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第267話
かなりの衝撃に体を吹き飛ばし、低い呻き声を上げて地面へ片膝をついた咲也は痛みに顔を歪めて兄を見上げる。
そんな弟を冷徹な瞳で見下ろし、淡々とした声で告げた。
「お前、ウザい。消えろ。綾のことに対してグダグダ抜かすな」
完全なる綾人の味方である兄に対して咲也はシュンと肩を落として立ち上がると、わなわな体を震わせる。
「ごめんなさい・・・、兄様。俺・・・、俺っ!兄様の機嫌を損ねた罪は体を駆使して償います!!」
次の瞬間、好きにして!と、ダイブするように抱きついてきた弟を門倉は反省しろ!と右ストレートにて顔面へ拳をぶち込んだ。
「帰れ!この変態がっ!!」
大声で咲也を貶すと同時に門倉は弟の首根っこを掴んで部屋の外へと放り出す。
少しの間、扉を叩く激しい音は聞こえたが、諦めたのか部屋の前は静けさを取り戻し、綾人はなんとも言えぬ重い溜息を吐いた。
「綾ちゃん、ごめんね」
ソファにてぐったりする綾人に門倉が機嫌を取るように擦り寄る。
「・・・いえ。兄弟仲良いことはいいことだと思います」
額を押さえて大人な意見を言ってくる綾人に門倉は苦笑しながら、ありがとうと華奢な抱きしめた。
「え!?・・ぁ・・・」
ズルズルと押し倒される形になってキスをされ、驚いた綾人は止めてと肩を押し返す。
「どうしたの?」
抵抗を見せる綾人に門倉が聞くと、顔を赤くした天使が恥ずかしそうに顔を背けた。
「・・・まだ夕飯も食べてないし、お風呂もまだだから・・・・」
身を捩って逃げようとした瞬間、赤い顔を見せる綾人に性欲が一気に溢れた門倉は綾人のズボンと下着に手を伸ばした。
「すっげぇ、キた。最後までしないからちょっとだけ、触らせて」
「へ?」
紅茶色の瞳を熱情に潤ませた門倉に綾人が今のどこにそんなそそる言動があったのかと頭の中を真っ白にさせ、同時に顔を青ざめさせた。
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