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第265話

「来年入学する門倉 咲也です。風紀委員長の任務に就きます。門倉 優一の弟で、兄様以外に触れられると嫌悪しか感じないので俺には一切触れないよう願います」 最後に綾人を睨みつけて咲也は付け足した。 「後、白木 綾人。兄様に馴れ馴れしくするなよ!目障りなゴミめ!」 名指しで命令された上に再び酷い言葉で罵しられ、ビクッと肩を跳ねさせる綾人を見た門倉が溜息と共に咲也へもう一発、分厚いファイルを投げ飛ばした。 「ギャアッ!」 バコんっと、顔面的中すると咲也は両手で顔を覆って机の上へと突っ伏す。 それを白い目で見ていた同じく一年の九流の弟、渉が肩を竦めた後に自己紹介をした。 「九流 渉です!来年入学します!会計担当で、たけ兄とは兄弟でざっちゃんとは義兄弟でっす!頑張るんでよろしくお願いしまーす」 嫌な沈黙が流れていた中、清々しいほど明るい声でその場の空気を払拭した渉にありがとうと言わんばかりに体育委員長である神楽が挨拶をした。 「二宮 神楽、来年三年になる。九流と門倉とは同じクラスで門倉に生徒会へ誘われたんだ!前から興味はあったから嬉しい誘いに感謝している。一年間よろしく」 とても美麗な容姿からはスポーツマンの印象はないが、あの門倉の推薦なのだ。 卒なく仕事をこなすのであろうと皆、好奇心に目を輝かせて神楽へ拍手を送った。 そして、最後に自分へと順番が回ってきた門倉はこの学園の王子と名高い優美な笑顔で自己紹介をした。 「門倉 優一。来年三年。今期の生徒会長職に就いてました。来年は副会長の職に就きます。愚弟が迷惑かけると思いますがビシバシ指導してやってください。後、白木 綾人に関しては恋人同士なので彼には手を出さないように」 にっこり笑って綾人との関係をオープンにする門倉は咲也を見た。 「綾にいらないことしたら分かってるだろうけど、半殺しじゃ済まさねーからな」 綾人へ既になかなかな悪態をついていた咲也に向けた兄からの忠告に咲也は華奢な銀色の眼鏡のフレームを中指で押し上げて不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。 「んじゃ、自己紹介も終わりでいいな。来年から一年間このメンバーで学園を盛り上げよう!よろしく」 門倉が立ち上がり最後の締めの言葉を言うと全員立ち上がって拍手した。 こうして無事、本日は顔合わせを終了させて解散となった。 はずなのだが・・・

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