回りに自己紹介しよう。猛」
言われて九流は軽く手を挙げて座ったまま自己紹介を始めた。
「九流 猛。来年は三年になる。今年度は生徒会副会長をしていた。来年は会長の任務に就く。よろしく」
簡素に自分の事をまとめて告げると小さな拍手が起こった。
しかし、異議を申し立てるかのように門倉の弟の咲也の手がスッと上がった。
「どうして九流家の次男が生徒会長なわけ?兄様が会長に適任だと思うんですけど」
不機嫌な顔で自分を睨みつけてくる咲也に九流が腕を組んで頷く。
「俺もお前の意見に賛成だ。文句は自分の兄貴に言え」
出来るもんなら自分だって会長なんてやりたくない。九流は別に今から代わってもいいぞと声高らかに告げると、門倉が手に持っていた分厚いファイルを弟の顔面目掛けて投げ付けた。
「咲也、黙れ」
「ぶっ!!」
ファイルは咲也の顔面へ的中し、潰れた声を上げる弟へこれでもかというほど不機嫌な声で命じた。
「ど、どうしてですか?誰がどう見たって兄様の方が・・・」
「黙れ」
鼻の天辺を撫でながら泣き落としさながら門倉へ縋ると、威圧的にもう一度門倉が命じる。それに対して咲也は口を閉ざして下を向いた。
口を閉ざした弟を確認すると、門倉は小さく息を吐いてから次の順番であるざくろの名を呼んだ。
「次、西條」
九流の隣に座っていたざくろが門倉に自己紹介を求められピシッと背筋を伸ばして自己紹介をした。
「西條 ざくろです。来年二年生になります。書記兼、会長の補佐です。迷惑にならないよう心掛けますのでよろしくお願いします」
頭を下げるざくろにまた拍手が起こる。
次は綾人の番で、緊張感に包まれながらも口を開いた。
「白木 綾人です。僕も来年二年になります。厚生委員を受け持ちます。不慣れと思いますがよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる綾人に拍手が起こると、顔を上げてホッと胸を撫で下ろしたとき、門倉と目が合った。
門倉は綾人を見つめて可愛い、可愛いと口パクで告げてきて恥ずかしいと眉間に皺を寄せて顔を俯かせる。
その様子を見ていた咲也がゴホンッと咳払いした。どうやら次の自己紹介は咲也のようだ。
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